電気回路Ⅲ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電気回路Ⅲ
科目番号 0050 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 日比野 倫夫 編著,「インターユニバーシティ 電気回路B」オーム社
担当教員 大谷 真弘

到達目標

1. 回路素子(R,L,C)の特性について理解し,単エネルギーおよび複エネルギー回路について微分方程式による回路方程式を記述することができ,それを解いて回路の過渡現象を解析することができる.時定数の定義について理解し,回路の時定数を求めることができる.
2. 基本的な関数についてラプラス変換を行うことができ,各種定理を説明することができる.部分分数展開を活用し,ラプラス逆変換を行うことができる.ラプラス変換・逆変換を用いて回路の過渡現象を解析することができる.回路のインパルス応答・インディシャル応答を求め,畳み込み積分を用いて任意の入力波形に対する応答を求めることができる.
3. 回路網関数を用いて各種回路網の性質および周波数応答特性を解析することができる.Fosterの方法とCauerの方法を用いて1端子対網を合成することができる.
4. L形・T形・π形・格子形二端子対網について各種行列表現を求めることができる.各種二端子対網の相互変換を行うことができる.定K形フィルタの回路構成を示し,公称インピーダンスや遮断周波数を求めることができる.
5. 伝送線路の基礎方程式を導出し,無限長線路の過渡現象を解析することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1回路素子(R,L,C)の特性について理解し,単エネルギーおよび複エネルギー回路について微分方程式による回路方程式を記述することができ,それを解いて比較的複雑な回路の過渡現象を解析することができる.時定数の定義について理解し,回路の時定数を求めることができる.回路素子(R,L,C)の特性について理解し,単エネルギーおよび複エネルギー回路について微分方程式による回路方程式を記述することができ,それを解いて回路の過渡現象を解析することができる.時定数の定義について理解し,回路の時定数を求めることができる.回路素子(R,L,C)の特性について理解し,単エネルギーおよび複エネルギー回路について微分方程式による回路方程式を記述することができない.時定数の定義について理解し,回路の時定数を求めることができない.
評価項目2基本的な関数についてラプラス変換を行うことができ,各種定理を説明することができる.部分分数展開を活用し,ラプラス逆変換を行うことができる.ラプラス変換・逆変換を用いて比較的複雑な回路の過渡現象を解析することができる.回路のインパルス応答・インディシャル応答を求め,畳み込み積分を用いて任意の入力波形に対する応答を求めることができる.基本的な関数についてラプラス変換を行うことができ,各種定理を説明することができる.部分分数展開を活用し,ラプラス逆変換を行うことができる.ラプラス変換・逆変換を用いて回路の過渡現象を解析することができる.回路のインパルス応答・インディシャル応答を求め,畳み込み積分を用いて任意の入力波形に対する応答を求めることができる.基本的な関数についてのラプラス変換や各種定理を説明することができない.部分分数展開を活用し,ラプラス逆変換を行うことができない.ラプラス変換・逆変換を用いて回路の過渡現象を解析することができない.回路のインパルス応答・インディシャル応答を求め,畳み込み積分を用いて任意の入力波形に対する応答を求めることができない.
評価項目3回路網関数を用いて比較的複雑な回路網の性質および周波数応答特性を解析することができる.Fosterの方法とCauerの方法を用いて1端子対網を合成することができる.回路網関数を用いて各種回路網の性質および周波数応答特性を解析することができる.Fosterの方法とCauerの方法を用いて1端子対網を合成することができる.回路網関数を用いて各種回路網の性質および周波数応答特性を解析することができない.Fosterの方法とCauerの方法を用いて1端子対網を合成することができない.
評価項目4L形・T形・π形・格子形二端子対網について各種行列表現を求めることができる.各種二端子対網の相互変換を行うことができる.定K形フィルタの回路構成を示し,公称インピーダンスや遮断周波数を求めることができる.L形・T形・π形・格子形二端子対網について各種行列表現を求めることができる.各種二端子対網の相互変換を行うことができる.定K形フィルタの公称インピーダンスや遮断周波数を求めることができる.L形・T形・π形・格子形二端子対網について各種行列表現を求めることができない.各種二端子対網の相互変換を行うことができない.定K形フィルタの公称インピーダンスや遮断周波数を求めることができない.
評価項目5伝送線路の基礎方程式を導出し,無限長線路の過渡現象を解析することができる.伝送線路の基礎方程式を用いて,無限長線路の過渡現象を解析することができる.伝送線路の基礎方程式を用いて無限長線路の過渡現象を解析することができない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義では,電気回路における過渡現象について述べ,その代表的な解析手法を解説する.まず,最も基礎的な手法である微分方程式による解析手法について,回路例を用いて説明する.次に,ラプラス変換・逆変換を用いた解析手法について,その定義・基本公式を含めて解説する.後期講義では,ラプラス変換によって与えられる回路網関数などを用いて,回路網の性質,周波数応答特性,回路網の合成(設計)方法を解説した後,フィルタと伝送線路の基礎を解説する.
