国語Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 国語Ⅱ
科目番号 0017 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 電気工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 〔教科書〕 『精選 現代文B』・『高等学校 古典B』(ともに明治書院) 〔補助教材・参考書〕『新国語便覧(新版三訂)』(第一学習社)、『常用漢字ダブルクリア』(尚文出版)、『古典にいざなう新古典文法』(本編・準拠問題集 ともに大修館書店)、その他独自補助教材。国語辞典を一冊準備しておくこと(電子辞書でもよい)。
担当教員 鍵本 有理,松井 真希子

到達目標

1.    高等学校2年生相当の漢字力や語彙力を身につけている。
2.    評論文について、筆者の意見を的確に把握し、正確に要約することができる。また、筆者の意見に対して、自身の意見を、根拠をもって表現することができる。
3.    小説について、登場人物の心情の変化を読み取ることができる。また、自身の経験にひきつけて感想を述べることができる。
4.    日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。
5.    文語のきまり、漢文訓読のきまりを身につけている。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1話し手の指示や意見を的確に聞き取り、正確にまとめることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、適切な声の大きさ、明瞭な発音で、述べたり読んだりすることができる。話し手の指示や意見を的確に聞き取ることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、述べたり音読したりすることができる。話し手の指示や意見を聞くことができない。 聞き手を意識せずに、自身の意見や与えられた文章を、声の大きさや発音に気を留めずに述べたり音読したりする。もしくは活動時に発言しない。
評価項目2書物や文献に対して、批判的に読解し、自身の意見を抱き、正確に表現することができる。書物や文献に対して、自身の意見を抱き、表現しようと工夫することができる。書物や文献に対して、自身の意見を表現することができない、もしくは文章表現として著しい誤りがある。
評価項目3初見の文章について、内容を理解しながらスムーズに音読することができる。初見の文章について、句としてのまとまりを意識しながら音読することができる。初見の文章について、単語ごとに細切れに音読する。
評価項目4言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を即座に調べ、習得することができる。 高校卒業程度の語彙力(漢検準2級~2級程度)を有しており、適切に運用することができる。言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を自主的に調べることができる。 高校在学程度の語彙力(漢検準2級程度)を有しており、適切に運用することができる。言葉に関心がなく、初見の語であっても自主的に調べることがない。 中学校卒業程度の語彙力(漢検3級程度)を有しており、高校在学程度の語彙を誤って運用することがある。
評価項目5日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。日本の伝統的な言語文化について、興味・関心を持つことができる。日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ったり、その価値に気づくことができない。
評価項目6文語のきまり、漢文訓読のきまりを身につけている。文語のきまり、漢文訓読のきまりについて、調べることができる。文語のきまり、漢文訓読のきまりについて、全く理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
国語には二つの面がある。一つは、文章を読んでその登場人物の気持ちに共感できる、あるいは書いてある内容を理解するということである。そのためには受講生一人一人が自身の生きた経験とひきつけて文献を読み解く必要がある。もう一つは、自分の意見や感想を表現するということである。真に理解しているか否かは、言葉で表現し、説明することができるか否かで判断することができる。この二面をふまえて、「考える」「読む」「書く」「話す」能力を養うことを目指す。
授業の進め方・方法:
高等学校第2学年に相当する国語の力を身につけるため、高等学校用の教科書を使用し、いろいろな文章を読んで様々な角度から物事を考える。そして、その内容を言葉でまとめ、ノートや文章に「形として」残していくようにする。
