創造設計製作

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 創造設計製作
科目番号 0057 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実習 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 教科書は指定しないが、これまでの授業で購入した以下の教材を使用する。「機械製図」,実教出版,林洋次, 「新編 JIS機械製図」,森北出版,吉沢武男, 「最新機械製作」,養賢堂,機械製作法研究会.
担当教員 須田 敦,太田 孝雄

到達目標

1:創意工夫のある製品設計図の完成.
2:所定の機能を備えた装置の製作活動における自主性・協調性の発揮と個人の責任の認識.
 なお,いずれの作業も,適切な手法によって行えること.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1創意工夫のある設計製図を完成できる。設計製図を完成できる。製図の基本を理解していない。
評価項目2設計図に基づく製作が完全にできる。設計図に基づく製作ができる。設計図に基づく製作ができない。
評価項目3自主性・協調性を認識して適切な行動ができる。自主性・協調性を認識している。自主性・協調性を認識していない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (4) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科目は,1,2年で学習してきた科目・実習および3年で並行して学習する科目全てを総合し,グループ単位で自ら設計・製図した装置を自ら製作する科目である.本科目の目的は,(1)物作りのプロセスの体験,(2)基礎的な専門知識の活用と調査活動,(3)創造能力の開発と設計センスの育成,(4)1つの目的に向けたグループ活動の体験,であり,個々の学生の自主性,協調性を高めつつ,創造性を養うことにある.加えて,社会人としての責任感と社会性を認識させる.
授業の進め方・方法:
本科目のために班に分かれてグループで作業を行う.前期は,主に設計のための予備知識を身につけるための講義,課題の設計と製図を行う.後期は,機械工場での製作活動にあてる.講義は,課題に関する説明や資料による装置の作動原理にとどめ,創意工夫の余地を多く残しグループで考えることに重点を置く.
注意点:
関連科目:機械設計製図,機械工作実習,機械工作法,エネルギー基礎力学,材料力学,材料強度学
学習指針:製品の発案から完成までのプロセスは1人では達成不可能である.設計,製図,製作においては,各自が積極的に行動することはもちろん, グループ内でまとまって効率的に作業を行うこと.作業が遅れているグループが1つでもあると本科目の作業日程に影響が出るので,図面等の資料の提出期限の遅延は絶対に認められない.なお,個々のグループが効率的に作業を行っていることの証明として,各種提出資料(図面や加工工程表)ごとに製作代表者を定めること.機械工場における前期の基礎実習ならびに後期の製作活動では,思わぬ事故を未然に防ぐため指導担当者の指示に従うことはもちろん,各自が安全に十分留意すること.また,グループ活動であることから,体調不良などの特別な事情・理由のない遅刻・欠席は責任感および社会性の欠如とみなし,評価の対象となる.
事前学習:指定されたテーマに関する関連技術の動向を調べておく.
事後発展学習:講義内容に関してレポートなどにまとめる,指示された物を製作する,などしグループ調査・発表に活用すること.

