電気機器工学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電気機器工学
科目番号 0077 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 【教科書】「モータ技術のすべてが分かる本」赤津 観(著)ナツメ社 【参考書】「よくわかる電気機器」森本 雅之(著)森北出版 / 他 適宜用意して配付します。
担当教員 石飛 学

到達目標

1. 電機機器の用語(トルク・回転数・等価回路・定格・効率)を説明でき,直流電動機と変圧器の原理と構造から等価回路で表現することができ,それから特性式を導くことができる。
2. 三相交流電流とコイルから回転磁界が発生し誘導電流により回転することを説明でき,誘導電動機の簡易等価回路を表現することができる。一次負荷電流,2次入力,トルク式を導き,運転特性を説明できる。
3. 原動機の種類毎に同期発電機の構造を説明できる。有効・無効電力と電機子反作用の関係と等価回路での表現ができる。
4.直流電動機の抵抗制御,誘導電動機のV/F制御やVVVF 制御を説明できる。インバータとPWM,急速に発展している新形モータの周辺技術と現状を説明できる。
5.永久磁石同期電動機の種類,原理やベクトル制御を理解し、誘導電動機や永久磁石同期電動機のセンサレス制御の最新技術の特徴などを理解することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1直流電動機と変圧器の詳細等価回路および簡易等価回路が書け、その仮定から導出する各種基本的特性が理解できる。直流電動機と変圧器の簡易等価回路が書け、その基本的特性が理解できる。直流電動機と変圧器の簡易等価回路が表現できない。
評価項目2回転磁界の発生原理を理解し、誘導電動機の詳細等価回路およびすべりsを含む簡易等価回路が書け、その電流からトルクの式を導出し、T-N特性など各種IMの特性が理解できる。誘導モータのL形等価回路およびT-N特性を図示することができる。誘導モータのL形等価回路およびT-N特性を図示することができない。
評価項目3原動機と同期発電機の構造と原理を理解できる。 有効・無効電力や電機子反作用の説明ができる。原動機と同期発電機の構造と原理が理解できる。原動機と同期発電機の構造と原理が理解できない。
評価項目4直流電動機の抵抗制御,誘導電動機のV/F制御やVVVF 制御を説明できる。インバータとPWM,急速に発展している新形モータの周辺技術と現状を説明できる。 直流モータ制御および誘導モータのV/f制御ややVVVF 制御などの意味が理解できる。電気鉄道における直流モータ制御および誘導モータのV/f制御の意味が理解できない。
評価項目5永久磁石同期電動機の種類,原理やベクトル制御を理解し、永久磁石同期電動機のセンサレス制御の最新技術の特徴などを理解することができる。永久磁石同期電動機の種類,原理やベクトル制御を理解できる。永久磁石同期電動機の種類,原理が理解てきない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電気機器はエネルギー変換を具体的に実現している装置である。前半は変圧器,誘導電動機の構造・動作原理・諸特性を,後半は直流電動機,同期発電機,同期電動機と永久磁石同期電動機の構造・動作原理・諸特性と各種電動機の制御関連技術も含めて学ぶ。
授業の進め方・方法:
前期は教科書に中心に補足資料により変圧器と誘導電動機の構造・原理・等価回路・諸特性の概要を学ぶ。
後期は教科書に中心に補足資料により直流電動機と同期発電機や同期電動機および永久磁石同期電動機の構造・原理・等価回路の概要を学ぶ。さらに各種電動機の制御と交流モータ制御であるベクトル制御さらにセンサレス制御の概要について学ぶ。
注意点:
関連科目
 直流・交流の電気回路(特に複素数の計算),電磁気,応用物理(力学)などと関係が深い。

学習指針
 教科書を中心として補足資料により,後半は補足資料を中心に最近急速に応用が進む永久磁石同期電動機の最新制御(ベクトル制御,センサレス制御)が説明できるまで理解することが大切である。

自己学習
 補足資料の内容を繰返し復習すること。
 日頃から新聞やネットでエネルギー問題やエコカーの動向などのニュースにも関心を持つこと。

これまで学んできた基礎科目を組み合わせ応用する科目にため,特に電磁気,回路,磁気デバイスに関する基礎力を要します。授業を通して,忘れていた もしくは 落としていた箇所を確認し,事前および事後に穴埋めを行ってください。また重要事項を確認する課題を用意するので,知識の定着に使ってほしい。

学修単位の履修上の注意

授業時間外を利用して課題に取り組み,レポートを提出すること。
・重要事項の確認と定着:理解度確認テストに出題する。
・調査課題:テスト範囲からは省く。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 直流電動機の原理 電磁気学の基本式から,コイルに発生する力とトルクを導出することができる。
2週 直流電動機の構造 界磁・電機子構造,速度・トルク特性について説明することができる。
3週 直流電動機の諸特性 分巻・直巻電動機の等価回路と特性について比較することができる。
4週 電機子反作用 電機子反作用の意味と等価回路における表現を説明でき,端子電圧Vと誘導起電力Eおよび電流Iのベクトル関係を説明することができる。
5週 同期発電機1 同期発電機の原理,構造,等価回路について説明することができる。
6週 同期発電機2 同期発電機の諸特性が説明することができる。
7週 同期電動機 同期電動機の構造と諸特性が説明することができる。
8週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
4thQ
9週 永久磁石同期電動機1 永久磁石同期電動機の種類,原理,構造などが理解することができる。
10週 永久磁石同期電動機2 永久磁石同期電動機のリラクタンストルクの諸特性およびその他の電動機が理解することができる。
11週 電動機の制御1 直流電動機と同期発電機の制御について始動から運転までが理解することができる。
12週 電動機の制御2 誘導電動機と同期電動機の制御に対する諸特性が理解することができる。
13週 交流電動機の制御 交流機の高性能制御であるベクトル制御が理解することができる。
14週 センサレス制御 誘導電動機や永久磁石同期電動機のセンサレス制御の概要が理解することができる。
15週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電力直流機の原理と構造を説明できる。4後1,後2,後3,後14
誘導機の原理と構造を説明できる。4
同期機の原理と構造を説明できる。4後5,後6,後7
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。4
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。4

評価割合

理解度確認テスト調査レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力502070
専門的能力201030