数値解析

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 数値解析
科目番号 0056 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「Cによる数値計算法入門」森北出版,堀之内總一他著
担当教員 小柴 孝

到達目標

1. 方程式の求解法として,ニュートン法,二分法を図形的に理解し,手計算とプログラミングによって数値解を求められるようになる.
2. 補間法として,ラグランジュの補間法を図形的に理解し,手計算によって数値解を求められるようになる.
3. 数値積分法として,台形公式,シンプソン法を図形的に理解し,手計算とプログラミングによって数値解を求められるようになる.また,これらの精度を求められるようになる.
4. 微分方程式を解くために,オイラー法,ルンゲ―クッタの二次公式(修正オイラー法),ルンゲ―クッタの4次公式を図形的に理解し,手計算とプログラミングによって数値解を求められるようになる.また,これらの精度を求められるようになる.
5. 偏微分方程式の型が分類でき,式の特徴を説明できるようになる.
6.  行列計算および固有値問題などを数値的に解く方法を説明できるようになる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1  連立一次方程式の数値計算法を理解し、解を求めることができる。代数方程式の解を求めることができる。関数補間および近似式を行う際、各補間法および近似方法の違いを説明することができる。連立一次方程式の数値計算法を理解することができる。代数方程式の解を求めることができる。関数補間および近似式を行うことができる。関数補間および近似式による計算ができない。
評価項目2数値微分、数値積分の原理を理解し、具体的な計算を行うことができる。また、各種計算方法による数値解の違いを検討することができる。数値微分、数値積分の原理を理解し、具体的な計算を行うことができる。数値微分、数値積分の原理が理解できない。
評価項目3常微分方程式や偏微分方程式の解法が理解でき、具体的な計算を行うことができる。また、得られた数値解と厳密解の違いを吟味することができる。常微分方程式や偏微分方程式の解法が理解でき、具体的な計算を行うことができる。常微分方程式や偏微分方程式の解法が理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (c) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-2 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
工学で用いる様々な方程式は解析的手法によって厳密解が求まることは少なく,実用的な近似解を得るためにコンピュータを用いた数値解法がよく用いられている(いわゆるシミュレーションもその1つである).本講義では,段階を経て様々な数値解法のアルゴリズムを理解し,それらを使いこなせる能力を身につける.
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である.講義項目ごとに演習問題に取組み,各自の理解度を確認する.また,定期試験返却時に解説を行い,理解が不十分な点を解消する.
注意点:
関連科目: 数学・物理,情報処理(Cによるプログラミング)との関連が深い.
学習指針: アルゴリズムの理解には,プログラミングや数学に関する知識が必要にはなるが,対象とする方程式を図形的にイメージできるようになること.
自己学習: プログラミング,微分積分学などの基礎事項については,これまでの教科書および参考書を用いて,十分に予習を行うこと.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 方程式の根 2分法およびニュートン法を用いて解を求めることができる。
2週 連立一次方程式 ガウス-ジョルダン法を用いて方程式を解くことができる。
3週 関数補間と近似式 ラグランジュの補間法により近似式を求めることができる。
4週 関数補間と近似式 最小二乗法による近似式を求めることができる。
5週 数値微分 差分による数値微分を計算することができる。
6週 数値積分 台形公式およびシンプソンの公式を用いて数値積分ができる。
7週 後期中間試験 試験問題に対して,正しい解答を記述することができる。
8週 試験返却・解答 試験結果を確認し,解説により理解不十分な箇所を充足することができる。
4thQ
9週 常微分方程式 オイラーの前進公式により微分方程式を解くことができる。
10週 常微分方程式 ルンゲ-クッタ法により微分方程式を解くことができる。
11週 偏微分方程式 同次型二階線形偏微分方程式の型を分類することができる。
12週 偏微分方程式 偏微分方程式を差分近似により表すことができる
13週 逆行列と固有値 逆行列の数値計算法が理解できる。
14週 逆行列と固有値 固有値、固有ベクトルを求めることができる。
15週 学年末試験 試験問題に対して,正しい解答を記述することができる。
16週 試験返却・解答 試験結果を確認し,解説により理解不十分な箇所を充足することができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3後1
簡単な連立方程式を解くことができる。3後2
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3後3
2点間の距離を求めることができる。3後3
内分点の座標を求めることができる。3後4
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3後4
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3後13
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3後13
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3後13
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3後14
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3後14
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3後5
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3後5
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3後5
合成関数の導関数を求めることができる。3後5
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3後5
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3後5
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3後5
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3後5
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3後5
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3後5
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3後5
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3後6
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3後6
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3後6
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3後6
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3後6
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。3後6
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3後6
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。3後11,後12
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3後9
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3後9
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3後10
2次元のデータを整理して散布図を作成し、相関係数・回帰直線を求めることができる。3後4
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3後4
専門的能力分野別の専門工学機械系分野情報処理プログラムを実行するための手順を理解し、操作できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後9,後10,後13,後14

評価割合

試験演習課題プログラミング合計
総合評価割合702010100
基礎的能力3010040
専門的能力30101050
分野横断的能力100010