材料・加工学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 材料・加工学
科目番号 0029 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 図解入門 現場で役立つ金属材料の基本と仕組み  大澤 直 著
担当教員 島岡 三義

到達目標

1.金属材料の基本的な物理的性質,特に,密度,導電率,熱伝導率,磁性,熱膨張などに関する,各種材料の特徴や程度の差が説明できる。また,さびの発生メカニズム,防食など,化学的性質に関しても説明できる。
2.構造物や機械部品などに使用される金属材料の各種機械的性質(応力とひずみ,縦弾性係数,引張強さ,硬さなど)を説明できる。
3.鉄鋼材料や非鉄金属材料の熱処理(焼入れ,焼戻し,焼なまし,焼ならし)の基本的な処理方法と熱処理による性質の変化について,アルミニウムとその合金,銅とその合金についても説明できる。
4.金属材料の塑性加工法,鋳造,表面処理の方法の概略を説明できる。
5.金属材料の接合方法(溶接,ロウ接,圧接など)の基本的な概略を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1金属材料の基本的な物理的性質,特に,密度,導電率,熱伝導率,磁性,熱膨張などに関する,各種材料の特徴や程度の差が説明できる。また,さびの発生メカニズム,防食など,化学的性質に関しても説明できる。金属材料の基本的な物理的性質,特に,密度,導電率,熱伝導率,磁性,熱膨張などに関する,各種材料の特徴や程度の差が説明できるが,さびの発生メカニズム,防食など,化学的性質に関しては説明できない。属材料の基本的な物理的性質,特に,密度,導電率,熱伝導率,磁性,熱膨張などに関する,各種材料の特徴や程度の差が説明できない。
評価項目2構造物や機械部品などに使用される金属材料の各種機械的性質(応力とひずみ,縦弾性係数,引張強さ,硬さなど)を説明できる。構造物や機械部品などに使用される金属材料の各種機械的性質のうち,応力とひずみ,縦弾性係数,引張強さ,硬さなどの違いは説明できる。構造物や機械部品などに使用される金属材料の各種機械的性質のうち,応力とひずみ,縦弾性係数,引張強さ,硬さなどの違いを説明できない。
評価項目3鉄鋼材料や非鉄金属材料の熱処理(焼入れ,焼戻し,焼なまし,焼ならし)の基本的な処理方法と熱処理による性質の変化について,アルミニウムとその合金,銅とその合金についても説明できる。鉄鋼材料の熱処理(焼入れ,焼戻し,焼なまし,焼ならし)の基本的な処理方法と熱処理による性質の変化については説明できるが,アルミニウムとその合金,銅とその合金については十分な説明ができない。鉄鋼材料の熱処理(焼入れ,焼戻し,焼なまし,焼ならし)の基本的な処理方法と熱処理による性質の変化についてすら十分な説明ができない。
評価項目4金属材料の塑性加工法,鋳造,表面処理の方法の概略を説明できる。金属材料の塑性加工法,鋳造,表面処理の方法のうち,一部説明できない加工法がある。金属材料の塑性加工法,鋳造,表面処理の方法のほとんどを説明できない。
評価項目5金属材料の接合方法(溶接,ロウ接,圧接など)の基本的な概略を説明できる。金属材料の接合方法のうち,溶接とロウ接の基本的な概略を説明できる。金属材料の接合方法のうち,溶接とロウ接の根本的な違いを説明できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物を作る場合,強度や形状および大きさに関する設計能力を有する必要があるが,適切な材料を選択し,最適な加工法を理解しておくことも重要である。本講義では,工業材料としてどのような材料が存在して,どのような用途に使用されているか,また,工業材料はどのような加工プロセスを経て成形,加工されているかを学習して,材料および加工法選択能力を高める。
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である。講義項目とは特に連動はしないが,本講義に関連する専門用語の英単語テストを実施する。英単語は覚えるものであるが,名詞形,形容詞形などの規則性の理解を深められるようにする。定期試験返却時に解説し,理解が不十分な点を解消する。
注意点:
関連科目
化学Ⅰ・Ⅱ,機械工学実習などとの関連がある。
  学習指針
現存する工業材料の特徴,用途などの解説が主になる。身の回りにある道具,機器を構成する材料が何であるか?,なぜその材料が使用されているのか? という注視が重要である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 金属材料の基礎知識 金属の結晶構造とその変態,平衡状態図の概略を説明できる
2週 金属材料の物理的性質(1) 金属元素の融点,沸点,密度を説明できる
3週 金属材料の物理的性質(2) 金属元素の熱膨張,導電率,熱伝導率を説明できる
