到達目標
1. 測定誤差の要因を説明できる。平均、偏差と分散,t検定,最小二乗法などの統計量の解析方法を理解し,測定値などの実データを正しく評価・処理できる。
2. 基本的な指示電気計器の原理を説明できる。電圧計と電位差計の違いを説明できる。ホール素子やファラデー素子を用いた電流計,変流器の原理を説明できる。
3. 3電流・3電圧法の原理をベクトル図から説明できる。四端子法による低抵抗測定の利点を説明できる。高抵抗・接地抵抗測定における注意点を説明できる。
4. 直流磁界の測定機器で工夫されている点について,アンペア・マクスウェルの式を用いて説明できる。デシベル計算ができる。マイクロ波インピーダンスの測定原理を説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 測定誤差の要因を説明できる。平均,偏差と分散,t 検定・最小二乗法を用いて,測定値を目的にあった方法で適切に評価・処理できる。 | 測定誤差の要因を理解できる。平均,偏差と分散,t 検定・最小二乗法を用いた計算ができる。 | 測定誤差の要因を理解できない。平均,偏差と分散,t 検定・最小二乗法を用いた計算ができない。 |
評価項目2 | 基本的な指示電気計器の原理を説明できる。電圧計と電位差計の違いを説明できる。ホール素子やファラデー素子を用いた電流計,変流器の原理を説明できる。 | 基本的な指示電気計器の原理を理解できる。電圧計と電位差計の違いを理解できる。ホール素子やファラデー素子を用いた電流計,変流器の原理を理解できる。 | 基本的な指示電気計器の原理を理解できない。電圧計と電位差計の違いを理解できない。ホール素子やファラデー素子を用いた電流計,変流器の原理を理解できない。 |
評価項目3 | 3電流・3電圧法の原理をベクトル図から説明できる。四端子法による低抵抗測定の利点を説明できる。高抵抗・接地抵抗測定における注意点を説明できる。 | 3電流・3電圧法を使って電力計算ができる。四端子法、高抵抗や接地抵抗測定法の注意点を理解できる。 | 3電流・3電圧法を使って電力計算ができない。四端子法、高抵抗や接地抵抗測定法の注意点を理解できない。 |
評価項目4 | 直流磁界の測定機器で工夫されている点について,アンペア・マクスウェルの式を用いて説明できる。デシベル計算ができる。マイクロ波インピーダンスの測定原理を説明できる。 | 直流磁界の測定機器について、原理を理解できる。デシベルの概念を理解できる。マイクロ波インピーダンスの測定原理を理解できる。 | 直流磁界の測定機器について、原理を理解できない。デシベルの概念を理解できない。マイクロ波インピーダンスの測定原理を理解できない。 |
学科の到達目標項目との関係
準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2)
説明
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教育方法等
概要:
計測に関する基礎知識を理解し,電気・電子計測に用いられる計器の原理及び使用方法を習得することを目的とする。計測技術の進歩に伴い,これまで多くの計測機器が生まれ,多くの機器が消滅している。このように機器が刷新されていく背景には,それなりの合理的な理由がある。本講義では,単に暗記を行うのではなく,計測方法の背景に流れる哲学を読み解くことにより,電気技術者として必要となる素養を身につける。
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である。教科書を中心に進めるが,適宜プリントを配布して補足説明を行う。
定期試験返却時に解説を行い,理解が不十分な点を解消する。
注意点:
関連科目:電磁気学,電気回路,電気機器工学,アナログ回路
学習指針:暗記科目ではない。計測手法の本質を読み解き,理解することを心がけること。
電磁気学,電気回路との関連項目が多いので,これら関連科目を習得していることが望ましい。
事前学習:あらかじめ講義内容に該当する部分の教科書を読み、理解できるところ、理解できないところを明らかにしておく。
事後展開学習:講義ノートを見直し、指定された章末問題を解いておく。
学修単位の履修上の注意
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
計測の基礎 |
計測工学の考え方
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2週 |
測定誤差(1) |
精度と誤差
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3週 |
測定誤差(2) |
平均,偏差と分散,不変推定量,t検定,最小二乗法,ラグランジュ補間
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4週 |
測定誤差(3) |
誤差の伝搬,丸め誤差,有効数字
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5週 |
電気単位 |
SI単位系
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6週 |
標準器 |
各種標準器
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7週 |
前期中間試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
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8週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
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2ndQ |
9週 |
指示電気計器(1) |
指示電気計器の分類,計器の3要素,温度補償回路
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10週 |
指示電気計器(2) |
可動コイル形・可動鉄片形・電流力計形・整流型計器
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11週 |
指示電気計器(3) 測定範囲の拡大 |
熱電形・静電型・誘導形・比率形型計器, 分流・分圧器,変成・変圧器
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12週 |
電位差計 |
直流電位差計,直流比較形電位差計
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13週 |
大電流・高電圧 |
ホール素子による測定,クレーマ式直流変流器
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14週 |
特殊な測定 |
ファラデー素子による変流器,ロゴスキーコイル
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15週 |
前期末試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
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16週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
電力(1) |
有効電力,3電流・3電圧法,3相電力,ブロンデルの法則
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2週 |
電力(2) |
無効電力,電力量,力率の測定
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3週 |
抵抗(1) |
中抵抗,低抵抗の測定
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4週 |
抵抗(2) |
高抵抗,絶縁抵抗,接地抵抗の測定
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5週 |
インピーダンス(1) |
交流ブリッジ
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6週 |
インピーダンス(2) |
LCRメータ,Qメータ
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7週 |
磁束・磁界 |
磁束・磁界の測定,核磁気共鳴吸収,磁気変調器
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8週 |
後期中間試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
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4thQ |
9週 |
磁化特性の測定 |
磁化特性,鉄損,ヒステリシス曲線
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10週 |
周波数・時間(1) |
原子周波数標準器,標準信号発生器,デシベルの考え方
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11週 |
周波数・時間(2) |
ヘテロダイン周波数計,位相の測定,リサージュ図形
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12週 |
波形・ディジタル計器 |
オシロスコープ,スペクトラムアナライザ,A/D変換,標本化定理,量子化
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13週 |
マイクロ波 |
マイクロ波インピーダンス,スミスチャート,マイクロ波電力
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14週 |
雑音 |
雑音の種類,雑音指数,熱雑音,ショット雑音
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15週 |
後期末試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
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16週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 計測 | 計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。 | 4 | 前1 |
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。 | 4 | 前2,前3,前4 |
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。 | 4 | 前5 |
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。 | 4 | 前6 |
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。 | 4 | 前9,前10,前12,前13 |
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。 | 4 | 前11 |
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。 | 4 | 後12 |
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。 | 4 | 後3,後4 |
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。 | 4 | 後5 |
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。 | 4 | 後1,後2 |
電力量の測定原理を説明できる。 | 4 | 後1,後2 |
オシロスコープの動作原理を説明できる。 | 4 | 後12 |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 80 | 20 | 100 |