機械設計工学演習

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 機械設計工学演習
科目番号 0093 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 講師作成の資料による
担当教員 須田 敦

到達目標

1.機械設計技術者として工学系知識以外に、経営分析、信頼性工学や統計的分析法などを学び、設計者の役割および設計プロセスを具体的に表すことができる。

2.機械設計技術者として工学系知識以外に、国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)に代表される国際的な取り組みに視野を広げ、機械工学とのつながりを具体的に表すことができる。

3.機械設計技術者に必要な基礎的な知識の内、設計・計画、情報・理論、解析、材料・化学・バイオ、環境・エネルギー・技術、法律・倫理に関する事項を具体的に説明することができる。

4.機械部品の現在の設計の仕組みとその評価方法を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1機械設計技術者として工学系知識以外に、企画、品質、コスト、納期、試作評価に至るまでの具体的な検討手法を理解し、企業における設計者の役割および設計工学プロセスを具体的に説明することができる。機械設計技術者として工学系知識以外に、企画、品質、コスト、納期、試作評価に至るまでの検討手法を理解することができる。企業における設計者の役割および設計工学プロセスを説明することができる。機械設計技術者として工学系知識以外に、企画、品質、コスト、納期、試作評価に至るまでの検討手法を理解することができない。企業における設計者の役割および設計工学プロセスを説明することができない。
評価項目2機械設計技術者として工学系知識以外に、様々な取り組みに視野を広げ、機械工学とのつながりを具体的に表すことができる。機械設計技術者として工学系知識以外に、様々な取り組みに視野を広げ、機械工学とのつながりを表すことができる。機械設計技術者として工学系知識以外に、様々な取り組みに視野を広げ、機械工学とのつながりを表すことができない。
評価項目3機械設計技術者に必要な、設計・計画、情報・理論、解析、材料・化学・バイオ、環境・エネルギー・技術、法律・倫理に関する事項を具体的に説明することができる。設計・計画、情報・理論、解析、材料・化学・バイオ、環境・エネルギー・技術、法律・倫理に関する事項を説明することができる。設計・計画、情報・理論、解析、材料・化学・バイオ、環境・エネルギー・技術、法律・倫理に関する事項を説明することができない。
評価項目4機械部品の設計の仕組みを理解し,正しく説明することができる。機械部品の設計の仕組みを説明することができる。 機械部品の設計の仕組みを説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (4) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2c) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 現在の機械設計工学は、工学系の学問のみならず経営工学、信頼性工学および統計的分析法などを駆使して、要求された仕様に合った製品を作り出す総合技術である。本講義では企業が取り入れている種々の合理的な設計全般を学習し、具体的な事例として機械部品の設計業務を通しその設計手法を学ぶ。
 不連続的に変化し続け、予測困難なこれからの社会において、複雑化した社会問題を解決できる技術者が求められる。本講義では国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)に代表される国際的な取り組みに視野を広げ、全体をシステムとしてデザインする力養う。

※実務との関係
 この科目は企業で機械部品の設計・開発・研究を担当していた教員が、その経験を活かし、機械部品や機械装置の種類、特性、最新の設計手法等について講義に演習を交えた形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
 機械設計工学は学際的な学問であるので、まず、設計・計画、情報・理論、解析、材料・化学・バイオ、環境・エネルギー・技術、法律・倫理、などの基礎的事項について学ぶ。
 さらに、例えばSDGsなどを題材に社会を取り巻く様々な取り組みに視野を広げ、機械工学とのつながりを学ぶ。
 授業計画は、理解度や進度状況をふまえて、適宜変更することがある。
注意点:
関連科目:
 応用数学、材料力学、金属材料学などとの関連が深い。
学習指針:
 今まで学んできた工学系学問以外に幅広い視野を持ち、総合的な機械設計を理解する。
自己学習:
 機械設計工学演習で学ぶ総合的な知識は物を生産するあらゆる業界で広く応用できるので、日常生活の中から具体的なテーマと解決手法を自習する。
事前学習:
 あらかじめ授業計画に記載されている事項について配布資料もしくは指示された既存教科書の事項を読み、理解できるところ、理解できないところを明らかにしておく。
事後展開学習:
 授業で課題を提示するので、指定日時までにTeamsなどLMSを用いて学習記録とともに提出する。

