国語Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 国語Ⅰ
科目番号 0001 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 電気工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 「ちくま文学講読 初級編」(筑摩書房)、「高等学校 言語文化」(第一学習社)/「カラー版新国語便覧」(第一学習社)、「国語便覧ワークノート」(第一学習社)「常用漢字ダブルクリア」(尚文出版)
担当教員 藤井 隆輔

到達目標

1. 高等学校1年生相当の漢字力や語彙力を身につけている。
2. 小説について、登場人物の心情の変化を読み取ることができる。また、自身の経験にひきつけて感想を述べることができる。
3. 評論文について、全体の構造を把握し、筆者の意見を的確に読み取ることができる。また、筆者の意見に対して、自身の意見を根拠をもって表現することができる。
4. 日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。
5. 文語のきまり、漢文訓読のきまりを身につけている。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
コミュニケーション力話し手の指示や意見を的確に聞き取り、正確にまとめることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、適切な声の大きさ、明瞭な発音で、述べたり読んだりすることができる。話し手の指示や意見を的確に聞き取ることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、述べたり音読したりすることができる。話し手の指示や意見を聞くことができない。 聞き手を意識せずに、自身の意見や与えられた文章を、声の大きさや発音に気を留めずに述べたり音読したりする。もしくは活動時に発言しない。
読解力・思考力書物や文献に対して、批判的に読解し、自身の意見を抱き、正確に表現することができる。書物や文献に対して、自身の意見を抱き、表現しようと工夫することができる。書物や文献に対して、自身の意見を表現することができない、もしくは文章表現として著しい誤りがある。
判断力・表現力初見の文章について、内容を理解しながらスムーズに音読することができる。初見の文章について、句としてのまとまりを意識しながら音読することができる。初見の文章について、単語ごとに細切れに音読する。
言語運用能力言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を即座に調べ、習得することができる。 高校卒業程度の語彙力(漢検準2級~2級程度)を有しており、適切に運用することができる。言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を自主的に調べることができる。 高校在学程度の語彙力(漢検準2級程度)を有しており、適切に運用することができる。言葉に関心がなく、初見の語であっても自主的に調べることがない。 中学校卒業程度の語彙力(漢検3級程度)を有しており、高校在学程度の語彙を誤って運用することがある。
伝統的な言語文化に対する能力(古文)日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。日本の伝統的な言語文化について、興味・関心を持つことができる。日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ったり、その価値に気づくことができない。
伝統的な言語文化に対する能力(漢文)文語のきまり、漢文訓読のきまりを身につけている。文語のきまり、漢文訓読のきまりについて、調べることができる。文語のきまり、漢文訓読のきまりについて、全く理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
他者との相互理解や相互伝達を円滑なものにするために、理解力や表現力とそれらを支える思考力や感性を培う。また、言語文化への理解を深め、多様な価値観を知ることを通して、豊かな人間性を育む。
授業の進め方・方法:
高等学校第1学年に相当する学力を身につけるため、高等学校用の教科書を使用し、様々な文章を読んで多角的な思考力を養っていく。また学生同士で「話し合う」、考えた内容をノートや文章に自分で「まとめる」ことを通して自分の考えを深める。
通年の2時間を「現代の国語」(評論文・随筆・小説)、半期の2時間を「言語文化」(古文・漢文)の時間に当てる。
注意点:
関連科目
国語の運用能力は、人文や社会科学系の科目ばかりでなく、自然科学系の科目の基礎にもなる。

学習指針
授業中は発問を多くするので、積極的な発言ができるよう準備しておくこと。
また、作文や創作の時間を有効に使えるように、日頃から問題意識を持って自分や自分の身の回りの世界に目を向けておくこと。定期的に授業の冒頭で小テストをする。

自己学習
授業前に教科書の下読み、新出漢字の練習、語句の下調べを、プリント課題を通して必ず取り組んでおくこと。予習・復習をして理解を深める工夫をすること。
古典については、適宜配付されるプリントを通じて、重要単語の意味を調べる等の予習をすること。意味や訳のわからなかったところを授業で補い、ノートに記入するようにするとよい。

