計測工学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 計測工学
科目番号 0036 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「電気・電子計測 [第3 版]」森北出版 阿部武雄・村山実 著/ 配布プリント
担当教員 芦原 佑樹

到達目標

1. 測定誤差の要因を説明できる。t 検定・最小二乗法を用いて,測定値を正しく評価・処理できる。
2. 基本的な指示電気計器の原理を説明できる。電圧計と電位差計の違いを説明できる。ホール素子やファラデー素子を用いた電流計,変流器の原理を説明できる。
3. 3電流・3電圧法の原理をベクトル図から説明できる。四端子法による低抵抗測定の利点を説明できる。高抵抗・接地抵抗測定における注意点を説明できる。
4. 直流磁界の測定機器で工夫されている点について,アンペア・マクスウェルの式を用いて説明できる。デシベル計算ができる。マイクロ波インピーダンスの測定原理を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1
評価項目2
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
計測に関する基礎知識を理解し,電気・電子計測に用いられる計器の原理及び使用方法を習得することを目的とする。計測技術の進歩に伴い,これまで多くの計測機器が生まれ,多くの機器が消滅している。このように機器が刷新されていく背景には,それなりの合理的な理由がある。本講義では,単に暗記を行うのではなく,計測方法の背景に流れる哲学を読み解くことにより,電気技術者として必要となる素養を身につける。
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である。教科書を中心に進めるが,適宜プリントを配布して補足説明を行う。
定期試験返却時に解説を行い,理解が不十分な点を解消する。
注意点:
関連科目
電磁気学,電気回路,電気機器工学,アナログ回路
学習指針
暗記科目ではない。計測手法の本質を読み解き,理解することを心がけること。
電磁気学,電気回路との関連項目が多いので,これら関連科目を習得していることが望ましい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 計測の基礎 計測工学の考え方
2週 測定誤差(1) 精度と誤差
3週 測定誤差(2) 最小二乗法,ラグランジュ補間
4週 測定誤差(3) 誤差の伝搬,丸め誤差,有効数字
5週 電気単位 SI単位系
6週 標準器 各種標準器
7週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
2ndQ
9週 指示電気計器(1) 指示電気計器の分類,計器の3要素,温度補償回路
10週 指示電気計器(2) 可動コイル形・可動鉄片形・電流力計形・整流型計器
11週 指示電気計器(3)
測定範囲の拡大
熱電形・静電型・誘導形・比率形型計器,
分流・分圧器,変成・変圧器
12週 電位差計 直流電位差計,直流比較形電位差計
13週 大電流・高電圧 ホール素子による測定,クレーマ式直流変流器
14週 特殊な測定 ファラデー素子による変流器,ロゴスキーコイル
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 電力(1) 有効電力,3電流・3電圧法,3相電力,ブロンデルの法則
2週 電力(2) 無効電力,電力量,力率の測定
3週 抵抗(1) 中抵抗,低抵抗の測定
4週 抵抗(2) 高抵抗,絶縁抵抗,接地抵抗の測定
5週 インピーダンス(1) 交流ブリッジ
6週 インピーダンス(2) LCRメータ,Qメータ
7週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 磁束・磁界 磁束・磁界の測定,核磁気共鳴吸収,磁気変調器
4thQ
9週 磁化特性の測定 磁化特性,鉄損,ヒステリシス曲線
10週 周波数・時間(1) 原子周波数標準器,標準信号発生器,デシベルの考え方
11週 周波数・時間(2) ヘテロダイン周波数計,位相の測定,リサージュ図形
12週 波形・ディジタル計器 オシロスコープ,スペクトラムアナライザ,A/D変換,標本化定理,量子化
13週 マイクロ波 マイクロ波インピーダンス,スミスチャート,マイクロ波電力
14週 雑音 雑音の種類,雑音指数,熱雑音,ショット雑音
15週 後期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気電流に作用する力やローレンツ力を説明できる。3
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。2
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3
計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。3
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。3
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。3
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。3
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。3
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。3
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。3
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。3
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。3
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。3
電力量の測定原理を説明できる。3
オシロスコープの動作原理を説明できる。3
オシロスコープを用いた波形観測(振幅、周期、周波数)の方法を説明できる。3

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100