電気回路Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電気回路Ⅱ
科目番号 0053 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書 :「電気回路(1) 直流・交流回路編」,コロナ社,早川義晴・松下祐輔・茂木仁博(著)
補助教材:「回路解析シミュレータPSIM」,Powersim社製(国内販売代理店:Mywayプラス株式会社,評価版がフリーでダウンロード可)
      他 適宜準備
担当教員 石飛 学,永井 歩美

到達目標

電気回路Ⅰに引き続き,電気工学の基礎をなす交流回路について学ぶ。
3年次では特に,以下の項目を目標とする。
・交流電力が扱えること
・三相回路が理解できること
・ひずみ波の基本的な取り扱いができること
・微分方程式が解けること
・過渡回路の解析ができること

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1交流電力を計算し,力率改善方法等を考えることができる。交流電力の計算ができる。交流電力の計算ができない。
評価項目2三相回路の結線を自由に変換して,所望の電圧・電流・電力を得ることができる。三相回路を単相回路に落とし込んで考えることができる。三相回路を単相回路に落とし込んで考えることができない。
評価項目3インダクタが含まれる回路を記号法,時間関数の両方で表現し,回路現象を説明できる。リアクタンス回路の計算ができる。リアクタンス回路の基礎的な振る舞いが理解できない。
評価項目4結合回路を使って,所望の電圧・電流・電力を得る回路に変換できる。結合回路を等価回路で表現して電圧・電流を計算できる。結合回路の基礎的な振る舞いが理解できない。
評価項目5ベクトル軌跡について他者に教えることができる。ベクトル軌跡を用いて各種回路動作を求めることができる。ベクトル軌跡を描くことができない。
評価項目6歪波交流・フーリェ級数について他者に教えることができる。歪波交流・フーリェ級数について計算問題を解くことができる。歪波交流・フーリェ級数の基本を理解できない。
評価項目7線形常微分方程式について他者に教えることができる。線形常微分方程式を解くことができる。線形常微分方程式を解けない。
評価項目8過渡回路現象について他者に教えることができる。過渡回路を計算することができる。過渡現象の基本を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
家電,モータや発電技術を扱うとき,交流電力,三相回路,結合回路,ベクトル奇跡,歪み波回路や過渡回路の考え方が必須となる。
4年生になると家電,モータや発電技術の授業が始まるため,この科目でしっかり基礎を身につける。
2年生の交流理論を進化させて,身近な機器に近づけていく大事なポイントなので,しっかり身につけてほしい。
授業の進め方・方法:
時間関数と記号法を行き来しながら,実際の現象がわかるように授業を進めていく。
時間関数で回路現象を表現するのに微分を使う。このため,基礎数学をしっかり復習した上で授業に取り組んでほしい。
注意点:
2年次の「電気回路Ⅰ」を理解していることが前提である。また,微分やベクトルをはじめとする基礎数学が必須となる。とにかく,毎回の授業で疑問点を残さないように,どんどん質問してほしい。
事前学習:予め次回の講義内容に該当する部分の教科書を見ておく。また基礎数学を常に復習しておくこと。
事後学習:授業でわからなかったところを明確にして早期に解消する。十分理解できていれば,この先(家電等の回路)に駒を進めてもよい。そのときはサポートするので声をかけてほしい。

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション
「電気回路Ⅰ」の総復習(jωを使う場合,使わない場合)
2年生の交流理論を俯瞰的に理解する。
2週 「電気回路Ⅰ」の総復習(記号法と時間関数の関係) 2年生の交流理論を俯瞰的に理解する。
3週 交流電力(瞬時電力,有効電力,無効電力,皮相電力)と力率 左記の内容を修得する。
4週 電力(瞬時電力,有効電力,無効電力,皮相電力)のベクトル表示
最大電力供給の定理,力率改善
左記の内容を修得する。
5週 三相交流(Y結線とΔ結線,単相回路への落とし方)
平衡三相回路の相電圧,線間電圧,相電流,線電流の関係
左記の内容を修得する。
6週 Y-Δ回路 と Δ-Y回路,V結線 左記の内容を修得する。
7週 平衡三相回路の電力,三相電力の測定 左記の内容を修得する。
8週 三相回路の総合演習問題
これまでの確認(→定期テスト)
演習を通して学んできた技術を定着させる。
2ndQ
9週 インダクタンスの基本式(微分表示を使って,後で記号法を使って,正と負)
 ・・・ファラデー・ノイマンの法則を簡単に 
左記の内容を修得する。
10週 相互インダクタンスの基本式(微分表示を使って,後で記号法を使って,正と負)
 ・・・ファラデー・ノイマンの法則を簡単に
左記の内容を修得する。
11週 トランスの基礎,巻向きと「・」の付け方
トランスの基本式(微分表示を使って,後で記号法を使って,正と負)
左記の内容を修得する。
12週 トランスのT形等価回路とL形等価回路  左記の内容を修得する。
13週 トランスの等価回路を使った問題演習Ⅰ 演習を通して学んできた技術を定着させる。
14週 トランスの等価回路を使った問題演習Ⅱ 演習を通して学んできた技術を定着させる。
15週 これまでの確認(質問を受け付ける形で疑問を解消していく) 理解できていないところを修復する。
16週 前期期末試験 前期期末試験
後期
3rdQ
1週 後期のイントロダクション
ひずみ波とフーリエ級数展開
左記の内容を修得する。
2週 ひずみ波交流の電圧と電流
フーリエ級数展開の演習
左記の内容を修得する。
3週 L, R, C の性質を確認
フィルタ回路の基礎
左記の内容を修得する。
4週 定数係数をもつ常微分方程式(演算子法で) 左記の内容を修得する。
5週 定数係数をもつ常微分方程式(演算子法で) 左記の内容を修得する。
6週 交流理論から過渡現象へ
回路の状態方程式
左記の内容を修得する。
7週 微分方程式を用いた過渡回路演習 演習を通して学んできた技術を定着させる。
8週 これまでの確認(→定期テスト) 後期中間テスト
4thQ
9週 瞬時等価回路を使った単発過渡回路解析Ⅰ(キャパシタ回路) 演習を通して学んできた技術を定着させる。
10週 瞬時等価回路を使った単発過渡回路解析Ⅱ(インダクタ回路) 演習を通して学んできた技術を定着させる。
11週 瞬時等価回路を使った単発過渡回路解析Ⅲ(危険な回路,テブナンの等価回路と過渡現象) 左記の内容を修得する。
12週 瞬時等価回路を使った単発過渡回路の演習 演習を通して学んできた技術を定着させる。
13週 ベクトル奇跡の必要性と求め方 左記の内容を修得する。
14週 ベクトル奇跡の演習 演習を通して学んできた技術を定着させる。
15週 これまでの確認と演習 演習を通して学んできた技術を定着させる。
16週 学年末試験 学年末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4
理想変成器を説明できる。4
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。4
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。4
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。4

評価割合

試験課題・レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力502070
専門的能力201030
分野横断的能力000