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 現国 ガイダンス・小川洋子「愛されすぎた白鳥」①
言文 ガイダンス・漢文「論語・学び」①
現国 登場人物の人物像、および作中での役割を理解する。
言文 『論語』について知り、孔子や諸子百家の思想について理解することができる。
2週 現国 小川洋子「愛されすぎた白鳥」②
言文 漢文「論語・学び」②
現国 登場人物と動物との関係や心情の変化を捉え、内容や展開を理解する。
言文 訓読のきまりを理解し、内容を解釈することができる。
3週 現国 小川洋子「愛されすぎた白鳥」③
言文 古文「児のそら寝」①
現国 寓話という物語形式を理解し、作中に登場するものの意味を考える。
言文 古典の文章に読み慣れ、話の内容や人物描写の巧みさを読み取る。
4週 現国 山崎正和「水の東西」①
言文 古文「児のそら寝」②
現国 「水」に注目した時の東西の自然観の違いについて整理する。
言文 品詞の種類や古今異義語について、文語のきまりを理解する。
5週 現国 山崎正和「水野東西」②
言文 古文「絵仏師良秀」①
現国 事象や現象を対比的に分類・整理する考察の仕方を学ぶ。
言文 語句の意味を調べ、説話の内容や展開を的確に捉える。
6週 現国 山崎正和「水の東西」③
言文 古文「絵仏師良秀」②
現国 西洋文化と日本文化の特徴と相違について整理し、要約を作成する。
言文 作品に表れているものの見方や考え方を捉え、自身の考えを述べることができる。
7週 現国 山崎正和「水の東西」④
言文 学力判定試験
現国 筆者の主張に対する自分の意見を、理由を明確にしながら書くことができる。
言文 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 前期中間試験
授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
2ndQ
9週 現国 試験返却・川上弘美「水かまきり」①
言文 試験返却・漢文「漁夫之利」
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
現国 登場人物の人物像について読み取ることができる。
言文 たとえ話を読み取り、内容や展開を的確に捉える。
10週 現国 川上弘美「水かまきり」②
言文 漢文「先従隗始」①
現国 登場人物の関係について、表現や展開から読み取る事ができる。
言文 史伝という文章の種類を踏まえて、内容や展開を的確に捉える。
11週 現国 川上弘美「水かまきり」③
言文 漢文「先従隗始」②
現国 作中に登場するものの役割や意味について考えることができる。
言文 歴史的背景を知るとともに、作中の論理の巧みさを読み解く。
12週 現国 幸田文「えぞ松の更新」①
言文 古文「筒井筒」①
現国 話の展開に即して、筆者の心情の変化をまとめることができる。
言文 語句の意味や用言の活用について理解し、本文の内容を的確に捉えることができる。
13週 現国 幸田文「えぞ松の更新」②
言文 古文「筒井筒」②
現国 筆者のものの見方と考え方の特徴を読み取ることができる。
言文 歌物語というジャンルの特徴を捉え、和歌の果たす意味を理解する。
14週 現国 幸田文「えぞ松の更新」③
言文 学力判定試験
現国 筆者の表現の特徴を捉え、その効果について考えを発表することができる。
言文 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
15週 前期末試験
授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 現国 ガイダンス・梶井基次郎「檸檬」① 現国 登場人物が抱えている心情について、内容から的確に読み取ることができる。
2週 現国 梶井基次郎「檸檬」② 現国 登場人物が心の中にいだくイメージを表現に即して読み取ることができる。
3週 現国 梶井基次郎「檸檬」③ 現国 作中における「檸檬」の役割と意味について、内容と展開に即して考えることができる。
4週 現国 林京子「空き缶」① 現国 小説の舞台となった場所や時代背景について理解する。
5週 現国 林京子「空き缶」② 現国 内容や展開に即して、原爆投下時の状況とその後の状況について読み取ることができる。
6週 現国 林京子「空き缶」③ 現国 登場人物たちの心理について、物語の叙述に即して考えることができる。
7週 現国 林京子「空き缶」④ 現国 作中に登場するものの役割や意味について考えることができる。また、記憶や体験を物語として構成する方法について考えることができる。
8週 後期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
4thQ
9週 現国 試験返却・大江健三郎「ある時間、待ってみてください」① 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
現国 問題を解決することの意味について、筆者の考えを読み取ることができる。
10週 現国 大江健三郎「ある時間、待ってみてください」② 現国 筆者のものの見方や考え方に対して、自分の意見を文章化することができる。
11週 現国 太宰治「富嶽百景」① 現国 作者に関する情報、文学史的背景について理解することができる。
12週 現国 太宰治「富嶽百景」② 現国 それぞれの場面における登場人物の心情について、叙述に即して解釈することができる。
13週 現国 太宰治「富嶽百景」③ 現国 作中に登場する「富士」が果たしている役割を整理し、読み取ることができる。
14週 現国 太宰治「富嶽百景」④ 現国 「富士」と「月見草」の対比に託されたものについて、自身の考えをまとめることができる。
15週 学年末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文社会科学国語国語論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要旨・要点をまとめることができる。3前4,前5,前6,前7,後9,後10
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。3前4,前5,前6,前7,後9,後10
社会生活で使われる語彙(故事成語・慣用句等を含む)を増やし、思考・表現に活用できる。3前4,前5,前6,前7
専門の分野に関する用語を論理的思考・表現に活用できる。3前4,前5,前6,前7
文学作品(小説・随筆・詩歌・古典等)を文脈に即して鑑賞し、そこに描かれたものの見方や登場人物の心情を説明できる。3前1,前2,前3,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後11,後12,後13,後14
言語的・文化的教養(語彙・知識等)に広く関心を持ち、そこで得られた知識や考え方を効果的な表現に活用できる。3前1,前2,前3,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後11,後12,後13,後14
言語作品の読解を通して、人間や社会の多様な在り方についての考えを深め、自己を客観的に捉えたり自分の意見を述べることができる。3前1,前2,前3,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後11,後12,後13,後14
常用漢字を中心に、日本語を正しく読み、表記できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実用的な文章(手紙・メール等)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。3前6
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集し、それを整理、分析できる。3前6
整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開、表現方法を工夫し、報告・論文を作成できる。3前7,後10,後14
作成した報告・論文の内容及び自分の思考や考察を資料(図解・動画等)にまとめ、的確に口頭発表できる。3後14
課題や条件に応じ、根拠に基づいて議論できる。3前5,前6,前7,後13,後14
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。3前7,後10
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。3前6,前7,後10,後14

評価割合

試験提出物態度・小テスト合計
総合評価割合702010100
現代文能力50101070
古典能力2010030