基礎電気回路

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 基礎電気回路
科目番号 0016 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 〔教科書〕「電気の基本としくみがよくわかる本」,ナツメ社,福田 務 著 … この科目専用の教科書ではなく,5年間通して使う参考書 〔補助教材・参考書〕「はじめて学ぶ 電気回路計算法の完全研究」,オーム社,永田 博義 著,ランジスタ技術,CQ出版 の関連箇所 他,補助教材は適宜準備
担当教員 石飛 学

到達目標

〔到達目標〕
前期中間試験 : 1)電気の性質,2)電気量と電流,3)電気的エネルギーと仕事,4)電位や起電力
前期 末 試験 : 1)オームの法則,2)直並列接続の合成抵抗の導出,3)分圧と分流,
4)電気抵抗の性質,5)電流源と電圧源,6)キルヒホッフの法則を用いた回路解析
後期中間試験 : 1)重ねの理を用いた回路解析,2)ダイオードの等価回路とLED駆動回路の設計,
3)v-i特性のグラフ,4)太陽電池の特性と等価回路
学年 末 試験 : 1)鳳-テブナンとノートンの等価回路,2)整合,3)ブリッジ回路とその応用,
4)各種電源(周波数・周期他) 等                以上の修得

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 電気の性質,電気量と電流,電気的エネルギーと仕事,電位や起電力について理解し、応用問題を解くことができる。電気の性質,電気量と電流,電気的エネルギーと仕事,電位や起電力について理解し、基本的な問題を解くことができる。電気の性質,電気量と電流,電気的エネルギーと仕事,電位や起電力について理解することができない。
評価項目2 オームの法則,直並列接続の合成抵抗の導出,分圧と分流,電気抵抗の性質,電流源と電圧源,キルヒホッフの法則を用いた回路解析について理解し,応用問題を解くことができる。オームの法則,直並列接続の合成抵抗の導出,分圧と分流,電気抵抗の性質,電流源と電圧源,キルヒホッフの法則を用いた回路解析について理解し,基本的な問題を解くことができる。オームの法則,直並列接続の合成抵抗の導出,分圧と分流,電気抵抗の性質,電流源と電圧源,キルヒホッフの法則を用いた回路解析について理解することができない。
評価項目3重ねの理を用いた回路解析,ダイオードの等価回路とLED駆動回路の設計,v-i特性のグラフ,太陽電池の特性と等価回路について理解し,応用問題を解くことができる。重ねの理を用いた回路解析,ダイオードの等価回路とLED駆動回路の設計,v-i特性のグラフ,太陽電池の特性と等価回路について理解し,基本的な問題を解くことができる。重ねの理を用いた回路解析,ダイオードの等価回路とLED駆動回路の設計,v-i特性のグラフ,太陽電池の特性と等価回路について理解することができない。
評価項目4鳳-テブナンとノートンの等価回路,整合,ブリッジ回路とその応用,各種電源(周波数・周期他)等について理解し,応用問題を解くことができる。鳳-テブナンとノートンの等価回路,整合,ブリッジ回路とその応用,各種電源(周波数・周期他)等について理解し,基本的な問題を解くことができる。鳳-テブナンとノートンの等価回路,整合,ブリッジ回路とその応用,各種電源(周波数・周期他)等について理解することができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電気の世界で使われる電圧,電流などの基本用語や使用される単位を理解し,またキルヒホッフの法則や等価回路変換など,回路解析に必要な基礎理論とその使い方を習得する。上記の学習を通して,多くの中学校や塾で勧められてきた学習の仕方(演習を数こなして,解答パターンをそのまま暗記し積み上げていく学習法)から離脱し,アルゴリズムを構築していくこれからの方法を身につけることが真の目的である。
授業の進め方・方法:
電気って何?からスタートし,電気の基本用語の習得と回路の解析方法に重点をおいて講義を進めていく。直流回路(回路パズル)を中心に扱い,LED駆動回路の設計,太陽電池や環境に関わるトピックス等も取り上げる。この授業では,電気工学科とはどんなところか? この先どうなっていくのか? どのように勉強したら良いか等の話題も提供する。
注意点:
関連科目
論理的思考を練習する科目なので,全科目のベースとなる。この科目を通して,中学校的思考→論理的思考 に切り替え,楽して身につく世界へ移ってほしい。
学習指針
特別な天才でない限り,ほとんどの中学校や塾でやらされてきた次の考え方,勉強方法が通用しない。
1) 演習を数こなして身につけ,そのパターンを当てはめていく考え方
2) 授業中板書の写しに専念し,後で読み返しながら問題演習する方法
3) 定期テスト前に問題演習を繰り返し,パターンを身に着ける方法
小学生のように無垢になって,「暗記する」から「“なぜ” を通して理解する」に戻してほしい。最初慣れないかもしれないが,板書の全コピーを止めて必要な個所だけメモし(口頭で“重要”と念押しする個所は特に大事。耳を使って!),その場で考え修得するよう努めてほしい。一方的な授業はつまらないので,質問攻撃を望む。疑問点が残った場合,放課後等利用して早めに質問や相談に来ること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション

本学科で学ぶこと,また本授業で習得することや進め方など説明する。その後,電気とは何でどこにあるのか(電荷,帯電,電流等)確認する。
左記のことが理解できること。
2週 電気の大きさとは?

導体と絶縁体,電気抵抗,イオンについて触れる。次に,電気の大きさの表し方を学び,“べき”の演習も行う。
左記のことが理解できること。
3週 電流の定義,エネルギーとは?