4週 金属材料の物理的性質(3) 金属材料の磁性,磁性材料の用途を説明できる
5週 金属材料の化学的性質(1) 化学的性質による金属の分類,酸化と還元を説明できる
6週 金属材料の化学的性質(2) 防食,応力腐食割れを説明できる
7週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する
2ndQ
9週 金属材料の機械的性質(1) 金属材料の強さとは何か,応力とひずみ,応力とひずみの関係,応力-ひずみ線図を説明できる
10週 金属材料の機械的性質(2) 縦弾性係数,ポアソン比,引張強さを説明できる
11週 金属材料の機械的性質(3) 衝撃強さ,疲労強さ,クリープ強さを説明できる
12週 金属材料の機械的性質(4) 硬さ,硬さ試験法の概略を説明できる
13週 金属材料の熱処理(1) 鉄鋼材料の製法の概略を説明できる
14週 金属材料の熱処理(2) 炭素鋼の性質とその分類を説明できる
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する
後期
3rdQ
1週 金属材料の熱処理(3) 炭素鋼の熱処理を理解するのに必要なFe-C系平衡状態図の見方を説明できる
2週 金属材料の熱処理(4) 鋼の熱処理の概略を説明できる
3週 金属材料の熱処理(5) 焼入れと焼戻しを説明できる
4週 金属材料の熱処理(6) 焼なましと焼ならしを説明できる
5週 非鉄金属材料の熱処理 アルミとアルミ合金,銅と銅合金の熱処理の概略を説明できる
6週 金属塑性加工(1) 金属塑性加工法の概略を説明できる
7週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する
4thQ
9週 鋳造 主要な鋳造の概略を説明できる
10週 金属材料の接合法(2) 金属接合法の種類を説明できる
11週 金属材料の溶接 ガス溶接,アーク溶接の概要を説明できる
12週 金属材料のロウ接 ロウ接法の概略を説明できる
13週 金属材料の表面処理(1) 表面改質法の種類,浸炭,窒化処理の概略を説明できる
14週 金属材料の表面処理(2) メッキの原理,役割等の概略を説明できる
15週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野工作鋳物の作り方、鋳型の要件、構造および種類を説明できる。4後9
精密鋳造法、ダイカスト法およびその他の鋳造法における鋳物の作り方を説明できる。4後9
鋳物の欠陥について説明できる。4後9
溶接法を分類できる。4後10,後12
ガス溶接の接合方法とその特徴、ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できる。4後10,後11
アーク溶接の接合方法とその特徴、アーク溶接の種類、アーク溶接棒を説明できる。4後10,後11
サブマージアーク溶接、イナートガスアーク溶接、炭酸ガスアーク溶接で用いられる装置と溶接のしくみを説明できる。2後10,後11
塑性加工の各加工法の特徴を説明できる。4後6
材料機械材料に求められる性質を説明できる。4前2,前3,前6,前9,前10
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。4前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。2前9,前10
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。2前12
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。2前11
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。2前11
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。2前11
金属と合金の結晶構造を説明できる。4前1
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。4前1
合金の状態図の見方を説明できる。4前1
鉄鋼の製法を説明できる。4前13
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。4前14
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。4前1,後1
焼きなましの目的と操作を説明できる。4後2,後4,後5
焼きならしの目的と操作を説明できる。4後2,後4,後5
焼入れの目的と操作を説明できる。4後2,後3,後5
焼戻しの目的と操作を説明できる。4後2,後3,後5

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力500000050
専門的能力1000002030
分野横断的能力1000001020