電磁気学Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電磁気学Ⅱ
科目番号 0048 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 〔教科書〕「新装版 電気磁気学 その物理像と詳論」,森北出版,小塚洋司 著  ← 辞書のように使うとよい本
担当教員 石飛 学

到達目標

前期中間試験 :静電場の理解に必要な数学の確認,数学を用いた静電場の表現と計算
前期末試験 :キャパシタ,定常・準定常電流
後期中間試験 :静磁場(磁石と電流、アンペールの法則,ビオ・サバールの法則,電磁力)
学年末試験 :電磁誘導,インダクタ,トランス,磁気エネルギー      以上の修得

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 静電場の理解に必要な数学を確認し,数学を用いた静電場の表現と計算方法を理解し,応用問題を解くことができる。静電場の理解に必要な数学を確認し,数学を用いた静電場の表現と計算方法を理解し,基本的な問題を解くことができる。静電場の理解に必要な数学を確認し,数学を用いた静電場の表現と計算方法を理解することができない。
評価項目2 キャパシタ,定常・準定常電流について理解し,応用問題を解くことができる。キャパシタ,定常・準定常電流について理解し,基本的な問題を解くことができる。キャパシタ,定常・準定常電流について理解することができない。
評価項目3静磁場(磁石と電流、アンペールの法則,ビオ・サバールの法則,電磁力)について理解し,応用問題を解くことができる。静磁場(磁石と電流、アンペールの法則,ビオ・サバールの法則,電磁力)について理解し,基本的な問題を解くことができる。静磁場(磁石と電流、アンペールの法則,ビオ・サバールの法則,電磁力)について理解することができない。
評価項目4電磁誘導,インダクタ,トランス,磁気エネルギーについて理解し,応用問題を解くことができる。電磁誘導,インダクタ,トランス,磁気エネルギーについて理解し,基本的な問題を解くことができる。電磁誘導,インダクタ,トランス,磁気エネルギーについて理解することができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
新しいものを産み出すには,この世界のしくみ(物理学)を知って応用する必要がある。「電磁気学」は,「電子工学」とならび “電気のなぜ” に迫っていく科目で,電気工学の中心に立つ柱。ここがわかると,光,電磁波,物質の特性や回路現象など,現在と未来の広い世界が見えてくる。この先,電気関係で困ったとき,各専門書を開いて読んでいくための基礎力を身につけてほしい。
授業の進め方・方法:
この科目でつまずかないポイントは,基本用語の理解(絵を描きながら定義を他者に説明できるように)と各用語間に成り立つ関係式の数学的表現(ベクトルと微積分を使って)にある。これらをふまえ,まず,何のために学ぶのか再確認するところからスタートする。その後,3次元ベクトル解析,微積分の意味や使い方を確認しながら,電場と磁場の性質を学んでいく。また非正弦波で動く実際の電気製品(4年次からの回路系科目で学ぶ)とリンクさせるため,回路的観点も入れてキャパシタ,インダクタおよびトランスを確認する。時間に制約があるので,難しい積分を使った問題等,演習色が強い項目は演習科目に回す。
注意点:
関連科目
電磁気学は電気と物理の大黒柱。したがって,全ての科目に連結する。
学習指針
受け身の勉強で太刀打ちできない!また積み上げ科目なので,1回1回の授業に集中し,“その場で考える勉強法(実は負担が少ない勉強法)”にチェンジしてほしい。科目の特性上,板書中心に行わず(口頭で“重要”と念押しする所は特に大事。耳を使って!),みんなの疑問点に焦点を当てて進めていきたい。質問攻撃を望む。また,2年の数学に欠けがあると八方ふさがりになるので,足りない部分に気づいたら早めに解消すること。図書館等も使って他の参考書も活用し,とにかく疑問を後に残さないように。特に次の勉強方法が通用しなくなると考えてよい。どうすれば良いかも授業を通して伝えていきたい。
1) 演習を数こなして身につけ,そのパターンを当てはめていく考え方
2) 授業中板書の写しに専念し,後で読み返しながら問題演習する方法
3) 定期テスト前に問題演習を繰り返し,パターンを身に着ける方法

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 何のために学ぶのか?