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンスおよび課題説明 ガイダンスを行い,課題の説明を行う.以下,各項目について指導教員の資料提供とアドバイスの下で作業を進めていく.
2週 構想図の作成1 各グループで,与えられた課題を達成する独自のアイデアに基づいた製品構想図を作成して提出する
3週 構想図の作成2(提出) 引き続き、各グループで,与えられた課題を達成する独自のアイデアに基づいた製品構想図を作成して提出する
4週 基本設計1 構想図に基づく組立図の概略作成.鋼材等の調査を開始する。
5週 基本設計2 引き続き、構想図に基づく組立図の概略作成.鋼材等の調査を行う。
6週 基本設計3 引き続き、構想図に基づく組立図の概略作成.鋼材等の調査を行う。
7週 部品設計1 部品図の設計、作成を開始する
8週 部品設計2 引き続き、部品図を設計、作成する。
2ndQ
9週 部品設計3 素材調査や加工工程を検討し,組立図・部品図を完成させる.
10週 図面作成1 引き続き、組立図・部品図、工程表を完成させる.
11週 図面作成2 引き続き、組立図・部品図、工程表を完成させる.
12週 図面作成3 引き続き、組立図・部品図、工程表を完成させる.
13週 図面作成4 引き続き、組立図・部品図、工程表を完成させる.
14週 図面作成5(提出) 組立図・部品図、工程表を提出する.
15週 前期末試験 これまでの取組みに対するテストを実施する.
16週 答案返却・解答 理解が不十分な点を解消する.
後期
3rdQ
1週 図面修正1 組立図・部品図を修正し,工程表を再作成・再提出する.
2週 図面修正2 引き続き、組立図・部品図を修正し,工程表を再作成・再提出する.
3週 図面修正3 引き続き、組立図・部品図を修正し,工程表を再作成・再提出する.
4週 図面修正4 実習工場にて工作機械の割当て, 作業の進め方,作業ルールを説明し,製作を開始する.
5週 製作開始ガイダンス 毎回,事前に提出された加工工程表に基づいて,部品の製作を行っていく.作業時間終了時,その日の作業報告書として,各部品の加工進捗状況を提出・確認を受ける.設計変更が余儀なくされた場合は,その都度図面を修正・提出する.
6週 製作1
7週 製作2
8週 製作3
4thQ
9週 製作4
10週 製作5
11週 製作6
12週 製作7
13週 製作8
14週 性能試験(製品提出) 完成した装置の性能試験を実施する.
15週 報告会1 報告会を行い,全資料を提出する.
16週 報告会2 総括を行う.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野製図図面の役割と種類を適用できる。4
製図用具を正しく使うことができる。4
線の種類と用途を説明できる。4
物体の投影図を正確にかくことができる。4
製作図の書き方を理解し、製作図を作成することができる。4
公差と表面性状の意味を理解し、図示することができる。4
部品のスケッチ図を書くことができる。4
CADシステムの役割と基本機能を理解し、利用できる。4
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの機械要素の図面を作成できる。4
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプ、ねじジャッキなどを題材に、その主要部の設計および製図ができる。4
機械設計標準規格の意義を説明できる。4
許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。3
標準規格を機械設計に適用できる。3
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。4
ボルト・ナット結合における締め付けトルクを計算できる。3
ボルトに作用するせん断応力、接触面圧を計算できる。3
軸の種類と用途を理解し、適用できる。4
軸の強度、変形、危険速度を計算できる。3
キーの強度を計算できる。3
軸継手の種類と用途を理解し、適用できる。4
滑り軸受の構造と種類を説明できる。4
転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。4
歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。4
すべり率、歯の切下げ、かみあい率を説明できる。4
標準平歯車と転位歯車の違いを説明できる。4
標準平歯車について、歯の曲げ強さおよび歯面強さを計算できる。3
歯車列の速度伝達比を計算できる。4
リンク装置の機構を理解し、その運動を説明できる。4
代表的なリンク装置の、変位、速度、加速度を求めることができる。4
カム装置の機構を理解し、その運動を説明できる。4
主な基礎曲線のカム線図を求めることができる。4
分野別の工学実験・実習能力機械系分野【実験・実習能力】機械系【実験実習】実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。4
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。4後6
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。4
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。4
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。4後7
やすりを用いて平面仕上げができる。4
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。4
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。4
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。4後8
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。4
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。4後9
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。4後10
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。4
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。4
加工学実験、機械力学実験、材料学実験、材料力学実験、熱力学実験、流体力学実験、制御工学実験などを行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。3
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3
他者の意見を聞き合意形成することができる。3
合意形成のために会話を成立させることができる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3後11
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3後12
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。3
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

作品の評価小テスト、モデル提出物(図面、工程表、プレゼン資料など)合計
総合評価割合203050100
基礎的能力0000
専門的能力203050100
分野横断的能力0000