流体力学演習

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 流体力学演習
科目番号 0073 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 〔教科書〕「教科書名:機械系教科書シリーズ15 流体の力学」,出版社 コロナ社,著者 坂田光雄・坂本雅彦/〔補助教材・参考書〕「演習 水力学」 生井武文校閲,国清・木本・長尾共著,森北出版,1982,「JSMEテキストシリーズ 演習 流体力学」,日本機械学会,丸善出版,2012,「演習 流体工学」,井口・西原・横谷共著,電気書院,2010,「基本を学ぶ 流体力学」,藤田勝久著,森北出版,2009
担当教員 坂本 雅彦

到達目標

1. 管路内流れにおける1)流れの状態、2)速度分布(層流・乱流)、3)圧力損失、4)管路諸損失
2. 管路内流れの諸損失、自由表面をもつ流れにおける2)流れの状態、3)一様な流れの平均速度、4)非一様な流れと跳水、5)水の波
3. 境界層に関する1)概念、2)方程式、3)はく離、4)遷移及び5)物体に働く抗力についての理解1)圧縮性流体における1)基礎方程式、2)微小じょう乱の伝播、3) ノズルとディフューザ、4)衝撃波
4. 流体機械 1)ポテンシャル流れ及び翼(2次元・3次元)、2)風車(プロペラ風車)、3)水車(ペルトン水車、相似則)、4)ポンプ・送風機(渦巻きポンプ、相似則)、5)流体機械・配管系の不安定現象(サージング、水撃現象)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1円管内流れが層流・乱流とした場合の速度分布の式を導出し,管摩擦による損失と渦などの流れによる損失を考慮した上でベルヌーイの定理を適用して配管内流れの速度やヘッドなどを求めることができる.併せてポンプを配管に配置した際の性能曲線を説明でき、ポンプ効率を求めることができる.円管内流れが層流・乱流とした場合の速度分布の式が説明でき,管摩擦による損失と渦などの流れによる損失を考慮した上でベルヌーイの定理を適用して配管内流れの速度、圧力、ヘッドなどの計算ができる.円管内流れの速度分布の式を説明することができない.管摩擦による損失と渦などの流れによる損失を考慮した上でベルヌーイの定理を適用して配管内流れの速度、圧力、ヘッドなどの計算ができない.
評価項目2開・閉水路の流れの平均速度を計算し,流れの状態が説明でき,最小エネルギで送水する水路形状や流れの状態(跳水含)を計算できる.水面波の種類について説明できる.境界層の説明ならびに境界層厚さに関する3つの計算ができる.開・閉水路の流れの平均速度を計算し,流れの状態が説明できる.水面波の種類について説明できる.境界層の説明ならびに境界層厚さの計算ができる.開・閉水路、水面波の流れの状態が説明できない.境界層の説明ならびに境界層厚さの計算ができない.
評価項目3平板と翼に働く力の計算ができる.圧縮性の効果や流れの現象を説明でき,衝撃波を伴う管内流の速度や圧力の変化について説明し,計算することができる.平板に働く力の計算ができる.圧縮性の効果や流れの現象,衝撃波を伴う管内流れの状態の変化を説明できる.平板に働く力の計算ができる.圧縮性の効果や流れの現象,衝撃波を伴う管内流れの状態の変化を説明できる.
評価項目4流体機械の羽根車を構成する翼型についてポテンシャル流れと主要な定理を理解できる。2次元および3次元翼の違いを説明できる.翼に関する名称、主要定理が説明できない。
評価項目5流体機械・配管系を構成する機器の構造や流れの挙動を理解し、性能評価ができる。流体機械内の流れを考慮してその動力や効率の計算ができる。流体機械内の流れを考慮してその動力や効率の計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
流体の運動である流れを力学的に取り扱う科学技術の分野は極めて広く多岐にわたっている.本講義では,4年次の流体工学の内容をもとに,流体運動のより実現象に関する理解を深め,応用力を養う事を目的とする.
授業の進め方・方法:
ポンプや配管内の流れを対象に流体の粘性にもとづく各種損失について解説する.また,水路内の流れや波動についても解説する.さらに,流体や物体に働く力を流れの状態と関連つけながら説明する.最後に,圧縮性流体の流れについて解説する.
注意点:
関連科目:
 流体工学Ⅰ,応用数学,応用物理などとの関連が深い.
学習指針:
 数学的な取扱が多いが,各自の様々な経験や身近な体験を通して説明できるまで理解することが重要である.
自己学習:
 到達目標を達成するためには,授業以外にも教科書の例題や演習問題を解き理解を深める必要がある.関連する図書も参考にして自学・自習をすること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流体の性質に関する演習(1) 流体の性質を表す各種物理量に対し理解し、計算できる。
2週 流体の性質に関する演習(2) ニュートンの粘性法則を用いて計算できる。ニュートン流体と非ニュートン流体の違いについて説明できる。
3週 流体の静力学に関する演習(1) 絶対圧力およびゲージ圧力を理解し、計算できる。
4週 流体の静力学に関する演習(2) パスカルの原理を理解し、計算できる。
5週 流体の静力学に関する演習(3) 液柱計やマノメータを用いた圧力計測を理解し、計算できる。
6週 流体の静力学に関する演習(4) 平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。
7週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
2ndQ
9週 流体の静力学に関する演習(5) 物体に作用する浮力を計算できる。
10週 流体の動力学(1) 定常流と非定常流、流線と流管の定義を理解し、説明できる。
11週 流体の動力学(2) 連続の式、オイラーの運動方程式を理解し、計算できる。
12週 流体の動力学(3) ベルヌーイの定理と運動量保存則を使って計算できる。
13週 管路内の流れ 層流と乱流、レイノルズ数をもとに管摩擦損失を計算できる。
14週 抗力と揚力 境界層、抗力と揚力について理解し、計算できる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。4
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。4
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。4
パスカルの原理を説明できる。4
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。4
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。4
物体に作用する浮力を計算できる。4
定常流と非定常流の違いを説明できる。4
流線と流管の定義を説明できる。4
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。4
オイラーの運動方程式を説明できる。4
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。4
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。4
層流と乱流の違いを説明できる。4
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。4
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。4
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。4
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。4
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。4

評価割合

試験演習・課題レポート点授業態度点合計
総合評価割合602020100
基礎的能力30102060
専門的能力3010040