電磁気などなくてもモノは作れるのではないか?そもそも電磁気とは何を学ぶのか? などを解説。
左記の項目を修得
2週 電磁気学Ⅰの復習Ⅰ

ベクトル基礎~ガウスの法則まで確認。電気力線に加え電束も導入。基本用語とそのイメージの定着が目的。状況により「数学理解度確認テスト」を行うこともある。
左記の項目を修得
3週 電磁気学Ⅰの復習Ⅱ

ベクトル基礎~ガウスの法則まで確認。電気力線に加え電束も導入。基本用語とそのイメージの定着が目的。状況により「数学理解度確認テスト」を行うこともある。
左記の項目を修得
4週 刻々と変化する量の扱いⅠ

これまで出てきた式を微分表示に。電場の勾配(1次元→3次元→∇)。積分(線積分、面積分、体積積分)と内積の使い方を修得。
左記の項目を修得
5週 刻々と変化する量の扱いⅡ

これまで出てきた式を微分表示に。電場の勾配(1次元→3次元→∇)。積分(線積分、面積分、体積積分)と内積の使い方を修得。
左記の項目を修得
6週 ガウスの法則の微分形

電束の発散を通して,ガウスの法則(微分形)を理解。
左記の項目を修得
7週 ポアソン方程式

ポアソン方程式とこれまでの確認演習を行う。
左記の項目を修得
8週 ガウスの定理と法則

まず定期テストの結果をもとに勘違い点,ミスしやすい点を確認。次にガウスの定理と法則について解説。
左記の項目を修得
2ndQ
9週 平行平板キャパシタⅠ

これまでの復習にQ, E, Vとキャパシタ形状の関係を確認。
左記の項目を修得
10週 平行平板キャパシタⅡ

静電誘導と誘電分極(誘電率,分極ベクトル)を理解。
左記の項目を修得
11週 平行平板キャパシタⅢ

境界条件について解説。+問題演習。
左記の項目を修得
12週 平行平板キャパシタⅣ

静電エネルギーと電界エネルギー密度を確認。その後,平行平板以外への拡張を行う。
左記の項目を修得
13週 定常電流Ⅰ

表皮効果等(詳細は後)例に挙げ,電流密度j=ρvと分布について学ぶ。またオームの法則についても学ぶ。
左記の項目を修得
14週 定常電流Ⅱ

電荷保存の法則(キルヒホッフ第1法則),保存場と非保存場(周回積分とキルヒホッフ第2法則)について解説。
左記の項目を修得
15週 問題演習

問題演習を通して復習。
左記の項目を修得
16週
後期
3rdQ
1週 電場と磁場の類似

定期テストの確認後,これから何を学んでいくのか解説。電場と磁場の類似(E-H対応)から基本用語と単位等確認。
左記の項目を修得
2週 磁場とは?

磁石を例に磁場と電流の関係,磁場が閉じていること,磁荷による考え方を学ぶ。磁性体,ヒステリシスにも触れる。
左記の項目を修得
3週 アンペールの法則Ⅰ

アンペールの周回積分の法則と問題演習。
左記の項目を修得
4週 アンペールの法則Ⅱ

アンペールの周回積分の法則と問題演習。
左記の項目を修得
5週 ビオ・サバールの法則Ⅰ

ビオ・サバールの法則(スカラー量で)と問題演習。
左記の項目を修得
6週 電磁力と外積

電磁力とフレミング左手法則について解説。sinθがなぜいるかにも触れながら,ベクトルの外積を学ぶ。
左記の項目を修得
7週 導線同士に働く力

電磁力の問題演習とこれまでの復習。
左記の項目を修得
8週 ビオ・サバールの法則Ⅱ

まず定期テストの結果をもとに勘違い点,ミスしやすい点を確認。ビオ・サバールの法則をベクトルで表す。
左記の項目を修得
4thQ
9週 ローレンツ力と電磁誘導Ⅰ

フレミングの左手法則(電磁力)からローレンツ力を考える。また定常電流時の電場・磁場による力の釣り合い,レンツの法則を学ぶ。
左記の項目を修得
10週 ローレンツ力と電磁誘導Ⅱ

フレミングの左手法則(電磁力)からローレンツ力を考える。また定常電流時の電場・磁場による力の釣り合い,レンツの法則を学ぶ。
左記の項目を修得
11週 ファラデー・ノイマンの法則

ファラデー・ノイマンの法則を学ぶ(相対論的考え方も)。
左記の項目を修得
12週 インダクタとトランスⅠ

鎖交磁束、自己・相互インダクタンスを扱う。
左記の項目を修得
13週 インダクタとトランスⅡ

鎖交磁束、自己・相互インダクタンスを扱う。
左記の項目を修得
14週 インダクタとトランスⅢ

鎖交磁束、自己・相互インダクタンスを扱う。
左記の項目を修得
15週 磁気エネルギー

磁気エネルギーと磁気エネルギー密度を確認。最後にマクスウェル方程式に繋げる。
左記の項目を修得
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。4
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。4
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。4
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。4
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。4
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。4
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。4
静電エネルギーを説明できる。4
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。4
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて計算できる。4
電流が作る磁界をアンペールの法則を用いて計算できる。4
磁界中の電流に作用する力を説明できる。4
ローレンツ力を説明できる。4
磁気エネルギーを説明できる。4
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。4
自己誘導と相互誘導を説明できる。4
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。4

評価割合

定期試験その他(課題,授業への取り組み(授業中,特に積極的でない場合に減点))合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100
専門的能力000
分野横断的能力000