計測工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 計測工学Ⅰ
科目番号 0052 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 計測工学 前田良昭、木村一郎、押田至啓 共著, コロナ社
担当教員 西田 茂生

到達目標

1.計測、測定に関する定義と考え方を理解し、計測システムとしての構成を考えることができる。また、単位の基本的な考え方と定義を理解するとともに、次元解析ができる。
2.誤差と精度の定義とその表示方法、および誤差の原因とその対処方法を理解する。また、測定値の統計的性質の理解し、統計的処理ができるとともに、誤差の伝播法則と誤差等分の原理の理解と間接測定における誤差の解析をおこなうことができる。
3.有効数字の意味と各演算法を理解し、有効数字の限定を行うことができる。また、グラフによる測定結果の有効な整理を行うことができ、最小二乗法による回帰分析を行うことができる。
4.計測システムの静特性、動特性の定義とその意味の理解し、最適な計測機器を選定することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
計測、測定に関する定義と考え方、計測システム計測、測定に関する定義と考え方を十分理解し、計測システムの構築に応用することができる。計測、測定に関する定義と考え方を理解し、計測システムとしての考え方ができる。計測、測定に関する定義と考え方が理解できない。
単位の基本的な考え方と定義単位の基本的な考え方と定義を十分理解し、実用的な次元解析を行うことができる。単位の基本的な考え方と定義、次元解析を理解することができる。単位の基本的な考え方と定義を理解することができない。。
誤差と精度誤差と精度および測定値の統計的な処理を十分理解し、実用的な誤差解析を行うことができる。誤差と精度および測定値の統計的な処理と誤差解析を理解することができる。誤差と精度および測定値の統計的な処理と誤差解析を理解することができない。
測定値の処理有効数字の限定を行うことができる。また、グラフによる測定結果の有効な整理を行うことができ、最小二乗法による回帰分析を行うことができる。有効数字の限定、グラフによる測定結果の有効な整理、最小二乗法による回帰分析を理解することができる。測定値の処理方法について理解することができない。
計測システムに特性計測システムの静特性および動特性の意味を理解し,説明できる.計測システムの静特性および動特性の意味を理解している.計測システムの静特性および動特性の意味を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
計測を情報の検出と処理を行うシステムとの観点からとらえ、情報をどのように検出、認識し、解析処理し、さらに、これを有効に利用するかということを中心にして、計測工学、計測システムの知識を習得する。
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である。講義項目ごとに理解を深めるための課題を課すとともに演習問題に取り組み,各自の理解度を確認する。また、定期試験返却時に解説を行い、理解が不十分な点を解消する。
注意点:
関連科目
  確率、確率密度関数、分布関数等の概念と平均、分散等の統計的な処理、および微積分を利用する。また、各種物理現象、定理との関連により計測、測定を学習する。
学習指針
  計測・制御システムの例は身近なところにも多く存在しているので、それらがどのようなシステムで構成されており、また、どのような考え方を基にして処理を行っているのか、計測工学の観点から見る
  ことにより、学習内容を理解すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 計測の定義、意義 計測、測定に関する定義と基本となる考え方を理解し、計測工学の工学各分野における必要性と意義を認識することができる。
2週 計測の目的と計画 計測を行うにあたってのシステムとしての計画とその実施方法を理解し、実際のシステムについて述べることができる。
3週 単位と標準および国際単位系(SI) 単位と標準の基本的な考え方およびSIを理解し、適切な単位構築を行うことができる。
4週 次元解析 次元の考え方を理解し、物理現象の次元解析を行うことができる。
5週 直接測定と間接測定、絶対測定と比較測定 測定の一般的な手続き、手法である直接測定と間接測定、絶対測定と比較測定を理解し、実際のシステムについて述べることができる。
6週 偏位法と零位法
補償法と置換法
測定の基本的手法である偏位法と零位法および補償法と置換法のそれぞれの特徴を理解し、実際のシステムについて述べることができる。
7週 前期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
2ndQ
9週 誤差の原因① 系統的誤差1 測定誤差の定義と、原因として測定量、測定方法に起因する誤差について理解し、実際のシステムについて述べることができる。
10週 誤差の原因② 系統的誤差2および人為誤差と偶然誤差 測定器および測定技術に起因する系統誤差と、測定者が原因となる誤差および偶発的に生じる誤差について理解し、実際のシステムについて述べることができる。
11週 測定値の統計的意味 偶然誤差による測定値のばらつきの統計的な意味をりかいし、その取り扱いができる。
12週 測定精度の意味とその表示 測定精度の定義とその意味、および表示方法をりかいし、適切に制度を表示できる。
13週 間接測定の誤差と誤差の伝播法則 間接測定における誤差の考え方と伝播法則を理解し、間接測定の誤差を求めることができる。
14週 間接測定における誤差の最大限度 間接測定システム誤差の最大限度の推定と誤差等分の原理を理解し、誤差の限度を求めることができる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 有効数字とその限定 有効数字の基本的な考え方と意味を理解し、間接測定における加減乗除演算結果の有効数字の限定を行うことができる。
2週 グラフによる測定結果の整理 測定結果のグラフによる整理の方法と表示結果の意味を理解し、測定結果を適切にグラフ化できる。
3週 統計図による測定結果の整理 各種統計図を用いた測定結果の表示方法とその意味を理解し、各種統計図を用いたデータ処理ができる。
4週 各種確率紙による測定結果の整理 各種確率紙(特に正規確率紙)の意味、および確率紙を用いた測定結果の整理方法と表示結果の意味を理解し、確率紙を用いたデータ処理ができる。
5週 最小二乗法による回帰分析① 回帰直線 最小二乗法の考え方、方法と回帰直線の求め方を理解し、回帰直線を求めることができる。
6週 最小二乗法による回帰分析② 回帰曲線 最小二乗法による各種回帰曲線の求め方を理解し、回帰曲線の式を求めることができる。
7週 後期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
4thQ
9週 計測システムの基本構成 計測システムの基本的な構成と信号の流れとしてのとらえ方を理解し、計測システムを信号の流れの観点から説明することができる。
10週 アナログ信号とディジタル信号 信号の基本であるアナログ信号とディジタル信号の特徴と取り扱いを理解し、実際のシステムについて述べることができる。
11週 信号の表示と記録、記憶 計測システムと人とのインターフェースである表示方法および記録、記憶方法を理解し、実際のシステムについて述べることができる。
12週 計測システムの特性 静特性 計測システムの静特性の表し方とその意味を理解し、適切な測定機器を選定することができる。
13週 計測システムの特性 動特性 計測システムの動特性の表し方とその意味を理解し、適切な測定機器を選定することができる。
14週 システム解析 計測システムを構築する上でのシステムの解析方法を理解するとともに、身近な計測システムを解析することができる。
15週 学年末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御計測の定義と種類を説明できる。3前1,前2,前5,前6,前7,前15,後9
測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。3前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。3前3,前4,前7,前15
代表的な物理量の計測方法と計測機器を説明できる。3前2,前6

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他課題合計
総合評価割合700000030100
基礎的能力700000030100
専門的能力00000000
分野横断的能力00000000