流体工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 流体工学Ⅱ
科目番号 0060 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 〔教科書〕「教科書名:機械系教科書シリーズ15 流体の力学」,出版社 コロナ社,著者 坂田光雄・坂本雅彦/〔補助教材・参考書〕「演習 水力学」 生井武文校閲,国清・木本・長尾共著,森北出版,1982,「JSMEテキストシリーズ 演習 流体力学」,日本機械学会,丸善出版,2012,「演習 流体工学」,井口・西原・横谷共著,電気書院,2010,「基本を学ぶ 流体力学」,藤田勝久著,森北出版,2009
担当教員 坂本 雅彦

到達目標

1. 管路内流れにおける1)流れの状態、2)速度分布(層流・乱流)、3)圧力損失、4)管路諸損失
2. 管路内流れの諸損失、自由表面をもつ流れにおける2)流れの状態、3)一様な流れの平均速度、4)非一様な流れと跳水、5)水の波
3. 境界層に関する1)概念、2)方程式、3)はく離、4)遷移及び5)物体に働く抗力についての理解1)圧縮性流体における1)基礎方程式、2)微小じょう乱の伝播、3) ノズルとディフューザ、4)衝撃波
4. 流体機械 1)ポテンシャル流れ及び翼(2次元・3次元)、2)風車(プロペラ風車)、3)水車(ペルトン水車、相似則)、4)ポンプ・送風機(渦巻きポンプ、相似則)、5)流体機械・配管系の不安定現象(サージング、水撃現象)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1円管内流れが層流・乱流とした場合の速度分布の式を導出し,管摩擦による損失と渦などの流れによる損失を考慮した上でベルヌーイの定理を適用して配管内流れの速度やヘッドなどを求めることができる.併せてポンプを配管に配置した際の性能曲線を説明でき、ポンプ効率を求めることができる.円管内流れが層流・乱流とした場合の速度分布の式が説明でき,管摩擦による損失と渦などの流れによる損失を考慮した上でベルヌーイの定理を適用して配管内流れの速度、圧力、ヘッドなどの計算ができる.円管内流れの速度分布の式を説明することができない.管摩擦による損失と渦などの流れによる損失を考慮した上でベルヌーイの定理を適用して配管内流れの速度、圧力、ヘッドなどの計算ができない.
評価項目2開・閉水路の流れの平均速度を計算し,流れの状態が説明でき,最小エネルギで送水する水路形状や流れの状態(跳水含)を計算できる.水面波の種類について説明できる.境界層の説明ならびに境界層厚さに関する3つの計算ができる.開・閉水路の流れの平均速度を計算し,流れの状態が説明できる.水面波の種類について説明できる.境界層の説明ならびに境界層厚さの計算ができる.開・閉水路、水面波の流れの状態が説明できない.境界層の説明ならびに境界層厚さの計算ができない.
評価項目3平板と翼に働く力の計算ができる.圧縮性の効果や流れの現象を説明でき,衝撃波を伴う管内流の速度や圧力の変化について説明し,計算することができる.平板に働く力の計算ができる.圧縮性の効果や流れの現象,衝撃波を伴う管内流れの状態の変化を説明できる.平板に働く力の計算ができる.圧縮性の効果や流れの現象,衝撃波を伴う管内流れの状態の変化を説明できる.
評価項目4流体機械の羽根車を構成する翼型についてポテンシャル流れと主要な定理を理解できる。2次元および3次元翼の違いを説明できる.翼に関する名称、主要定理が説明できない。
評価項目5流体機械・配管系を構成する機器の構造や流れの挙動を理解し、性能評価ができる。流体機械内の流れを考慮してその動力や効率の計算ができる。流体機械内の流れを考慮してその動力や効率の計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
流体の運動である流れを力学的に取り扱う科学技術の分野は極めて広く多岐にわたっている.本講義では,4年次の流体工学の内容をもとに,流体運動のより実現象に関する理解を深め,応用力を養う事を目的とする.
授業の進め方・方法:
ポンプや配管内の流れを対象に流体の粘性にもとづく各種損失について解説する.また,水路内の流れや波動についても解説する.さらに,流体や物体に働く力を流れの状態と関連つけながら説明する.最後に,圧縮性流体の流れについて解説する.
注意点:
関連科目:
 流体工学Ⅰ,応用数学,応用物理などとの関連が深い.
