電気回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電気回路Ⅰ
科目番号 0031 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 『専門基礎ライブラリー 電気回路 改訂版』(出版社:実教出版株式会社,著者:加藤政一、和田成夫、佐野雅敏、田井野徹、鷹野致和、高田進)
担当教員 山口 和也

到達目標

下記の内容を習得することを本講義の到達目標とする.

前期中間試験:(1)直流回路における基本的な計算,(2)回路方程式の導出と計算
前期末試験 :(1)交流の性質,(2)複素数の計算法
後期中間試験:(1)回路のインピーダンス・アドミタンス,(2) RL・RC回路
学年末試験 :(1)交流ブリッジ回路,(2)RLC回路と共振,(3) 交流電力

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
直流回路における計算直流回路における電圧・電流・電力の計算,および複雑な回路における回路方程式の導出と計算が行える.直流回路における電圧・電流・電力の計算,および回路方程式の導出と計算が行える.基本的な直流回路の計算ができない.
複素数の計算直流と交流の違いと性質を正しく理解し,複素数の計算を行える.交流の性質を正しく理解し,複素数の計算を行える.基本的な交流の計算ができない.
複素数を用いた回路計算交流回路内の電圧・電流を,複素数を用いて正しく計算でき,ベクトル図を用いて説明できる.交流回路内の電圧・電流を,複素数を用いて正しく計算できる.交流回路の計算ができない.
RLC共振回路の計算回路の共振周波数,および電圧・電流を計算でき,共振現象について説明できる.回路の共振周波数,および電圧・電流を計算できる.共振回路の計算ができない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
中学理科で学んだオームの法則等の電気回路の基礎から始まり,回路計算の基本であるキルヒホッフの法則と回路方程式を経て,それらを交流回路へと応用する.交流回路においては,交流解析における便利なツールである複素数を扱い,それを用いて回路内の電圧・電流・インピーダンス・各種電力を計算する.
授業の進め方・方法:
基本的に,前半の45分を講義形式,後半の45分を演習形式で授業を行う.具体的には,前半でその日習得すべき内容を教員が伝え,その内容に関する類題を後半の時間で学生が解く.
注意点:
・関連科目
 数学系科目を基礎とする.また,後の電気回路Ⅱ,電子回路,電子工学,制御工学の基礎となる.

・学習指針
 本講義は,上述した数学系科目の内容については理解している前提で行うので,学習に不安があれば各自補うこと.それらを踏まえ,より専門的な内容を学んでいく.

・事前学習
 毎週の講義の前に,該当する教科書の範囲を読んでおくこと.

・事後展開学習
 講義中の内容で分からない箇所があった場合,その日のうちに解決しておくこと.また,こちらが課題を提示した場合は,その内容を正しく理解した上で,解いたものを次の週に提出すること.

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 初回ガイダンスとオームの法則 本講義の概要,受講の際の注意点等を説明する.その後,電気回路の初歩であるオームの法則について解説する.
2週 抵抗の直列接続と並列接続 回路全体の合成抵抗,および合成コンダクタンスを求めることができる.
3週 分圧と分流 分圧と分流の公式を導出し,電圧・電流を計算できる.
4週 電力と電力量 直流における電力と電力量の意味を理解し,計算できる.
5週 キルヒホッフの法則 キルヒホッフの電流則・電圧則の意味を理解できる.
6週 回路方程式 ループ電流法とブランチ電流法を用いて,回路内の各電圧・電流を求められる.
7週 復習 これまでの内容の確認をし,試験に備える.
8週 前期中間試験 前期1週~7週までの範囲の試験問題を解く.
2ndQ
9週 解答・解説 前期中間試験の答案を返却後,復習を行う.
10週 直流と交流 交流とは何か,特に直流との違いについて理解できる.
11週 正弦波交流の性質 最大値や周波数などの,正弦波の基礎項目について理解できる.
12週 正弦波交流の複素数表示 正弦波交流を,直交形式と極形式の複素数で表現することができる.
13週 複素数の計算 複素数の和差積商,および複素数の大きさと偏角、および共役複素数を用いた計算ができる.
14週 複素数の応用 複素数の回転,正弦波交流への拡張を理解できる.
15週 復習 これまでの内容の確認をし,試験に備える.
16週 前期末試験 前期10週~15週までの範囲の試験問題を解く.
後期
3rdQ
1週 ベクトルの合成 正弦波の合成を,ベクトルを用いて表現する方法について理解できる.
2週 LとCの電圧と電流 コイルを流れる電流・コンデンサの両端の電圧を求められる.
3週 回路素子のインピーダンスとアドミタンス 回路素子のインピーダンスとアドミタンスを,複素数で表現できる.
4週 回路素子の接続 複数の回路素子を接続した場合の合成インピーダンス・合成アドミタンスを計算できる.
5週 RL・RC直列回路 RL・RCから成る直列回路について,電圧・電流を求められる.
6週 RL・RC並列回路 RL・RCから成る並列回路について,電圧・電流を求められる.
7週 復習 これまでの内容の確認をし,試験に備える.
8週 後期中間試験 後期1週~7週までの範囲の試験問題を解く.
4thQ
9週 解答・解説 後期中間試験の答案を返却後,復習を行う.
10週 交流ブリッジ回路 ブリッジ回路に関する回路計算について理解できる.
11週 RLC回路と共振 R・L・Cから成る回路について,電圧・電流,および共振周波数を求められる.
12週 交流電力 瞬時電力と平均電力,および複素電力,皮相電力,有効電力,無効電力,力率について理解できる.
13週 交流電力とインピーダンス 交流回路における各種電力を求めることができる.
14週 復習 これまでの内容の確認をし,試験に備える.
15週 学年末試験 後期10週~14週までの範囲の試験問題を解く.
16週 解答・解説 学年末試験の答案を返却後,復習を行う.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3前1
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3前1
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3前5,前6
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3前2,前3
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。3後10
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。3前4
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3前10,前11
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3前11
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3前12,前13,前14
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3後2
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。3前11
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。3後5,後6
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3後3,後4
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3後5,後6,後11,後12
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3後3,後4
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。3後11,後12
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3後13,後14
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3前6
節点電位法を用いて回路の計算ができる。3前6

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力60060
専門的能力202040
分野横断的能力000