物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 物理Ⅱ
科目番号 0023 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 電子制御工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 高専の物理(第5版、森北出版)、高専の物理問題集(第3版、森北出版)
担当教員 榊原 和彦

到達目標

1. 仕事とエネルギーの関係が理解できる。平面や空間の運動が記述できる。剛体の釣り合い条件を求めることができる。
2. 圧力,浮力の公式を導出できる。熱現象に関する基本公式を理解するとともに、熱の移動を伴う各種計算ができること。
3. 熱力学過程、熱力学第二法則、剛体の釣り合いの問題、圧力の問題の基本公式の証明が理解でき、各種計算問題ができること。1次元上の波動の基本公式を用いた計算、グラフの読み取り、作図ができること。ホイヘンスの原理から反射、屈折、干渉の法則の証明やそれを用いた計算ができること。重ね合わせの原理から定常波が理解できる。
4. 音波の基本的な性質とドップラー効果の公式の証明ができ、問題が解けること。光波の分光,偏光が説明でき、干渉の計算ができること。電磁気の基礎(静電界)において、電磁気力、電界に関わる証明ができ、ガウスの法則を用いた計算ができること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1仕事,運動エネルギー,運動エネルギーの計算ができ,さらにその相互関係が説明できる。平面の運動を座標軸で分解して問題を解ける。円運動の位置,速度,加速度の公式の間の関係を理解する。剛体の釣り合いを力のモーメントの関係から理解できる。仕事,運動エネルギー,運動エネルギーの計算ができる。ベクトルの和,差,分解の基本的問題を解ける。円運動の位置,速度,加速度の公式を覚え,計算ができる。力のモーメントの計算ができる。仕事,運動エネルギー,運動エネルギーの計算ができない。ベクトルの和,差,分解の基本的問題を解けない。円運動の位置,速度,加速度の公式を使った計算ができない。力のモーメントの計算ができない。
評価項目2圧力の式,浮力の式の導出を理解し応用できる。理想気体の法則,熱力学の第一法則,比熱と熱量の関係,内部エネルギーの公式をその導出および関連まで理解し,さらに数値的な計算や数式的な計算を用いて応用する問題を解答できる。圧力の公式を記憶し,数値的な計算に応用できる。理想気体の法則,熱力学の第一法則,比熱と熱量の関係,内部エネルギーの公式の導出が理解できる。もしくは,公式を記憶し,数値的な計算に応用できる。圧力の公式の計算ができない。理想気体の法則,熱力学の第一法則,比熱と熱量の関係,内部エネルギーの公式の導出を理解できない。さらに公式を記憶し,数値的な計算もできない。
評価項目3熱力学の基本式から導出して熱力学過程の物理量の変化が計算できる。また熱力学の第二法則の複数の表現の等価性を証明できる。 波の基本式,正弦波の公式,干渉・反射・屈折の公式の導出が理解し,数値的な計算に応用できる。 縦波および横波のグラフの書き方または読み方が理解でき波の状態を求めることができる。波の境界条件を理解して,反射波や定常波の作図ができる。ホイヘンスの原理から波の基本的な性質が導出でき,それを数値的な計算に応用できる。音の基本を理解しうなりの公式を導出できる。またはそれらを記憶し数値的な計算に応用できる。熱力学過程の物理量の変化が計算できる。また熱力学の第二法則について理解できる。波の基本式,正弦波の公式,干渉・反射・屈折の公式の導出が理解できる。もしくは,その公式を記憶し,数値的な計算に応用できる。 縦波および横波のグラフの書き方または読み方が理解でき波の状態を求めることができる。波の境界条件を理解して,反射波や定常波の作図ができる。ホイヘンスの原理から波の基本的な性質が導出できることが理解できる。または波の基本法則を記憶し数値的な計算に応用できる。音の基本を理解し,うなりの公式を導出できる。またはそれらを記憶し数値的な計算に応用できる。熱力学過程の物理量の変化が計算できない。また熱力学の第二法則について理解できない。波の基本式,正弦波の公式,干渉・反射・屈折の公式の導出が理解できない。さらに,その公式を記憶し,数値的な計算に応用できない。 縦波および横波のグラフの書き方または読み方が理解できず,波の状態を求めることができない。波の境界条件を理解できず,反射波や定常波の作図ができない。ホイヘンスの原理から波の基本的な性質が導出できることが理解できない。さらに波の基本法則を記憶し数値的な計算に応用できない。音の基本を理解できず,うなりの公式を導出できない。またはそれらを記憶し数値的な計算に応用できない。
評価項目4ドップラー効果の公式を導入し,応用できる。スペクトルおよび偏光現象の利用法が説明できる。光の干渉について各種公式の導出ができ,さらに応用できる。 クーロン力,電場の公式を理解し応用できる。ガウスの法則を積分形で理解し,応用することで,多様な電荷の作る電界を求めることができる。ドップラー効果の公式を導出し,計算できる。 光波の基本的性質を理解し,スペクトルおよび偏光現象の説明ができる。光の干渉について各種公式の導出ができる。または公式を記憶し,数値的な計算に応用できる。 クーロン力,電場の公式を理解し,数値的な計算に応用できる。ガウスの法則を理解し,応用することで,電荷の作る電界を求めることができる。ドップラー効果の公式を導出できず,計算もできない。 光波の基本的性質を理解できず,スペクトルおよび偏光現象の説明ができない。光の干渉について各種公式の導出ができず,数値的な計算に応用もできない。 クーロン力,電場の公式を理解せず,数値的な計算に応用できない。ガウスの法則を理解できず,電荷の作る電界を求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
近年の急激に進歩した技術は、我々の生活の隅々に入り込み個人の能力を飛躍的に増大してくれました。しかしその一方、それらの技術は「ブラックボックス化」し、その真の姿(原理)が見えにくくなっています。そのため、このような時代・世界において、特に技術者が責任ある行動や決断を行うためには、背景にある科学的原理を理解する事によって、自分自身の理解力、洞察力を高めることが必要になっています。2年次の物理はあらゆる専門科目の基礎であると同時に、科学の基本的方法を学ぶことを目的としています。具体的には
(1)自然の性質(実験事実)を数式によって理解すること:数理的理解
(2)物理学を理解することで自然界のいろいろな現象を統一的に説明できること:普遍性の理解
です。そのためには、科学の理解とは、単なる問題の解答を見つける能力と異なる事を認識し、疑問を持ち、自ら間違いを訂正する能力を訓練してもらいたいと思います。
授業の進め方・方法:
物理学では、「理解する」ということがどういうことかを理解できないと困ります。したがって授業中にこちらから質問を投げかけますので、それに答えられるように授業の内容を「理解」していくことが重要です。そのため、授業中のノートは短時間でとり、「聞くこと」を要求します。また講義中には、学生の発言に関し配点を与える場合もあります。また、数式をより深く理解するために実験が設定されていますので、しっかりと準備をして集中して取り組んでください。
注意点:
関連科目
物理1、数学
学習指針
進度に合わせ、教科書の問題や問題集を参考書も参考にして自学・自習で解いておくこと。
講義内容は予定であり、学生の理解度を考慮して多少の変更をする可能性があります。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 仕事,運動エネルギー、位置エネルギー 力と仕事,運動エネルギーを理解する。万有引力,重力,ばねの弾性力等の位置エネルギーを理解する。
2週 力学的エネルギー保存則 力学的エネルギー保存の法則を理解する。
3週 ベクトルとスカラー ベクトルの演算法則を理解する。成分表示のため三角比の基本演算を理解する。
4週 運動方程式(2次元) 平面の運動方程式,放物運動を理解する。斜面上の物体の運動を理解する。