学習指針:
 数学的な取扱が多いが,各自の様々な経験や身近な体験を通して説明できるまで理解することが重要である.
自己学習:
 到達目標を達成するためには,授業以外にも教科書の例題や演習問題を解き理解を深める必要がある.関連する図書も参考にして自学・自習をすること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 理想流体の概念 流体の性質はじめ質量,エネルギ,運動量の各保存則について説明することができる.
2週 管路内流れと速度分布(1) 流れの状態と臨界レイノルズ数について説明することができる.
3週 管路内流れと速度分布(2) 速度分布の式(対数法則・1/7乗則)を導出することができる.
4週 管路内流れの損失 管摩擦損失について説明することができる.
5週 管路内流れの諸損失 各種の流れの諸損失について説明することができる.
6週 ポンプの動作曲線 ポンプの動作点を説明することができ,ポンプ効率を計算できる.
7週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
2ndQ
9週 自由表面を持つ流れ 開・閉水路の流れの状態を説明でき,平均速度の計算ができる.
10週 常流・射流と限界水深 最小エネルギで送水する水路の形状・流れの状態を計算できる.
11週 非一様な流れと跳水 跳水現象を説明することができ,その圧損や水深を計算できる.
12週 水の波 波動現象について基礎方程式を誘導し,各種の波について説明できる.
13週 境界層の概念 物体に働く抗力と境界層(剥離、遷移現象含)について説明できる.
14週 境界層厚さ 境界層厚さ.排除厚さ,運動量厚さを説明し計算できる.
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
後期
3rdQ
1週 平板に作用する抗力 層流・乱流境界層が平板上に生じた際の抗力について説明できる.
2週 翼に作用する力 翼型の各部名称と性能曲線,クッタの条件,クッタジューコフスキーの定理を説明できる.
3週 圧縮性流体の概念 圧縮性を考慮すべき流れ場の条件を説明できる.
4週 音速とマッハ数 圧縮性流体の流れと基礎式を導き,圧縮性の効果について説明できる.
5週 ノズル・ディフューザ 圧縮性を考慮したノズル・ディフューザ内の流れ場を説明できる.
6週 ラバール管と衝撃波 超音速流れとなるラバール管内流れの状態を説明できる.
7週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
4thQ
9週 ポテンシャル流れと翼型(2次元・3次元) ポテンシャル流れの取扱を理解し,翼型の主要な定理について理解し説明できる.また,2次元と3次元の違いについて理解する.
10週 送風機 送風機前後の流れに運動量保存則を適用し、最大効率を表すBet's Limitについて理解する.
11週 風車(プロペラ型) 風車の種類や特性について説明できる.プロペラ型風車の性能計算ができる.
12週 水車(ペルトン水車) 水車の種類について説明できる.ペルトン水車の性能計算ができる.比速度をもとに水車の型が選別できる.
13週 ポンプ(渦巻きポンプ) ポンプの種類と特性について理解する.渦巻きポンプの性能計算ができる.比速度からポンプの型が選別できる.
14週 流体機械・配管系の不安定現象 サージングの現象について理解し説明でき,不安定領域の範囲を計算できる.水撃現象について理解・説明でき、圧力波の伝播速度や圧力上昇を計算できる.
15週 課題・演習 9週~14週の到達目標を確認し,演習を行い理解を深める.
16週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。4
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。4
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。4
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。4
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。4

評価割合

試験演習・課題レポート点授業態度点合計
総合評価割合602020100
基礎的能力30102060
専門的能力3010040