電子工学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電子工学
科目番号 0052 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 自作プリント/参考教材「基礎半導体工学」 朝倉書店、國岡昭夫・上村喜一
担当教員 藤田 直幸

到達目標

1.電子の性質、物質の2重性、ボーアの原子モデル、価電子と元素の周期律について理解する。
2.バンド理論の基礎、半導体の基礎、半導体の導電現象について理解する。
3.フェルミ準位、pn接合について理解する。
4.バイポーラトランジスタ,MOS-FETについて理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)
評価項目1電子の性質、物質の2重性、ボーアの原子モデル、価電子と元素の周期律について簡単に説明できる。
評価項目2
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科目は、電子物性、電子デバイス、電子回路系の導入科目として、位置づけられる。前半では、電子を主役とした物理現象について基礎的な事項を理解すること、後半では半導体デバイスの基礎を理解することを目的とする。講義では、物理現象の定性的な理解を目指すため、物理現象をモデル化して理解する力の育成も目的とする。
授業の進め方・方法:
学生は、自らが学ぶ力がある。その力を発揮してこそ、真の実力がつく。この授業では、学生が主体的、能動的に学ぶアクティブラーニング形式で授業を展開する。そのため学生同士の「学びあい」を大切にする。自習プリントを使って、「聞きあう」、「教えあう」という姿勢で学び合いを行う。教員からの解説は、最低限に留め、学生が主体的な学びができるようにサポートすることを教員の役割とする。
注意点:
 関連科目 
本科目は、電気材料や半導体工学の基礎となる科目である。
また、電子回路や電力制御工学で学習する電子デバイスについても本科目で学ぶ基礎が役に立つ
学習指針 
電子物性、電子デバイス、電子回路系の導入科目として位置づけられる科目なので、意欲的に新しい概念の習得に努めて欲しい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子工学の位置づけ 講義の概要、電子工学の位置づけについて説明できる。
2週 電子と原子(1) 電子の性質について説明できる。
3週 電子と原子(2) 前期量子論(光の2重性)とは何かを説明できる。
4週 電子と原子(3) ボーアの原子モデルの概要について説明できる。
5週 電子と原子(4) ボーアの原子モデルで水素原子スペクトルを説明できる。
6週 電子と原子(5) 価電子と元素の周期律の関係を説明できる。
7週 バンド理論の基礎(1) エネルギーバンドが形成される理由について説明できる。
8週 バンド理論の基礎(2) バンド図で電気的性質の説明につて説明できる。
2ndQ
9週 半導体の基礎(1) 半導体の種類とホールについて説明できる。
10週 半導体の基礎(2) 不純物半導体のキャリアについて説明できる。
11週 半導体の基礎(3) 真性半導体のバンド図について説明できる。
12週 半導体の基礎(4) 不純物半導体のバンド図について説明できる。
13週 半導体の基礎(5) 不純物半導体のバンドの温度依存性について説明できる。
14週 半導体の導電現象(1) ドリフト電流と拡散電流について説明できる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消できる
後期
3rdQ
1週 フェルミ準位(1) フェルミ準位とは何か説明できる。
2週 フェルミ準位(2) 真性半導体のフェルミ準位がどこにあるか説明できる。
3週 フェルミ準位(3) 不純物半導体のフェルミ準位がどこにあるか説明できる。
4週 フェルミ準位(4) 不純物半導体のフェルミ準位の温度変化を説明できる。
5週 pn接合(1) pn接合の概略を説明できる。
6週 pn接合(2) pn接合のエネルギーバンド図を説明できる。
7週 pn接合(3) pn接合の電流-電圧特性について説明できる。
8週 pn接合(4) pn接合の逆方向の特性について説明できる。
4thQ
9週 トランジスタ(1) トランジスタの基本構造と等価回路について説明できる。
10週 トランジスタ(2) トランジスタのベース接地の特性について説明できる。
11週 トランジスタ(3) ベース接地の電力増幅について説明できる。
12週 トランジスタ(4) エミッタ接地の静特性について説明できる。
13週 MOS-FET(1) MOS-FETの構造と動作について説明できる。
14週 MOS-FET(2) MOS-FETの特性について説明できる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消できる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前2,前3
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前2,前3
原子の構造を説明できる。4前3,前4,前5
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4前5,前6
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4前7,前8,前9,後1,後2,後3,後4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4前14
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4前9,前10
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4前11,前12,前13
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4後5,後6,後7,後8
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4後9,後10,後11,後12
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4後13,後14

評価割合

試験課題合計
総合評価割合88120000100
電子の性質、物質の2重性、ボーアの原子モデル、価電子と元素の周期律について理解する。223000025
バンド理論の基礎、半導体の基礎、半導体の導電現象について理解する。223000025
フェルミ準位、pn接合について理解する。 223000025
バイポーラトランジスタ,MOS-FETについて理解する。223000025