伝送工学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 伝送工学
科目番号 0060 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 〔教科書〕(前期)西園敏弘・増田悦夫・宮保憲治,「情報通信概論」,オーム社. (後期)滑川敏彦「通信方式」,森北出版. 松田豊稔, 「電波工学」,コロナ社.〔補助教材・参考書〕 (後期)中司浩生, 「基礎伝送工学」,コロナ社など
担当教員 芦原 佑樹,岡田 実

到達目標

1. 帯域幅と雑音の関係を用いてシャノンの伝送容量定理を説明できる。変調方式や多重化方式の特徴を図解できる。物理層・データリンク層・ネットワーク層の役割を説明できる。
2. IPネットワークにおける各レイヤーの役割を説明できる。サブネットを含んだLAN(IPネットワーク)を設計できる。公開鍵暗号方式のしくみを説明できる。
3. TE波、TM波、TEM波の違い(定義)を説明できる。またTE波、TM波、TEM波の伝播する各種(矩形、円形)伝送路におけるMaxwell方程式からヘルムホルツ方程式を導出することができる。
4. ヘルムホルツ方程式から一般解を求め、各種伝送路内の各種電磁波の伝搬定数、位相定数、減衰定数、遮断周波数、位相速度、群速度、ポインティングベクトルを求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1帯域幅と雑音の関係を用いてシャノンの伝送容量定理を説明できる。変調方式や多重化方式の特徴を図解できる。物理層・データリンク層・ネットワーク層の役割を説明できる。帯域幅と雑音の関係を用いてシャノンの伝送容量定理を理解できる。変調方式や多重化方式の特徴を理解できる。物理層・データリンク層・ネットワーク層の役割を理解できる。帯域幅と雑音の関係を用いてシャノンの伝送容量定理を理解できない。変調方式や多重化方式の特徴を理解できない。物理層・データリンク層・ネットワーク層の役割を理解できない。
評価項目2IPネットワークにおける各レイヤーの役割を説明できる。サブネットを含んだLAN(IPネットワーク)を設計できる。公開鍵暗号方式のしくみを説明できる。IPネットワークにおける各レイヤーの役割を理解できる。サブネットを含んだLAN(IPネットワーク)を理解できる。公開鍵暗号方式のしくみを理解できる。IPネットワークにおける各レイヤーの役割を理解できない。サブネットを含んだLAN(IPネットワーク)を理解できない。公開鍵暗号方式のしくみを理解できない。
評価項目3TE波、TM波、TEM波の違い(定義)を説明できる。またTE波、TM波、TEM波の伝播する各種(矩形、円形)伝送路におけるMaxwell方程式からヘルムホルツ方程式を導出することができる。TE波、TM波、TEM波の違い(定義)を理解できる。またTE波、TM波、TEM波の伝播する各種(矩形、円形)伝送路におけるMaxwell方程式やヘルムホルツ方程式を理解ができる。TE波、TM波、TEM波の違い(定義)を理解できない。またTE波、TM波、TEM波の伝播する各種(矩形、円形)伝送路におけるMaxwell方程式やヘルムホルツ方程式を理解ができない。
評価項目4ヘルムホルツ方程式から一般解を求め、各種伝送路内の各種電磁波の伝搬定数、位相定数、減衰定数、遮断周波数、位相速度、群速度、ポインティングベクトルを求めることができる。各種伝送路内の各種電磁波の伝搬定数、位相定数、減衰定数、遮断周波数、位相速度、群速度、ポインティングベクトルを理解できる。各種伝送路内の各種電磁波の伝搬定数、位相定数、減衰定数、遮断周波数、位相速度、群速度、ポインティングベクトルを理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (c) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-2 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
現代の情報化社会を支える通信システムを、物理層とその上部に築かれた上位層に分けて講義を実施することにより、ソフト、ハード両面に亘る広範な伝送に関連する知識の習得を目的とする。前期では通信の階層構造を説明した上で、インターネットプロトコルなど上位層に関する理解を目的とし、後期では電磁気学に基づいて構築・設計された伝送路内部における電磁波伝搬特性や電磁波へ印加されるディジタル変調送受信特性について理解することを目的とする。