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である.講義の節目には演習課題に取り組み,各自の理解度を確認する.
注意点:
関連科目:
微分積分Ⅰ,Ⅱ,基礎電気回路,電気回路Ⅰ,Ⅱ,応用数学α,β,電力変換回路
学習指針:
数学的な取り扱いが多いが,必要に応じて回路シミュレータなども活用し,回路の振る舞いを理解することも推奨する.
自己学習:
到達目標を達成するためには,講義内容の予習・復習はもちろん,演習問題などを解いて理解を深めることも重要である.下記の参考書などを参照して自学・自習を心掛けること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導入 微分方程式による過渡解析法の概要を説明することができる.
2週 回路素子の特性 R,L,C素子の電流-電圧特性の微分および積分表現を説明することができる.
3週 直流回路の過渡現象1 微分方程式を用いて単エネルギー回路(RL直列,RC直列回路)の過渡現象を解析することができる.回路の時定数を求めることができる.
4週 直流回路の過渡現象2 微分方程式を用いて複エネルギー回路(LC直列, RLC直列回路)の過渡現象を解析することができる.
5週 交流回路の過渡現象 正弦波交流電源を含む回路の過渡現象を解析することができる.
6週 演習 微分方程式を用いた過渡解析に関する演習問題を解くことができる.
7週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
2ndQ
9週 ラプラス変換の定義と基本関数のラプラス変換 ラプラス変換の定義を理解し,単位ステップ関数などの基本関数のラプラス変換を求めることができる.
10週 ラプラス変換の定理 微分定理や推移定理などのラプラス変換の定理を理解し,それらを活用して各種関数をラプラス変換することができる.
11週 部分分数展開とラプラス逆変換 ラプラス変換で得られた複素角周波数領域の関数を部分分数展開し,ラプラス逆変換によって対応する時間領域の関数を求めることができる.
12週 直流回路の過渡現象 ラプラス変換・逆変換を用いて直流電源を含む回路における過渡現象を解析することができる.
13週 交流回路の過渡現象とパルス回路の過渡現象 ラプラス変換・逆変換を用いて交流電源を含む回路における過渡現象を解析することができる.パルス波形などのラプラス変換を求め,過渡解析できる.
14週 各種応答と畳み込み積分 回路のインパルス応答・ステップ応答を求めることができ,畳み込み積分を用いて任意の入力波形に対する応答を求めることができる.
15週 前期期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
後期
3rdQ
1週 回路網解析法の概要 一端子対網および二端子対網について,それらの解析法の概要を説明することができる.
2週 イミタンス関数 インピーダンス関数およびアドミタンス関数の特徴について説明することができる.
3週 リアクタンス二端子網 リアクタンス一端子対網の零点と極を求め,それらから角周波数特性を調べることができる.
4週 Fosterの方法 Fosterの第1および第2の方法を用いてリアクタンス一端子対網を合成することができる.
5週 Cauerの方法 Cauerの第1および第2の方法を用いてリアクタンス一端子対網を合成することができる.
6週 二素子一端子対網 RL二素子およびRC二素子一端子対網について説明することができる.
7週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
4thQ
9週 二端子対網の表現法 二端子対網のインピーダンス行列,アドミタンス行列,縦続行列を求めることができる.各行列表現の相互変換を行うことができる.
10週 二端子対網の接続方法 二端子対網の縦続接続,直列接続,並列接続に基づき,回路網全体の行列表現を求めることができる.T形・π型二端子対網の相互変換ができる.
11週 影像パラメータ 影像パラメータについて説明し,回路の影像インピーダンスおよび影像伝送量を求めることができる.縦続行列との相互変換を行うことができる.
12週 フィルタ 定K形(L形)低域フィルタと高域フィルタの回路構成について説明し,公称インピーダンスや遮断周波数を求めることができる.
13週 伝送線路1 伝送線路(分布定数回路)における過渡現象を解析するための基礎方程式を導出し,その一般解を求めることができる.
14週 伝送線路2 各種の無限長線路における電圧・電流波形を求めることができる.
15週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4前3,前12
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4前4,前12

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力401050
専門的能力401050