環境工学概論

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 環境工学概論
科目番号 0047 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 花木啓祐・ほか14名「環境工学基礎」(実教出版) / 適宜プリントを配布
担当教員 土井 淳

到達目標

 本科目は電気工学科の環境系科目の一環として、1年で学んだ「環境リテラシ」を受け、5年で学ぶ「環境エネルギー工学」、「環境エレクトロニクス」へとつなげていくための基礎知識を教授するものである。現在の私たちの豊かな生活は、エネルギー・資源の大量の消費によってもたらされて来たが、一方で環境の劣化を招き、地球規模の環境問題が深刻化している。このような状況を克服し、将来的に人類が持続可能な低炭素社会を構築して行かねばならない。そこには電気工学の役割貢献が期待されており、それに応えていくための基礎知識を教授する。
・こんにちの環境問題の本質を把握できること
・地球温暖化のメカニズムとエネルギーの利用技術を理解できること

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
資源循環についての問題を解くことができる地球の成り立ち、地球上の資源を理解し、資源循環についてほとんど説明することができる。地球の成り立ち、地球上の資源について、基本的な事項を説明することができる。地球の成り立ち、地球上の資源について、基本的な事項を理解していない。
地球環境についての問題を解くことができる社会と環境の歴史、大気汚染の現状と対策を理解し、地球環境についてほとんど説明することができる。社会と環境の歴史、大気汚染の現状と対策を理解について、基本的な事項を説明することができる。社会と環境の歴史、大気汚染の現状と対策について、基本的な事項を理解していない。
気候変動についての問題を解くことができる地球温暖化とその影響を理解し、気候変動についてほとんど説明することができる。地球温暖化とその影響について、基本的な事項を説明することができる。地球温暖化とその影響について、基本的な事項を理解していない。
環境保全についての問題を解くことができる地球温暖化対策、廃棄物の処理技術と管理、省エネルギーの取り組み、都市システムと環境を理解し、環境保全についてほとんど説明することができる。地球温暖化対策、廃棄物の処理技術と管理、省エネルギーの取り組み、都市システムと環境について、基本的な事項を説明することができる。地球温暖化対策、廃棄物の処理技術と管理、省エネルギーの取り組み、都市システムと環境について、基本的な事項を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 こんにちの環境問題の背景として、「資源循環」「地球環境」「気候変動」の基礎について俯瞰的に学習する。次いで、最も重要な地球規模の環境問題とされている地球温暖化と、これと密接にかかわるエネルギーの利用について学習する。さらに、地球温暖化対策として求められている省エネルギーの取り組みについて学習する。
 学習した知識を身近な環境問題として実際に活用・体験するための実習を設け、報告書の作成および発表を行う。
授業の進め方・方法:
 講義は教科書および配布プリント(補足資料および演習問題)により行う。
 また、5・9・12・14週の4回は班実習および学生発表による授業を行う。定められた期日までに、割り当てられたテーマの報告書を作成し、提出しなければならない。
注意点:
関連科目
 1年 環境リテラシ  5年 環境エネルギー工学、環境エレクトロニクス
学習指針
 かつての公害対策から持続可能な社会の構築へと技術者の役割が拡大し、あらゆる技術分野において環境工学の基礎が必要とされている。日頃から環境問題のニュースや情報に関心を持って、授業に臨んで欲しい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 環境工学の基礎を学ぶにあたって・講義 環境工学の範囲は広く、工業のすべての分野がかかわりを持つことや技術者の使命が大きいことを理解する。
2週 地球の成り立ち(資源循環)・講義 地球や大気、生命の誕生過程を知り、地球の構造や物質が地球上を循環するしくみを理解する。
3週 地球上の資源(資源循環)・講義 エネルギー資源や鉱物資源、生物資源、水資源について、それぞれが有する特徴と現状について理解する。
4週 社会と環境の歴史(地球環境)・講義 世界や日本の社会が経験してきた公害や環境問題の歴史と、その解決に向けた国際的な取り組みや条約について理解する。
5週 地球温暖化とその影響(気候変動)・講義 地球温暖化のメカニズムや温室効果ガスの種類と発生源についての知識を身につけ、温室効果ガスの増加と地球の平均温度の推移との関係のほか、温暖化の将来予測と適応策についても理解する。(第7週の実習課題の説明)
6週 エネルギーの利用技術と地球温暖化対策(省エネ)・講義 一次エネルギーと二次エネルギーの定義を理解し、各エネルギー資源の特徴や利用技術についての知識を有し、低炭素社会に向けての取り組みについて理解する。
7週 調べてみよう①「エネルギー消費と二酸化炭素排出量」・実習及び発表 生活でのエネルギーの使われ方について調べ、エネルギー消費にともなう二酸化炭素の排出量を求め、エネルギーや資源の節約と二酸化炭素排出量の削減について考えてみる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 廃棄物の処理技術と管理(資源循環・省エネ)・講義 廃棄物の収集・運搬から処理および処分までの一連の流れと具体的な方法を知り、製品のライフサイクルと3Rとの関係について理解する。(第11週の実習課題の説明)