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である。数式展開を追いかけるだけでなく、何を求めているかを常に念頭に置き、問題の本質を捉えることを心がけること。実用化されている身近な通信技術に置き換えて考えてみると良い。
注意点:
〇関連科目
(前期)コンピュータハードウェア,信号通信理論
(後期)信号通信理論,電磁気学Ⅲ,電気電子材料,応用数学β
〇学習指針
数学的な取り扱いが多いが、各自の様々な経験や身近な体験を通して説明できるまで理解することが重要である。
〇自己学習
到達目標を達成するためには、授業以外にも教科書の例題や演習問題を解き理解を深める必要がある。関連する図書も参考にして自学・自習をすること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、インターネットの歴史 インターネット発展の歴史を、時代背景と共に理解する
2週 情報通信の基本要素 周波数スペクトル,帯域幅,文字情報のディジタル化
3週 情報伝送,通信とプロトコル 伝送帯域,シャノンの伝送容量,OSI参照モデル
4週 情報通信モデル シャノン・ファノの通信モデル,ガウス雑音,有線・無線の伝送媒体,電波伝搬特性
5週 変調・多重化方式,ネットワーク構成と交換方式 各種変調方式,PCM符号化,多重化方式(FDM,TDM,WDM),LAN,WAN,パケット交換,VPN
6週 パケット通信のプロトコル,物理層 コネクション制御,ルーティング,同期/非同期伝送,ベースバンド伝送,ADSL,FTTH
7週 データリンク層 伝送制御手順,誤り検出
8週 ネットワーク層 サブネット,ゲートウェイ,ルーティング,MTU,ICMP
2ndQ
9週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
10週 IPアドレッシング IPアドレス,サブネットマスク,CIDR,IPv6
11週 トランスポート層 TCP,UDP,ポート番号
12週 アプリケーションプロトコル DNS,SMTP,MIME,POP3,HTTP
13週 LAN イーサネット,MACアドレス,ハブ,スイッチ,L3スイッチ
14週 TCP/IPプロトコル NAT,IPマスカレード,ARP,DHCP,ルーティングプロトコル
15週 情報セキュリティ コンピュータウイルス,ファイアウォール,暗号化
16週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
後期
3rdQ
1週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
2週 Maxwell方程式 TEM波、TE波、TM波と電磁波の閉じ込め
3週 Maxwell方程式 TEM波の真空中一般解の導出と伝送パワー
4週 Maxwell方程式 TEM波の同軸線路中一般解の導出と伝送パワー
5週 導波管線路 矩形導波管線路内部のTE波モードの導出
6週 導波管線路 矩形導波管線路内部のTM波モードの導出
7週 導波管線路 矩形導波管線路の遮断周波数の導出と遮断周波数と伝搬定数、減衰定数、位相定数の関係の導出
8週 導波管線路 矩形導波管線路の遮断周波数と位相、群速度の関係導出
4thQ
9週 導波管線路 矩形導波管線路内部TE、TM波ポインティングベクトル導出
10週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
11週 導波管線路 円形導波管線路内部のTE波モードの導出
12週 導波管線路 円形導波管線路内部のTM波モードの導出
13週 スラブ導波路 誘電体を用いたスラブ導波路内部のTE波モードの導出
14週 スラブ導波路 誘電体を用いたスラブ導波路内部のTM波モードの導出
15週 スラブ導波路 誘電体を用いたスラブ導波路内部の表面波(エバネッセント波)一般解の導出
16週 スラブ導波路 誘電体を用いたスラブ導波路内部の表面波(エバネッセント波)の位相、群速度、ポインテイングベクトル導出

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合7030100
専門的能力7030100