到達目標
1.材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)の理解し単純な荷重(引張力,圧縮力,せん断力の他に物体力や熱応力を含む)作用形態(不静定問題も含む)において部材に生じる応力とひずみを求めることができる。
2.丸棒のねじり現象の理論的取扱いができ,はりに作用するせん断力と曲げモーメントを求めることができ,さらに,せん断力図と曲げモーメント図を描くことができる。
3.はりの危険断面と曲げ応力を求めることができ, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出ができ,さらに, 静定はりのたわみ曲線を求めることができる。
4.長柱の各種支持方法毎の座屈荷重に関する理論式を求めることができる。また,座屈に関する実験式を使って座屈加重や座屈応力を計算できる。さらに, 平面応力状態におけるモールの応力円を作図でき,2次元応力場での応力とひずみを求めることができる。なおまた, 材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギを求めることができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)の理解し単純な荷重(引張力,圧縮力,せん断力の他に物体力や熱応力を含む)作用形態(不静定問題も含む)において部材に生じる応力とひずみを求めることができる。 | 材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)の理解し単純な荷重(引張力,圧縮力,せん断力)作用形態(不静定問題も含む)において部材に生じる応力とひずみを求めることができる。 | 材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)は理解できるが,部材に生じる応力とひずみは求めることができない。 |
評価項目2 | 丸棒のねじり現象の理論的取扱いができ,はりに作用するせん断力と曲げモーメントを求めることができる。さらに,せん断力図と曲げモーメント図を描くこともできる。 | 丸棒のねじり現象の理論的取扱いができるものの,はりに作用するせん断力と曲げモーメントや,せん断力図と曲げモーメント図を描くことは部分的にしかできない。 | 丸棒のねじり現象の理論的取扱いができるものの,はりに作用するせん断力と曲げモーメントや,せん断力図と曲げモーメント図を描くことは全くできない。 |
評価項目3 | はりの危険断面と曲げ応力を求めることができ, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出ができる。さらに, 静定はりのたわみ曲線を求めることができる。また,特定の場所のたわみ角やたわみ量も求めることができる。 | はりの危険断面と曲げ応力を求めることができるが, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出ができない。静定はりのたわみ曲線を求めることや,特定の場所のたわみ角やたわみ量も求めることは部分的にしかできない。 | はりの危険断面と曲げ応力を求めることができないし, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出もできない。さらに,静定はりのたわみ曲線を求めることや,特定の場所のたわみ角やたわみ量も求めることもできない。 |
評価項目4 | 長柱の各種支持方法毎の座屈荷重に関する理論式を求めることができる。また,座屈に関する実験式を使って座屈加重や座屈応力を計算できる。さらに,平面応力状態におけるモールの応力円を作図でき,2次元応力場での応力とひずみを求めることができる。なおまた,材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギを求めることができる。 | 長柱の座屈荷重に関する理論式は特定の支持法については求めることができる。また,座屈に関する実験式を使って座屈加重や座屈応力を計算できる。さらに,平面応力状態におけるモールの応力円の作図と2次元応力場での応力とひずみを求めることは,部分的にできる。材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギも部分的には求めることができる。 | 長柱の座屈荷重に関する理論式の導出ができない。また,座屈に関する実験式を使っての座屈加重や座屈応力の計算もできない。さらに,平面応力状態におけるモールの応力円の作図と2次元応力場での応力とひずみを求めることや,材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギも求めることができない。 |
学科の到達目標項目との関係
準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2)
説明
閉じる
JABEE基準 (d-1)
説明
閉じる
JABEE基準 (d-2a)
説明
閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-2
説明
閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1
説明
閉じる
教育方法等
概要:
材料力学は部材に外力が作用したときの部材の変形挙動を扱い,構造物や装置製作において,力学の観点から非常に重要で有益な学問であり,重要な基礎工学の一つである。本講義では,装置・構造物等の強度設計に応用・展開できる材料力学の基礎能力を身につける。
授業の進め方・方法:
金属材料を主とする部材(丸棒や角材などの極単純な形状)に外力(引張・圧縮力,せん断力,ねじりモーメント,曲げモーメント等)が作用したときの部材の変形挙動を,実際の事象と関連づけて解説し,理解できているかを確認する。数式展開を記述したプリントを配布するので,予習(理解不足の数学を確認しておく)・復習(解答を見ないで演習問題を解いてみる)を必ず実行することが望ましい。また,ノート採取よりは,その場で理解することを第一に心がけ,不明な点は億劫がらずに積極的に質問することが望ましい。
注意点:
関連科目
物理,数学,応用物理,応用数学,工業数学などとの関連が深い
学習指針
数学的な取り扱いが多いが,各自のさまざまな経験や身近な体験を通して説明できるまで理解することが重要である。
自己学習
到達目標を達成するためには,授業以外にも教科書の例題や演習問題を何度も解いて理解を深めることが重要である。良くわかっていない数学を復習すること。
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
材料力学の目的および基礎 |
材料力学の学問分野としての位置付けと適用限界を説明できる。
|
2週 |
応力・ひずみの定義,フックの法則 |
