電力変換回路

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電力変換回路
科目番号 0074 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 〔教科書〕「はじめてのパワーエレクトロニクス」板子 一隆(著)オーム社
〔補助教材〕「回路解析シミュレータPSIM」Powersim社製(国内販売代理店:Mywayプラス株式会社
       評価版がフリーでダウンロード可)、他 適宜準備
〔参考書〕「スイッチングコンバータ回路入門」岡山 努(著)日刊工業新聞社
     「世界を動かすパワー半導体―IGBTがなければ電車も自動車も動かない」児玉 浩憲(著)電気学会
※ 個々のポイントに関心があれば,適切な参考書や技術資料等を紹介します。
担当教員 石飛 学

到達目標

・スイッチング電源と電力変調方法の基本がわかる。
・受動素子の特性と単発過渡現象の動作がわかる。
・パワー半導体の構造と特性を理解し,回路動作と連動させて考えることができる。
・基本的な電力変換回路の動作がわかる。
以上の修得

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1スイッチング電源と電力変調方法の基本を理解し,身近な機器の動作がわかる。スイッチング電源と電力変調方法の基本を理解できる。スイッチング電源と電力変調方法の基本が理解できない。
評価項目2受動素子の特性と単発過渡現象の動作がわかり,他の回路に応用できる。受動素子の特性と単発過渡現象の基本動作がわかる。受動素子の特性と単発過渡現象の基本動作がわからない。
評価項目3パワー半導体の構造と特性を理解し,回路動作と連動させて考えることができる。パワー半導体の構造と特性を理解している。パワー半導体の構造と特性を理解していない。
評価項目4DC-DC変換回路の動作を理解し,身近な機器に応用できる。DC-DC変換回路の動作を理解している。DC-DC変換回路の動作を理解していない。
評価項目5DC-AC変換回路の動作を理解し,身近な機器に応用できる。DC-AC変換回路の動作を理解している。DC-AC変換回路の動作を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
家電製品,電車,自動車はもちろんのこと,再生可能エネルギーやガス,水道,通信網といった社会インフラまで電気エネルギーで動いており,このエネルギーの扱い方を学ぶ学問をパワーエレクトロニクスといいます。この授業では,パワーエレクトロニクスの心臓部であるスイッチング電力変換回路を取り上げ,各種電力変換回路がどうやって動き,家電等の中で何が行われているのか学びます。また,環境と共存していくための省エネ技術や高調波障害等にも触れていきます。これらを通して,受験や就職してから役立つ回路解析法も伝授します。
授業の進め方・方法:
電力形態を変換およびコントロールするスイッチング電力変換回路の回路方式および変調方式を中心に講義を行います。電力回路を理解する上で必須となる単発過渡現象,電力変換に用いる半導体デバイスの特性等の基礎を修得し,回路の動作解析を行っていきます。
注意点:
関連科目:複合領域の応用分野なので,全ての電気に関する科目と関連する数学が基礎となります。
     特に基礎電気回路,電気回路ⅠⅡⅢ,アナログ回路,電子工学および基礎数学の知識が必要です。
学習指針:様々な回路における動作を丸暗記せず,シミュレータ等積極的に利用して,手を動かしながら理解してほしいです。
     一方的な授業はつまらないので,質問攻撃を望みます。
自己学習:身近に使われている技術なので,関連技術や製品などに疑問をもって,質問を投げかけてください。
事前学習:複合領域の応用分野なので,授業で引っかかった箇所に関連する基礎科目を再復習の上,次の授業に挑んでほしい。
事後学習:シミュレータを用いて,授業で出てきた回路の確認を行ってください。

学修単位の履修上の注意

授業時間外を利用して,回路シミュレーションおよび回路解析を行い,知識と技術の定着を行ってください。取り組んでほしい作業や項目は,具体的に示し,特に重要なものは必須課題として用意します。各自でどんどん進めていける要素をもった科目なので,是非,積極的に取り組んでほしい。課題はテストと直結します。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション
電源の中身は何で構成されているか?
リニア電源,スイッチング電源とは?
左記の内容を修得する。
2週 回路シミュレータ講座
回路動作の要となる受動素子たち
左記の内容を修得する。
3週 瞬時等価回路を用いた回路読解術(基礎編) 左記の内容を修得する。
4週 瞬時等価回路を用いた回路読解術(プチ応用編) 左記の内容を修得する。
5週 回路の状態を変化させる半導体デバイス
(パワーダイオード,伝導度変調,整流動作)
左記の内容を修得する。
6週 回路の状態を変化させる半導体デバイス
(ダイオード回路,リカバリ現象)
左記の内容を修得する。
7週 回路の状態を変化させる半導体デバイス
(BPT,サイリスタ)
左記の内容を修得する。
8週 これまでの確認(→定期テスト) これまでの穴を見つけて修復する。
2ndQ
9週 回路の状態を変化させる半導体デバイス
(パワーMOS-FET,IGBT)
左記の内容を修得する。
10週 回路の状態を変化させる半導体デバイス
(高周波化,ソフトスイッチング,デバイス動作演習)
左記の内容を修得する。
11週 DC-AC変換 と 高調波力率 左記の内容を修得する。
12週 DC-DC変換(絶縁型,チョッパ) 左記の内容を修得する。
13週 DC-AC変換(インバータとモード解析) 左記の内容を修得する。
14週 DC-AC変換(モード解析演習) 左記の内容を修得する。
15週 これまでの確認(→定期テスト) これまでの穴を見つけて修復する。
16週 各種電力変換回路,現代の課題と将来展望
(高周波ACリンクDC-DCコンバータ,マトリクスコンバータ,MPPTコンバータも紹介)
学んだ技術が,この先どのように応用展開されていくのか把握する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。4
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4
理想変成器を説明できる。4
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4前1
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4前1
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。4
網目電流法を用いて回路の計算ができる。4
節点電位法を用いて回路の計算ができる。4
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。4
電力変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。4前9
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。4
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。2
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。3

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力552075
専門的能力151025
分野横断的能力000