環境エネルギー工学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 環境エネルギー工学
科目番号 0055 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 平田哲夫・ほか3名「図解 エネルギー工学」(森北出版) / 適宜プリントを配布、関井康雄・脇本隆之「エネルギー工学(改定新版)」(電気書院)
担当教員 土井 淳

到達目標

【前期末試験】
(1)エネルギー資源の概要の理解、(2)エネルギー変換の概要の理解、(3)火力発電原理・発電施設の理解、(4)原子力発電原理・発電施設の理解、(5)水力発電原理・発電施設の理解
【学年末試験】
(1)各種の再生可能エネルギーによる発電原理・発電施設の理解、(2)燃料電池の発電原理・発電施設の理解
【実   習】
環境エネルギー問題に対して、科学的根拠と論理的思考に基づいた的確な判断力を身につけること
 

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
従来の発電方式の問題を解くことができる火力、原子力、水力の発電方式の問題をほとんど解くことができる。火力、原子力、水力のそれぞれの発電方式の基本的な問題を解くことができる。火力、原子力、水力の発電方式について、基本的な事項を理解していない。
エネルギーと環境についての問題を解くことができる地球温暖化、酸性雨、大気汚染、放射能汚染とエネルギー利用とのかかわりについてほとんど説明することができる。地球温暖化、酸性雨、大気汚染、放射能汚染のそれぞれとエネルギー利用とのかかわりについて、基本的な事項を説明することができる。地球温暖化、酸性雨、大気汚染、放射能汚染のそれぞれとエネルギー利用とのかかわりについて、基本的な事項を理解していない。
再生可能エネルギー等による発電方式の問題を解くことができる風力、太陽光、地熱、バイオマス、燃料電池の発電方式の問題をほとんど解くことができる。風力、太陽光、地熱、バイオマス、燃料電池のそれぞれの発電方式の基本的な問題を解くことができる。風力、太陽光、地熱、バイオマス、燃料電池の発電方式について、基本的な事項を理解していない。
省エネルギー技術についての問題を解くことができる省エネルギーに関する個別技術、システム化技術、廃棄エネルギー再利用、社会システムについてほとんど説明することができる。省エネルギーに関する個別技術、システム化技術、廃棄エネルギー再利用、社会システムについて、基本的な事項を説明することができる。省エネルギーに関する個別技術、システム化技術、廃棄エネルギー再利用、社会システムについて、基本的な事項を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 こんにちのエネルギー事情ならびにエネルギー資源の変遷、現状および今後の動向を、次いで、現在の火力(化石燃料)発電、原子力発電および水力発電の要点を学ぶ。また、風力、太陽光、地熱、バイオマスの再生可能エネルギー発電や燃料電池等についても学ぶ。
 エネルギーと環境、再エネ発電計画、省エネルギー技術について自ら調べ考えるための調査・実習(それぞれ4テーマ)を設け、報告書の作成および発表を行う。
授業の進め方・方法:
 講義は教科書および配布プリント(補足資料および演習問題)により行う。
 前・後期の後半は学生発表による授業を行う。定められた期日までに、割り当てられたテーマの報告書を作成し、発表用スライドと共に提出しなければならない。
注意点:
関連科目
 1年 環境リテラシ、化学Ⅰ  2年 物理Ⅱ  3年 環境工学概論
 4年 電気電子材料、電気機器工学
 5年 環境エレクトロニクス、電力系統工学、電気法規・設備工学
学習指針
 電気エネルギーは他のエネルギーへの変換が容易であり、輸送に要する時間が極めて短いため、最も便利で安全なエネルギー形態であるといえる。この電気エネルギー発生の仕組みを理解させると同時に、将来のエネルギー問題を、地球環境を配慮して展望しうる素養を習得させる。
自己学習
 目標を達成するためには予習復習を怠らないこと。また、エネルギーの動向に関する情報を常日頃から得るよう心掛け、調査・実習への真摯な取り組みと活発な議論を期待する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 エネルギー環境学 (講義)文明の進歩とエネルギー,3Eのトリレンマと21世紀文明について理解する。
2週 化石燃料 (講義)エネルギー資源とその分類,化石エネルギーとその埋蔵量について理解する。
3週 エネルギー変換のあらまし (講義)エネルギーの変換方法,熱力学の理論,流体力学の理論,発電方式について理解する。
4週 火力(化石燃料)発電(1) (講義)燃焼,火力発電のサイクル,火力発電の熱効率について理解する。
5週 火力(化石燃料)発電(2) (講義)火力発電所の設備,複合サイクル発電,環境保全対策について理解する。
6週 原子力発電(1) (講義)核分裂・核融合,原子力発電のサイクル,原子力発電の熱効率について理解する。
7週 原子力発電(2) (講義)原子炉と原子力発電所,軽水炉による原子力発電所,核燃料サイクルについて理解する。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 エネルギーと環境 (講義)環境問題とエネルギー利用のかかわりについて理解する。