5週 等速円運動 弧度法を理解し,角速度,周期,振動数を理解する。またケプラーの法則と運動方程式の関係を理解する。
6週 剛体の力学① 力のモーメントの公式の説明とそれを使った計算ができる。
7週 剛体の力学② 剛体の釣り合いの原理を理解し、その計算ができる。
8週 中間試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消する。
2ndQ
9週 流体の力学① 圧力に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
10週 流体の力学② 浮力に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
11週 熱力学の基礎① 絶対温度の定義と熱の正体が説明できる。気体法則の公式の説明とそれを使った計算ができる。
12週 熱力学の基礎② 熱と仕事の関係の公式の説明とそれを使った計算ができる。
13週 熱力学の基礎③ 熱容量と比熱の定義の説明と計算ができる。
14週 熱力学の基礎④ 固体の比熱の測定実験を行う
15週 熱力学の原理① 気体分子運動論の原理と計算について理解できる。
16週 前期末試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 熱力学の原理② 断熱、定積、定圧、等温の各過程の物理量を計算できる。
2週 熱力学の原理③ 熱力学第一、二法則の原理を理解し、その計算ができる。
3週 波動現象の基礎① 直線上の波の考え方を理解し、波の基本公式を使った計算ができる。
4週 波動現象の基礎② 縦波と横波について理解できグラフの読み取りができる。
5週 波動と数式① 正弦波の公式の原理が理解でき、グラフの読み取りや計算ができる。
6週 波動と数式② 定常波の原理が理解でき、作図及び関連する計算ができる。気柱共鳴の実験
7週 空間に広がる波① 回折、干渉、反射の原理と証明を理解し、公式を用いた計算ができる。
8週 中間試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消する。
4thQ
9週 空間に広がる波② 屈折の原理と証明を理解し、公式を用いた計算ができる。
10週 音波① 音波の基本とうなりについて理解し、その計算ができる。
11週 音波② ドップラー効果について理解し、その計算ができる。
12週 光波① 光波の基本と回折・反射や偏光・分散(分光)について理解する。(屈折の実験)
13週 光波② 光の回折・反射や偏光・分散(分光)について理解する。
14週 光波③ 光の干渉について理解し、その計算ができる。
15週 光波④ 光が電磁波の一種であることを理解する。また偏光およびスペクトルを理解する。
16週 後期末試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前4
物体に作用する力を図示することができる。3前3
力の合成と分解をすることができる。3前3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前9
運動方程式を用いた計算ができる。3前4
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前1
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前1
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前1
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前1
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3前5
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前1
力のモーメントを求めることができる。3前6
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前7
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前11
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前11
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前13,前14
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前13,前14
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前12
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前11
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前13
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3後1
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前15
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3後2
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3後2
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3後3
横波と縦波の違いについて説明できる。3後4
波の重ね合わせの原理について説明できる。3後3
波の独立性について説明できる。3後3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3後6
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3後6
ホイヘンスの原理について説明できる。3後7
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3後7,後9
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3後10
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3後10
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3後11
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3後11
自然光と偏光の違いについて説明できる。3後13
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3後12
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3後13
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前14,後6
安全を確保して、実験を行うことができる。3前14,後6
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前14,後6
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前14,後6
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前14
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後6
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後15

評価割合

定期試験課題・レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100