週3時間のうち、2時間を現代文、1時間を古典(古文・漢文)の時間に当てる。
注意点:
関連科目
国語は、人文科学や社会科学系だけでなく、自然科学系科目を含む全ての科目の基礎でもある。
学習指針
講義中の解説を聞き、板書内容を写すだけではなく、自身の経験にひきつけながら主体的に文章を読み解いていくことが重要である。
自己学習
授業で指示された課題は確実にこなす必要があるが、それに加えて、新聞や書籍を積極的に読み、問題意識を持って物事を考えるよう習慣づける。
古典については毎時間、予習をすること。教科書の本文を写し、大事な注なども写しておく。そして、意味や訳のわからなかったところを授業で補い、ノートに記入するようにするとよい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 評論1-①
説話『沙石集』
『この瞬間を歴史に刻む』の構造が理解できる。
「児の飴食ひたること」を読む。ノートの取り方を工夫することができる。
2週 評論1-②
説話『十訓抄』
『この瞬間を歴史に刻む』の筆者の意見を理解し、要約することができる。
「大江山」 説話のおもしろさを理解することができる。
3週 小説1-①
『竹取物語』①
中島敦について、概略を説明できる。
『山月記』のあらすじが言える。
竹取物語「帝の求婚」を読み,あらすじを理解できる。
4週 小説1-②
『竹取物語』②
『山月記』について、李徴と袁傪の人柄が説明できる。
「かぐや姫の昇天」①基本的な古典単語についての知識を身につける。
5週 小説1-③
『竹取物語』③
『山月記』の、李徴の心情の変化と自己分析について説明できる。
「かぐや姫の昇天」②古典作品の内容を読みとり、訳すことができる。
6週 小説1-④
『竹取物語』④古典の窓
『山月記』の、李徴が虎になった背景について自分の意見が述べられる。
「かぐや姫の昇天」③敬語から主語を考えることができる。
7週 前期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
漢文訓読の復習
2ndQ
9週 評論2-①
故事・逸話①
『近代都市のレトリック』の構造が理解できる。
「矛盾」 文訓読の基本的なきまりを身につけ、内容を理解できる。
10週 評論2-②
故事・逸話②
『近代都市のレトリック』の筆者の意見を理解し、要約することができる。
「推敲」 再読文字などのある漢文を訓読できる。故事成語について知る。
11週 詩-①
史話・史伝①
『小景異情』を読んで、作者にとっての「ふるさと」について意見を述べられる。
「鴻門之会」① 日本と外国文化との関連に関心を持つことができる。
12週 詩-②
史話・史伝②
『永訣の朝』の「いもうと」の言葉と「わたし」の思いについて意見を述べられる。
同上②漢文の内容と、登場人物の関係を理解できる。
13週 俳句-①
史話・史伝③
俳句の表現法や規則を理解している。正岡子規・河東碧梧桐の俳句を味わう。
同上③ 漢文訓読の上で注意すべき語法・語句の知識を身につける。
14週 俳句-②
史話・史伝④
杉田久女・川端茅舎の俳句を味わい、四者の俳句について感想が述べられる。
同上④ 漢文の内容を理解し、歴史書の面白さを味わうことができる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
『徒然草』概説。
後期
3rdQ
1週 評論3-①
『徒然草』①
『科学と世界観』の構造が理解できる。
「世に語り伝ふること」①重要子後に注意して口語訳できる。
2週 評論3-②
『徒然草』②
『科学と世界観』の筆者の意見を要約し、自分の意見が述べられる。
同上② 現代社会にも通じる筆者の主張について理解できる。
3週 小説2-①
『徒然草』③
『バブーシュカ』について、「私」と「彼」のそれぞれの心情が理解できる。
「これも仁和寺の法師」①古典のあらすじを理解できる。
4週 小説2-②
『徒然草』④
『バブーシュカ』について、「私」の声が出なくなる前後の変化が説明できる。
同上② 内容を理解し、登場人物の心情について考えることができる。
5週 小説2-③
『徒然草』⑤
『バブーシュカ』について、「第三の女」の意味が説明できる。
同上③話の面白さと結末について理解できる。
6週 小説2-④
『方丈記』①
『バブーシュカ』における、「お母さん」の存在の意味が説明できる。
「ゆく河の流れ」日本の三大随筆について文学史の知識を身に付ける。
7週 後期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
『源氏物語』概説。
4thQ
9週 小説3-①
『源氏物語』①
夏目漱石について、概略を説明できる。
『こころ』のあらすじが言える。
「光源氏誕生」①古典常識に関する知識を身に付ける。
10週 小説3-②
『源氏物語』②
『こころ』について、「私」の心情の変化を軸に、場面を正確に把握できる。
同上②登場人物の人間関係について理解できる。
11週 小説3-③
『源氏物語』③
同上。