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 設計の概念
企業における設計
広義の設計における担うべき役割について説明できる。
企業で行われている設計とは何かを説明できる。
2週 設計のプロセス
設計で決定する事項
企業で行われている設計の手順と仕組みを説明できる。
設計で何を決めるのか、どう評価するのかを説明できる。
3週 規格
工学系以外の知識
設計上考慮しなければならない規格を説明できる。
設計品の品質を評価する品質工学および統計的分析手法を説明できる。
4週 工学系知識(材料、表面処理、など) 機械構造物に用いられる主要な材料とその特長を説明できる。
鋼製品の表面硬化法、表面処理法、溶接法を説明できる。
5週 機械要素設計I(ボルト、ナット、歯車、バネ、など) ボルト締結理論について説明できる。
歯車およびバネの設計方法について説明できる。
6週 機械要素設計II(軸受、疲れ強さ、など) 軸受、継ぎ手の設計方法について説明できる。
許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中について説明できる。
7週 前期中間試験 授業内容を理解し試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
2ndQ
9週 設計・計画 設計理論、システム設計、品質管理、などについて説明できる。
10週 情報・理論 アルゴリズム、情報ネットワーク、などについて説明できる。
11週 解析 計算力学に関して説明できる。
12週 材料・化学・バイオ 材料特性、化学、バイオテクノロジー、などについて説明できる。
13週 環境・エネルギー・技術 環境、エネルギー、技術史、などについて説明できる。
14週 法律・倫理 設計上考慮しなければならない法律、技術者倫理、などについて説明できる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 経営分析、信頼性工学や統計的分析法など 機械設計技術者として必要な工学系知識以外を説明することができる。
2週 同上 同上
3週 同上 同上
4週 同上 同上
5週 同上 同上
6週 同上 同上
7週 後期中間試験 授業内容を理解し試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
4thQ
9週 社会を取り巻く様々な取り組み 機械工学と社会を取り巻く様々な取り組みを関連させ、説明することができる。
10週 同上 同上
11週 同上 同上
12週 同上 同上
13週 同上 同上
14週 同上 同上
15週 学年末試験 授業内容を理解し試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野機械設計標準規格の意義を説明できる。4前5
許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。4
標準規格を機械設計に適用できる。4
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。4前5
ボルト・ナット結合における締め付けトルクを計算できる。4前5
ボルトに作用するせん断応力、接触面圧を計算できる。4前5
軸の種類と用途を理解し、適用できる。4前6
軸の強度、変形、危険速度を計算できる。4前6
キーの強度を計算できる。4
軸継手の種類と用途を理解し、適用できる。4前6
滑り軸受の構造と種類を説明できる。4前6
転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。4前6
歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。4前5
すべり率、歯の切下げ、かみあい率を説明できる。4前5
標準平歯車と転位歯車の違いを説明できる。4前5
標準平歯車について、歯の曲げ強さおよび歯面強さを計算できる。4前5
歯車列の速度伝達比を計算できる。4前5
リンク装置の機構を理解し、その運動を説明できる。4
代表的なリンク装置の、変位、速度、加速度を求めることができる。4
カム装置の機構を理解し、その運動を説明できる。4
主な基礎曲線のカム線図を求めることができる。4
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。2
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。2
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3
他者の意見を聞き合意形成することができる。3
合意形成のために会話を成立させることができる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる3
複数の情報を整理・構造化できる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。3
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3
企業には社会的責任があることを認識している。3
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。3
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。3
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。3
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合4060100
基礎的能力000
専門的能力203050
分野横断的能力203050