概要:
本科目は,1,2年で学習してきた科目・実習および3年で並行して学習する科目全てを総合し,グループ単位で自ら設計・製図した装置を自ら製作する科目である.本科目の目的は,(1)物作りのプロセスの体験,(2)基礎的な専門知識の活用と調査活動,(3)創造能力の開発と設計センスの育成,(4)1つの目的に向けたグループ活動の体験,であり,個々の学生の自主性,協調性を高めつつ,創造性を養うことにある.加えて,社会人としての責任感と社会性を認識させる.
授業の進め方・方法:
本科目のために班に分かれてグループで作業を行う.前期は,主に設計のための予備知識を身につけるための講義,課題の設計と製図を行う.後期は,機械工場での製作活動にあてる.講義は,課題に関する説明や資料による装置の作動原理にとどめ,創意工夫の余地を多く残しグループで考えることに重点を置く.
注意点:
関連科目:機械設計製図,機械工作実習,機械工作法,エネルギー基礎力学,材料力学,材料強度学
学習指針:製品の発案から完成までのプロセスは1人では達成不可能である.設計,製図,製作においては,各自が積極的に行動することはもちろん, グループ内でまとまって効率的に作業を行うこと.作業が遅れているグループが1つでもあると本科目の作業日程に影響が出るので,図面等の資料の提出期限の遅延は絶対に認められない.なお,個々のグループが効率的に作業を行っていることの証明として,各種提出資料(図面や加工工程表)ごとに製作代表者を定めること.機械工場における前期の基礎実習ならびに後期の製作活動では,思わぬ事故を未然に防ぐため指導担当者の指示に従うことはもちろん,各自が安全に十分留意すること.また,グループ活動であることから,体調不良などの特別な事情・理由のない遅刻・欠席は責任感および社会性の欠如とみなし,評価の対象となる.
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンスおよび課題説明 |
ガイダンスを行い,課題の説明を行う.以下,各項目について指導教員の資料提供とアドバイスの下で作業を進めていく.
|
2週 |
構想図の作成1 |
各グループで,与えられた課題を達成する独自のアイデアに基づいた製品構想図を作成して提出する
|
3週 |
構想図の作成2(提出) |
引き続き、各グループで,与えられた課題を達成する独自のアイデアに基づいた製品構想図を作成して提出する
|
4週 |
基本設計1 |
構想図に基づく組立図の概略作成.鋼材等の調査を開始する。
|
5週 |
基本設計2 |
引き続き、構想図に基づく組立図の概略作成.鋼材等の調査を行う。
|
6週 |
基本設計3 |
引き続き、構想図に基づく組立図の概略作成.鋼材等の調査を行う。
|
7週 |
部品設計1 |
部品図の設計、作成を開始する
|
8週 |
部品設計2 |
引き続き、部品図を設計、作成する。
|
2ndQ |
9週 |
部品設計3 |
素材調査や加工工程を検討し,組立図・部品図を完成させる.
|
10週 |
図面作成1 |
引き続き、組立図・部品図、工程表を完成させる.
|
11週 |
図面作成2 |
引き続き、組立図・部品図、工程表を完成させる.
|
12週 |
図面作成3 |
引き続き、組立図・部品図、工程表を完成させる.
|
13週 |
図面作成4 |
引き続き、組立図・部品図、工程表を完成させる.
|
14週 |
図面作成5(提出) |
組立図・部品図、工程表を提出する.
|
15週 |
前期末試験 |
これまでの取組みに対するテストを実施する.
|
16週 |
答案返却・解答 |
理解が不十分な点を解消する.
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
図面修正1 |
組立図・部品図を修正し,工程表を再作成・再提出する.
|
2週 |
図面修正2 |
引き続き、組立図・部品図を修正し,工程表を再作成・再提出する.
|
3週 |
図面修正3 |
引き続き、組立図・部品図を修正し,工程表を再作成・再提出する.
|
4週 |
図面修正4 |
実習工場にて工作機械の割当て, 作業の進め方,作業ルールを説明し,製作を開始する.
|
5週 |
製作開始ガイダンス |
毎回,事前に提出された加工工程表に基づいて,部品の製作を行っていく.作業時間終了時,その日の作業報告書として,各部品の加工進捗状況を提出・確認を受ける.設計変更が余儀なくされた場合は,その都度図面を修正・提出する.
|
6週 |
製作1 |
|
7週 |
製作2 |
|
8週 |
製作3 |
|
4thQ |
9週 |
製作4 |
|
10週 |
製作5 |
|
11週 |
製作6 |
|
12週 |
製作7 |
|
13週 |
製作8 |
|
14週 |
性能試験(製品提出) |
完成した装置の性能試験を実施する.
|
15週 |
報告会1 |
報告会を行い,全資料を提出する.
|
16週 |
報告会2 |
総括を行う.
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 製図 | 図面の役割と種類を適用できる。 | 3 | |
製図用具を正しく使うことができる。 | 3 | |
線の種類と用途を説明できる。 | 3 | |
物体の投影図を正確にかくことができる。 | 3 | |
製作図の書き方を理解し、製作図を作成することができる。 | 3 | |
公差と表面性状の意味を理解し、図示することができる。 | 3 | |
部品のスケッチ図を書くことができる。 | 3 | |
CADシステムの役割と基本機能を理解し、利用できる。 | 2 | |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの機械要素の図面を作成できる。 | 3 | |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプ、ねじジャッキなどを題材に、その主要部の設計および製図ができる。 | 2 | |
機械設計 | 標準規格の意義を説明できる。 | 3 | |
許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。 | 2 | |
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。 | 3 | |
ボルト・ナット結合における締め付けトルクを計算できる。 | 2 | |
ボルトに作用するせん断応力、接触面圧を計算できる。 | 2 | |
軸の種類と用途を理解し、適用できる。 | 2 | |
軸の強度、変形、危険速度を計算できる。 | 2 | |
キーの強度を計算できる。 | 2 | |
軸継手の種類と用途を理解し、適用できる。 | 2 | |
滑り軸受の構造と種類を説明できる。 | 3 | |
転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。 | 3 | |
歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。 | 3 | |
すべり率、歯の切下げ、かみあい率を説明できる。 | 2 | |
標準平歯車と転位歯車の違いを説明できる。 | 1 | |
標準平歯車について、歯の曲げ強さおよび歯面強さを計算できる。 | 2 | |
歯車列の速度伝達比を計算できる。 | 3 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 機械系分野【実験・実習能力】 | 機械系【実験実習】 | 実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。 | 3 | |
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。 | 3 | 後6 |
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。 | 3 | |
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。 | 4 | |
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。 | 3 | |
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。 | 3 | |
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。 | 3 | 後7 |
やすりを用いて平面仕上げができる。 | 3 | |
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。 | 3 | |
アーク溶接の原理を理解し、アーク溶接機、アーク溶接器具、アーク溶接棒の扱い方を理解し、実践できる。 | 2 | |
アーク溶接の基本作業ができる。 | 2 | |
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。 | 3 | |
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。 | 3 | 後8 |
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。 | 3 | |
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。 | 3 | 後9 |
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。 | 3 | 後10 |
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。 | 2 | |
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。 | 2 | |
加工学実験、機械力学実験、材料学実験、材料力学実験、熱力学実験、流体力学実験、制御工学実験などを行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。 | 2 | |
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。 | 2 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 3 | |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 3 | |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 3 | |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。 | 3 | 後11 |
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。 | 3 | 後12 |
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。 | 3 | |
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。 | 3 | |
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。 | 3 | |
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。 | 3 | |