「小柴垣のもと」①『源氏物語』の「若紫」のあらすじを理解できる。
12週 小説3-④
『源氏物語』④
「私」の心情と態度を関連づけて、その経過を正確に辿ることができる。
同上②古典常識についての知識を身に付ける。
13週 小説3-⑤
『源氏物語』⑤
同上。「K」が自殺した動機について、自分の意見を述べられる。
同上③重要古語や敬語の知識を身に付ける。
14週 小説3-⑥
『源氏物語』⑥
『こころ』について、正確な日本語で感想文が書ける。
同上④上記の知識をふまえ、古典を正確に口語訳することができる。
15週 学年末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語論理的な文章を読み、論理の構成や展開の把握にもとづいて論旨を客観的に理解し、要約し、意見を表すことができる。また、論理的な文章の代表的構成法を理解できる。2前1,前2,前9,前10,後1,後2
代表的な文学作品を読み、人物・情景・心情の描写ならびに描写意図などを理解して味わうとともに、その効果について説明できる。2前3,前4,前5,前6,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13,後14
文章を客観的に理解し、人間・社会・自然などについて考えを深め、広げることができる。2前1,前2,前9,前10,後1,後2
文学作品について、鑑賞の方法を理解できる。また、代表的な文学作品について、日本文学史における位置を理解し、作品の意義について意見を述べることができる。2前3,前4,前5,前6,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13,後14
鑑賞にもとづく批評的な文章の執筆や文学的な文章(詩歌、小説など)の創作をとおして、感受性を培うことができる。3前6,前11,前12,前13,前14,後14
読書習慣の形成をとおして感受性を培い、新たな言葉やものの見方を習得して自らの表現の向上に生かすことができる。3前3,前4,前5,前6,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13,後14
現代日本語の運用、語句の意味、常用漢字、熟語の構成、ことわざ、慣用句、同音同訓異義語、単位呼称、対義語と類義語等の基礎的知識についての理解を深め、その特徴を把握できる。また、それらの知識を適切に活用して表現できる。1前1,前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13,後14
代表的な古文・漢文を読み、言葉や表現方法の特徴をふまえて人物・情景などを理解し、人間・社会・自然などについて考えを深めたり広げたりすることができる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13,後14
古文・漢文について、音読・朗読もしくは暗唱することにより、特有のリズムや韻などを味わうことができる。3前1,前2,前3,前5,前8,前9,前10,前11,後1,後4,後6,後9,後11
代表的な古文・漢文について、日本文学史および中国文学史における位置を理解し、作品の意義について意見を述べることができる。また、それらに親しもうとすることができる。2前1,前2,前3,前9,前10,前11,前15,後1,後6,後8
教材として取り上げた作品について、用いられている言葉の現代の言葉とのつながりや、時代背景などに関する古文・漢文の基礎的知識を習得できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13,後14
情報の収集や発想・選択・構成の方法を理解し、論理構成や口頭によるものを含む表現方法を工夫して、科学技術等に関する自らの意見や考えを効果的に伝えることができる。また、信頼性を重視して情報を分析し、図表等を適切に活用・加工してコミュニケーションに生かすことができる。3前11,前12,前13,前14
他者の口頭によるものを含む表現について、客観的に評価するとともに建設的に助言し、多角的な理解力、柔軟な発想・思考力の涵養に努めるとともに、自己の表現の向上に資することができる。2前11,前12,前13,前14
相手の意見を理解して要約し、他者の視点を尊重しつつ、建設的かつ論理的に自らの考えを構築し、合意形成にむけて口頭によるコミュニケーションをとることができる。また、自らのコミュニケーションスキルを改善する方法を習得できる。2前11,前12,前13,前14
社会で使用される言葉を始め広く日本語を習得し、その意味や用法を理解できる。また、それらを適切に用い、社会的コミュニケーションとして実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後9,後10,後11,後12,後13,後14

評価割合

試験提出物態度・小テスト合計
総合評価割合702010100
基礎的能力702010100
専門的能力0000
分野横断的能力0000