10週 エネルギーと環境(1) (発表)「化石燃料の燃焼に伴う地球温暖化」
11週 エネルギーと環境(2) (発表)「硫黄酸化物、窒素酸化物による酸性雨」
12週 エネルギーと環境(3) (発表)「光化学オキシダント、微小粒子状物質による大気汚染」
13週 エネルギーと環境(4) (発表)「原子力発電に伴う放射能汚染」
14週 水力発電(1) (講義)水車の基礎理論,水車の種類,水車の変換効率について理解する。
15週 水力発電(2) (講義)水力発電所の土木設備,水力発電所の運転と保守,水力発電所の建設について理解する。
16週 前期末試験、答案返却
後期
3rdQ
1週 風力発電 (講義)風車の基礎理論,風車の種類,風車の変換効率,風力発電システムについて理解する。
2週 太陽光発電 (講義)光起電力の原理,太陽電池,太陽電池の変換効率,太陽光発電システムについて理解する。
3週 地熱発電 (講義)地熱発電のサイクル,地熱発電の熱効率,地熱発電所の設備について理解する。
4週 バイオマス発電 (講義)バイオマス資源の種類と利用,バイオマス発電の方式について理解する。
5週 燃料電池 (講義)電力発性の原理,燃料電池の種類,燃料電池の変換効率について理解する。
6週 再エネ発電の計画(1) (発表)小水力・風力発電の設備設計を行い、発電電力量を評価について理解する。
7週 再エネ発電の計画(2) (発表)太陽光・地熱発電の設備設計を行い、発電電力量を評価について理解する。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 再エネ発電の計画(3) (講義)電源毎の普及状況と課題について理解する。
10週 地球温暖化は解決できるか (演習➀)考えてみよう! 日本のエネルギー選択と温室効果ガス削減目標
(演習➁)あなたは低炭素・脱炭素のために何ができるのか?
11週 省エネルギー技術(1) (講義)省エネルギーのあらまし
12週 省エネルギー技術(2) (発表)「個別技術 ― 設備・装置・機器の高効率化・低損失化」
13週 省エネルギー技術(3) (発表)「システム化技術 ― 機器を組み合わせて適切に運用」
14週 省エネルギー技術(4) (発表)「廃棄エネルギー再利用 ― 未利用エネルギーの利用」
15週 省エネルギー技術(5) (発表)「社会システムの対応によるエネルギー消費量の低減」
16週 学年末試験、答案返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3前1,前9,前10,前11,前12,前13,後10
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3前1,前9,前10,前11,前12,前13,後10
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3前1,前9,前10,前11,前12,前13,後10
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3前1,前2,前9,前10,前11,前12,前13,後10
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3前1,前9,前10,前11,前12,前13
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3前1,前9,前10,前13
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3前1,前9,前10,前13
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。4
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。4前4,前5,前6,前7,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後11,後12,後13,後14
電力システムの経済的運用について説明できる。4前4,前5,前6,前7,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後12,後13,後14
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。4前14,前15
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。4前4,前5
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。4前6,前7,前13
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。4前1,前3,前9,後5,後6,後9,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60400000100
基礎的能力0000000
専門的能力60400000100
分野横断的能力0000000