電流の定義とその特性について学ぶ。次に,各種エネルギーと電気エネルギーの関係,エネルギーが高い・低い,保存則とは何か学ぶ。
左記のことが理解できること。
4週 仕事とは? 電気エネルギーと電力

仕事とは何か?,「エントロピー増大の法則」について確認後,エネルギーや仕事量の表し方,電力,電力量等を学ぶ。エクセルギーは宿題。
左記のことが理解できること。
5週 電位,電圧,GNDとは?

エネルギーの観点から電位,電位差,電圧が何を表しているのか学ぶ。
その後,アースの話をし,静電気と雷についても触れる。
左記のことが理解できること。
6週 直流回路,起電力とは?

電流を循環させる回路と起電力について学ぶ。再度,電力の確認もする。
演習を通して,直流電圧源の扱い方,勉強方法についても確認する。
左記のことが理解できること。
7週 確認と演習

回路図の書き方に触れ,その後,これまでの確認と演習を行う。
左記のことが理解できること。
8週 抵抗とオームの法則

まず定期テストの結果をもとに勘違い点,ミスしやすい点を確認する。
次に電池,電気抵抗とオームの法則について確認する。
左記のことが理解できること。
2ndQ
9週 抵抗の性質

電気抵抗の性質と抵抗率,導電率について学ぶ。またジュール熱と電力についても再確認する。その後,直列,並列接続した抵抗の合成抵抗値の求め方を確認する。
左記のことが理解できること。
10週 分圧と分流,電圧源と電流源

複数個の抵抗をもつ直流回路の計算法,分圧及び分流の考え方を身につける。電圧源,電流源,ショートとオープンについても学ぶ。
左記のことが理解できること。
11週 電圧降下,回路網からキルヒホッフの法則へ

電圧降下,回路網と回路網の法則(キルヒホッフの法則)を学ぶ。また,
これを用いた計算法(枝電流法)を学ぶ。
左記のことが理解できること。
12週 直流回路演習(1)

演習を通して,枝電流法を修得する。(枝電流法に関する演習(整数解
が出る問題作成等)を夏休みの宿題とする。)
左記のことが理解できること。
13週 網目電流法

網目電流法を用いた直流回路の解析法を学ぶ。
左記のことが理解できること。
14週 直流回路演習(2)

演習を通して,網目電流法を修得する。
左記のことが理解できること。
15週 確認と演習

これまで習得した内容の確認と演習を行う。
左記のことが理解できること。
16週
後期
3rdQ
1週 重ねの理

まず定期テストの結果をもとに勘違い点,ミスしやすい点を確認する。
次に,重ねの理とこれを用いた回路解析について学ぶ。
左記のことが理解できること。
2週 LED駆動回路の設計

ダイオードの扱い方(等価回路を含む)を学び,LED駆動回路の設計を行う。E系列も考慮し,複数LED駆動回路等用いて演習を行う。
左記のことが理解できること。
3週 LED駆動回路の設計

ダイオードの扱い方(等価回路を含む)を学び,LED駆動回路の設計を行う。E系列も考慮し,複数LED駆動回路等用いて演習を行う。
左記のことが理解できること。
4週 v-i特性のグラフ

抵抗,ダイオード,電圧源,電流源とこの組み合わせによるv-i特性をグラフで描けるようにする。
左記のことが理解できること。
5週 太陽電池

等価回路を使いながら太陽電池の特性を学び,その能力を最大限に引き出す方法についても修得する。
左記のことが理解できること。
6週 太陽電池

等価回路を使いながら太陽電池の特性を学び,その能力を最大限に引き出す方法についても修得する。
左記のことが理解できること。
7週 確認と演習

これまで習得した内容の確認と演習を行う。
左記のことが理解できること。
8週 鳳-テブナンの定理

まず定期テストの確認をする。次に鳳-テブナンの定理とこれを用いた等価回路の導出法を学ぶ。(等価回路導出の演習を冬休みの宿題とする。)
左記のことが理解できること。
4thQ
9週 鳳-テブナンの定理

まず定期テストの確認をする。次に鳳-テブナンの定理とこれを用いた等価回路の導出法を学ぶ。(等価回路導出の演習を冬休みの宿題とする。)
左記のことが理解できること。
10週 ノートンの定理,帆足‐ミルマンの定理

まず冬休みの宿題について確認する。次にノートンの定理とこれを用いた等価回路の導出法を学ぶ。帆足‐ミルマンの定理にも触れる。
左記のことが理解できること。
11週 直流回路における整合,ブリッジ回路

直流回路における整合について学ぶ。その後,ホイートストンブリッジの考え方を学び,ブリッジ回路の応用に関する演習問題を提示する。
左記のことが理解できること。
12週 ブリッジ回路の応用

ブリッジ回路を応用した各種回路パズルを通し,考え方の定着を行う。
左記のことが理解できること。
13週 2年生に向けて

回路素子(L,C,R)について,Δ-Y変換,アナログからディジタルへ,交流入門等,クラスの状況に合わせて内容を選択する。
左記のことが理解できること。
14週 2年生に向けて

回路素子(L,C,R)について,Δ-Y変換,アナログからディジタルへ,交流入門等,クラスの状況に合わせて内容を選択する。
左記のことが理解できること。
15週 確認と演習

これまで習得した内容の確認と演習を行う。
左記のことが理解できること。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4前2,前3,前4,前5,前7,前8,前9,前12
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4前6,前8,前12
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4前11,前12
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4前10,前12
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。4後11,後12,後15
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4前9,前10
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。3後1,後15
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3前13,前14,後15
節点電位法を用いて回路の計算ができる。3後15
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。3後8,後9,後15

評価割合

定期試験その他(課題,授業態度(授業に積極的でない場合に減点))合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100
専門的能力000
分野横断的能力000