電気回路Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電気回路Ⅱ
科目番号 0051 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 『専門基礎ライブラリー 電気回路 改訂版』(出版社:実教出版株式会社,著者:加藤政一、和田成夫、佐野雅敏、田井野徹、鷹野致和、高田進)
担当教員 山口 和也

到達目標

下記の内容を習得することを本講義の到達目標とする.

前期中間試験:(1)相互誘導回路,(2)重ね合わせの理,(3)テブナン・ノートンの定理
前期末試験 :(1)三相交流回路,(2)ベクトル軌跡
後期中間試験:(1)二端子対回路,(2)直流電源を用いたRL・RC回路の過渡現象
学年末試験 :(1)交流電源を用いたRL・RC回路の過渡現象,(2)RLC回路の過渡現象

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
各種回路解析テブナン・ノートンの定理,および重ね合わせの理の意味を説明でき,さらにそれらを用いて回路計算ができる.テブナン・ノートンの定理,および重ね合わせの理を用いて回路計算ができる.テブナン・ノートンの定理,および重ね合わせの理を理解していない.
三相交流の電圧・電流三相交流の基本的な性質を理解し,各負荷において線間電圧・線電流等を導出し,正しく計算できる.三相交流の基本的な性質を理解し,各負荷において線間電圧・線電流等を正しく計算できる.三相交流の基本性質,各負荷における電圧・電流の計算ができない.
二端子対回路二端子対回路の意味を理解し,各行列を求め,行列同士の関係を説明できる.二端子対回路の意味を理解し,各行列を求めることができる.各行列を求めることができない.
過渡現象解析RLC回路内の電圧・電流の過渡応答をグラフで理解し,計算できる.RLC回路内の電圧・電流を計算できる.RLC回路内の電圧・電流を計算できない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義では,2年次に学習した交流回路解析をさらに応用していく.各回路の等価回路解析から始まり,三相交流,二端子対回路等これまで学んだことの応用的な内容を扱い,最終的に微分方程式を用いた過渡現象解析を行う.
授業の進め方・方法:
基本的に,前半の45分を講義形式,後半の45分を演習形式で授業を行う.具体的には,前半でその日習得すべき内容を教員が伝え,その内容に関する類題を後半の時間で学生が解く.
注意点:
・関連科目
 電気回路Ⅰ,数学系科目を基礎とする.また,後の電子回路,電子工学,制御工学の基礎となる.

・学習指針
 本講義は,1年次と2年次の電気回路Ⅰ,および数学系科目の内容については理解している前提で行うので,学習に不安があれば各自補うこと.それらを踏まえ,より専門的な内容を学んでいく.

・事前学習
 毎週の講義の前に,該当する教科書の範囲を読んでおくこと.

・事後展開学習
 講義中の内容で分からない箇所があった場合,その日のうちに解決しておくこと.また,こちらが課題を提示した場合は,その内容を正しく理解した上で,解いたものを次の週に提出すること.

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 相互誘導回路のインピーダンス 自己インダクタンスと相互インダクタンスについて理解できる.
2週 相互誘導回路の等価回路 相互インダクタンスのT型等価回路を理解し,電圧・電流の計算ができる.
3週 重ね合わせの理 重ね合わせの理を用いた回路計算について理解できる.
4週 電圧源と電流源 電圧源と電流源の等価回路を理解できる.
5週 テブナンの定理 テブナンの定理とそれを用いた回路計算について理解できる.
6週 ノートンの定理 ノートンの定理とそれを用いた回路計算について理解できる.
7週 復習 これまでの内容の確認をし,試験に備える.
8週 前期中間試験 前期1週~7週までの範囲の試験問題を解く.
2ndQ
9週 解答・解説 前期中間試験の答案を返却後,復習を行う.
10週 対称三相交流 対称三相交流の電源の性質を理解できる.
11週 Y形負荷への供給 対称三相交流の電源にY形負荷を接続した際の電圧・電流を計算できる.
12週 Δ形負荷への供給 対称三相交流の電源にΔ形負荷を接続した際の電圧・電流を計算できる.
13週 ベクトル軌跡 電源角周波数の変化によるインピーダンス・アドミタンス,および電圧・電流のベクトルの変化について理解できる.
14週 最大電力 最大電力条件,インピーダンス整合について理解できる.
15週 復習 これまでの内容の確認をし,試験に備える.
16週 前期末試験 前期10週~15週までの範囲の試験問題を解く.
後期
3rdQ
1週 二端子対回路とZパラメータ 二端子対回路を理解し,インピーダンス行列を求めることができる.
2週 二端子対回路とYパラメータ 二端子対回路を理解し,アドミタンス行列を求めることができる.
3週 二端子対回路とFパラメータ 二端子対回路を理解し,基本行列を求めることができる.
4週 過渡現象と1階線形微分方程式(1) 過渡現象とは何かを理解し,外力が定数の場合の1階線形微分方程式を解くことができる.
5週 直流電源でのRC回路の過渡現象 直流電源を用いたRC回路の各電圧・電流を求められる.
6週 直流電源でのRL回路の過渡現象 直流電源を用いたRL回路の各電圧・電流を求められる.
7週 復習 これまでの内容の確認をし,試験に備える.
8週 後期中間試験 後期1週~7週までの範囲の試験問題を解く.
4thQ
9週 解答・解説 後期中間試験の答案を返却後,復習を行う.
10週 過渡現象と1階線形微分方程式(2) 外力が正弦波の場合の1階線形微分方程式を解くことができる.
11週 正弦波交流電源を用いた過渡現象 正弦波交流電源を用いたRC・RL回路の各電圧・電流を求められる.
12週 2階線形微分方程式の解法 2階の線形微分方程式の解を求める方法を理解できる.
13週 RLC回路の過渡現象 直流電源を用いたRLC回路の各電圧・電流の過渡応答を理解できる.
14週 復習 これまでの内容の確認をし,試験に備える.
15週 学年末試験 後期10週~15週までの範囲の試験問題を解く.
16週 解答・解説 学年末試験の答案を返却後,復習を行う.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。3
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。3
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。3
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。3
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。3前1,前2
理想変成器を説明できる。3前2
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3後4,後5,後6,後10,後11
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。3後12,後13,後14
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。3前3
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3
節点電位法を用いて回路の計算ができる。3
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。3前5,前6
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。3前10,前11,前12
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。3前10,前11,前12

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力60060
専門的能力202040
分野横断的能力000