10週 大気汚染の現状と対策(地球環境)・講義 大気汚染物質の種類と特徴および環境基準を理解し、排出ガスから汚染物質を除去する技術や排出ガスの規制についての知識を身につける。
11週 調べてみよう②「廃棄物の処理とリサイクル」・課題発表 清掃工場やリサイクル工場などの廃棄物の処理や資源化のしくみを調べ、ごみとリサイクルの問題について考えてみる
12週 省エネルギーの取り組み(省エネ)・講義 省エネ法やトップランナー基準と省エネルギーラベリング制度による製品の省エネルギー推進の内容を理解する。住宅におけるエネルギーや資源の消費について理解する。。(第14 週の実習課題の説明)
13週 都市システムと環境(省エネ)・講義 部門別エネルギー消費やヒートアイランド現象、水処理、交通システムについて,各々の現状や環境対策技術を理解する。
14週 調べてみよう③「家電製品の電力測定」・実習及び発表 家庭で使用している家電製品の消費電力を測定して、消費電力を減らす方法を考えてみる。
15週 環境保全に向けたさまざま取り組み・講義 地域の環境保全を推進するに当たって,まちづくりや地域づくりの重要性を理解する。
16週 前期末試験、答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス太陽系を構成する惑星の中に地球があり、月は地球の衛星であることを説明できる。3
地球は大気と水で覆われた惑星であることを説明できる。3前2,前3
陸地および海底の大地形とその形成を説明できる。3前2,前3
地球の内部構造を理解して、内部には何があるか説明できる。3前2,前3
地球上の生物の多様性について説明できる。3前2,前3
大気圏の構造・成分を理解し、大気圧を説明できる。3前2
大気の熱収支を理解し、大気の運動を説明できる。3前2
大気の大循環を理解し、大気中の風の流れなどの気象現象を説明できる。3前2,前10
海水の運動を理解し、潮流、高潮、津波などを説明できる。3前2,前3
地球温暖化の問題点、原因と対策について説明できる。3前5,前7
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。2前1,前4,前9,前10,前12,前15
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。2前1,前4,前9,前10,前12,前15
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。2前1,前4,前9,前10,前12,前15
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。2前4,前9,前10,前12,前15
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。2前4,前9,前10,前12,前15
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。2前13
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。2前6
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。2前7,前11,前12,前13,前15
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。2前7,前11
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。2前7,前11
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。2前7,前11
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。2前7,前11
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。2前7,前11
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。2前7,前11,前14
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる2前7,前11,前14
複数の情報を整理・構造化できる。2前7,前11,前14
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。2前7,前11,前14
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。2前7,前11,前14
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。2前7,前11,前14
事実をもとに論理や考察を展開できる。2前7,前11,前14
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。2前7,前11,前14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000