材料力学で扱う物理量でもっとも重要な応力・ひずみの定義と,材料力学の理論体系における基本法則であるフックの法則を説明できる。
|
3週 |
応力・ひずみ線図,許容応力と安全率 |
部材に加える力と変形量の関係を応力とひずみに置き換え,材料による特性を理解し,実際の部材の設計と関係が深い許容応力と安全率について説明できる。
|
4週 |
棒の単純引張・圧縮による応力,ひずみと変形 |
もっとも単純な外力の作用形態である単純引張力・圧縮力によって生じる応力とひずみ量並びに変形量を求めることができる。
|
5週 |
自重の影響や物体力による部材の変形 |
大型部材は部材自体の自重を無視できず,高速回転体には遠心力が働く。自重や遠心力等の物体力が作用する場合に部材に生じる応力と変形量を求めることができる。
|
6週 |
単純引張・圧縮に関する不静定問題 |
部材に生じる応力を力のつりあい式とモーメントのつりあい式だけからは解くことができない不静定問題での応力とひずみを求めることができる。
|
7週 |
熱応力による部材の変形 |
金属材料は温度変化によって体積変化を生じ,変形が拘束されると熱応力を生じる。熱応力による部材の変形問題を解くことができる。
|
8週 |
前期中間試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
|
2ndQ |
9週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する
|
10週 |
丸棒のねじり,不静定問題,円形断面以外の棒のねじり |
丸棒のねじり現象とその理論を理解し,断面二次極モーメントを計算でき,不静定問題と円形以外の複雑断面形状棒のねじりの考え方を説明できる。
|
11週 |
動力伝動軸 |
動力伝動軸はねじり応力(せん断応力)を受けている。伝達動力とねじり応力の関係を説明でき,生じるせん断応力,ねじれ角を求めることができる。
|
12週 |
演習問題の解説 |
棒のねじり現象に関する自作プリント等の演習問題を解くことができる。
|
13週 |
はり作用するせん断力と曲げモーメント |
「はり」の定義とはりに作用するせん断力と曲げモーメントの考え方を説明できる。
|
14週 |
SFDとBMD |
はりに作用するせん断力と曲げモーメントのそれぞれの大きさの分布図である「せん断力図 : SFD」と「曲げモーメント図 : BMD」の描くことができる。
|
15週 |
前期末試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
|
16週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
SFDとBMDに関する演習問題の解説 |
片持はりや単純支持はり(静定はり)に作用する荷重形態とSFD,BMDとの関連を説明できる。
|
2週 |
断面二次モーメントと断面係数 |
はりの曲げ問題で重要な断面二次モーメントと断面係数について,数学的な意味と物理的な意味を理解し,いろいろな断面形状について求めることができる。
|
3週 |
曲げ応力と断面形状に関する幾何学 |
曲げ応力とはどういうものか,その大きさの求め方と断面形状による違いについて説明できる。
|
4週 |
平等強さのはり |
はりに作用する曲げ応力が一様である場合が少ない。場所的に曲げ応力が変化しない,すなわち,平等強さのはりの断面形状変化を求めることができる。
|
5週 |
はりのたわみ曲線を求める基礎式の導出 |
はりに横荷重が作用するとはりはたわむ(変形する)。そのたわみの曲線を求めるための基礎方程式を導出することができる。
|
6週 |
はりのたわみ曲線の求め方 |
はりのたわみ曲線を求め,特定の場所でのたわみ量の求め方を解説する。
|
7週 |
後期中間試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
|
8週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する
|
4thQ |
9週 |
長柱の座屈理論 |
長柱の座屈に関し,柱の支え方とそれぞれのばあいについての座屈荷重,座屈応力の理論解を求めることができる。
|
10週 |
長柱の座屈に関する実験式 |
長柱の座屈に関する理論解の適用限界と各種実験式について説明できる。
|
11週 |
組合せ応力(2次元応力場) |
平面応力状態を理解し,主応力と主方向を求めることができる。
|
12週 |
平面応力状態のモールの応力円 |
平面応力状態におけるモールの応力円の描き方と応力場との関連を説明できる。また,内外圧を受ける薄肉円筒,薄肉球に生じる応力を求めることができる。
|
13週 |
弾性ひずみエネルギ概説 |
物体に蓄えられる,弾性ひずみエネルギを求めることができる。
|
14週 |
演習問題の解説 |
静定はりのたわみ,座屈,モールの応力円の演習問題を解くことができる。
|
15週 |
学年末試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
|
16週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。 | 3 | |
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。 | 3 | |
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。 | 3 | |
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。 | 3 | |
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。 | 3 | |
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。 | 3 | |
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。 | 3 | |
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。 | 3 | |
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 90 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 100 |
基礎的能力 | 50 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 50 |
専門的能力 | 30 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 40 |
分野横断的能力 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 |