電気機器工学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電気機器工学
科目番号 0038 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「電気機器工学」コロナ社 前田・新谷著/「電動モータドライブの基礎と応用」技術評論社 百目鬼著
担当教員 木村 健

到達目標

1. 電機機器の用語(トルク・回転数・等価回路・定格・効率)を説明でき,直流モータと変圧器の原理と構造から等価回路で表現することができ,それから特性式を導くことができる。
2. 三相交流電流とコイルから回転磁界が発生し誘導電流により回転することを説明でき,簡易等価回路を表現することができる。一次負荷電流,2次入力,トルク式を導き,運転特性を説明できる。
3. 原動機の種類毎に同期発電機の構造や国内発電量の比率を説明できる。有効・無効電力と電機子反作用の関係と等価回路での表現ができる。同期調相機の原理を説明することができる。
4.電気鉄道の直流モータの抵抗制御,誘導モータのVVVF 制御,リニア新幹線の原理を説明できる。インバータとPWM,急速に発展している新形モータの周辺技術と現状を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1
評価項目2
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電気機器はエネルギー変換を具体的に実現している装置である。前半は直流モータ,変圧器,誘導モータ,同期発電機の構造・動作原理・諸特性を,後半は各機器が電力系統や交通システム分野にどのように応用されているか,背景や関連技術も含めて学ぶ。
授業の進め方・方法:
前期は教科書に従い各機器の構造・原理・等価回路・諸特性の概要を学ぶ。
後期は具体的応用として同期発電機と外部電力系統との関係や新エネ発電の状況を学ぶ。また,新幹線の歴史を通して,直流機制御からパワエレの交流モータ制御さらにリニアモータについて学ぶ。また急速に発展しているインバータ駆動PMモータの構造・制御法の概要と電池・磁石など周辺技術と社会的背景を説明する。講義の後に小テストを実施し,理解を確実にする。
注意点:
関連科目
 直流・交流の電気回路(特に複素数の計算),電磁気,応用物理(力学)などと関係が深い。

学習指針
 教科書を中心とするが,後半の応用では家庭の電力や身近な乗り物との関連を説明できるまで理解することが大切である。

自己学習
 小テストの解答例は繰返し復習すること。
 日頃から新聞やネットでエネルギー問題やエコカーの動向などのニュースにも関心を持つこと

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電気機器の学び方 電気機器の歴史・種類と専門用語について説明することができる。
2週 直流モータの原理 電磁気学の基本式から,コイルに発生する力とトルクを導出することができる。
3週 直流モータの構造 界磁・電機子構造,速度・トルク特性について説明することができる。
4週 直流モータの諸特性 分巻・直巻モータの等価回路と特性について比較することができる。
5週 変圧器の原理と構造 電磁気学の基本式から,巻線比aと電圧。電流の関係を導出することができる。
6週 変圧器の等価回路 理想変圧器を用いて詳細等価回路と簡易等価回路を導くことができる。
7週 変圧器の諸特性 磁気回路と各種損失,効率が説明でき,また各種の変圧器を説明することができる。
8週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
2ndQ
9週 交流モータと回転磁界 三相交流電流により固定子内に回転磁界が発生することを説明できる。
10週 三相誘導モータ1 誘導モータの回転速度Nを回転磁界の同期速度・極数・回転子のすべりsで表すことができる。
11週 三相誘導モータ2 詳細等価回路からsを含むL形簡易等価回路を導出することができる。
12週 三相誘導モータ3 1次負荷電流から2次入力P2,さらにトルクを導出することができる。
13週 三相誘導モータ4 モータと負荷のT-N 特性と始動から定格までの推移を理解することができる。
14週 三相・単相誘導モータ 三相モータの逆転法,制動法および単相モータの回転磁界とコンデンサモータを説明できる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 原動機と発電機 エネルギー源と原動機および同期発電機の関係と構造について説明できる。
2週 電機子反作用 電機子反作用の意味と等価回路における表現を説明でき,端子電圧Vと誘導起電力Eおよび電流Iのベクトル関係を説明することができる。
3週 同期発電機システム 停止中の同期発電機を起動から出力運転までさせる際の原動機を含むシステムの運転手順を説明できる。回転数と端子電圧の制御を説明できる。
4週 同期調相機 発電機の誘導起電力の調整によって電力系統への無効電力を出力制御できることを理解し,同期調相機の原理を理解する。
5週 その他の発電機 風力発電用の誘導発電機と同期発電機の原理の違いを説明でき,最近注目されてきた可変速揚水発電機についても説明できる。
6週 電力と交通インフラ 電力系統と交通網は重要な社会インフラであり,両者の日本における歴史的経緯と相違について説明できる。
7週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 直流モータと制御 直流直巻モータの等価回路を復習し,電気鉄道において,どのような速度・トルク制御が行われてきたかを説明できる。
4thQ
9週 誘導モータとパワエレ パワエレ技術の発展により,電気鉄道において誘導モータを導入することが可能になった背景と具体的な駆動システムを理解する。
10週 V/r制御 電気鉄道の誘導モータの代表的な定トルク制御であるV/r制御について,誘導モータの等価回路から説明できる。
11週 リニアモータ 開業が予定されるリニア中央新幹線のリニアモータ駆動と超伝導磁気浮上の原理を理解し,地上コイル構造や給電システムなどを説明できる。
12週 電気自動車用交流モータ 環境問題から,電気自動車(EV)やエコカーが開発されている社会的背景と技術開発状況,使用されている代表的駆動システムを説明できる。
13週 EV開発における主要技術 高性能EVが実現するための主要技術である,パワエレ技術,2次電池技術およびPMモータのための磁性材料技術の現状を理解し説明できる。
14週 PM同期モータ SPM(表面永久磁石同期モータ)とIPM(埋込永久磁石同期モータ)の構造と特徴および回転座標解析から導かれるリラクタンストルクを理解できる。
15週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題演習合計
総合評価割合8020100
基礎的能力401050
専門的能力401050