計測工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 計測工学Ⅰ
科目番号 0055 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 計測工学 前田良昭、木村一郎、押田至啓 共著, コロナ社
担当教員 西田 茂生

到達目標

1.計測、測定に関する定義と考え方を理解し、計測システムとしての構成を考えることができる。また、単位の基本的な考え方と定義を理解するとともに、次元解析ができる
2.誤差と精度の定義とその表示方法、および誤差の原因とその対処方法を理解する。また、測定値の統計的性質の理解し、統計的処理ができるとともに、誤差の伝播法則と誤差等分の原理の理解と間接測定における誤差の解析をおこなうことができる
3.有効数字の意味と各演算法を理解し、有効数字の限定を行うことができる。また、グラフによる測定結果の有効な整理を行うことができ、最小二乗法による回帰分析を行うことができる
4.計測システムの静特性、動特性の定義とその意味の理解し、最適な計測機器を選定することができる
5.フーリエ変換についてその意味と理解し、説明できる
6.標本化と量子化について理解し、説明できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
計測、測定に関する定義と考え方、計測システム計測、測定に関する定義と考え方を十分理解し、計測システムの構築に応用することができる計測、測定に関する定義と考え方を理解し、計測システムとしての考え方ができる計測、測定に関する定義と考え方が理解できない
単位の基本的な考え方と定義単位の基本的な考え方と定義を十分理解し、実用的な次元解析を行うことができる単位の基本的な考え方と定義、次元解析を理解することができる単位の基本的な考え方と定義を理解することができない
誤差と精度誤差と精度および測定値の統計的な処理を十分理解し、実用的な誤差解析を行うことができる誤差と精度および測定値の統計的な処理と誤差解析を理解することができる誤差と精度および測定値の統計的な処理と誤差解析を理解することができない
測定値の処理有効数字の限定を行うことができる また、グラフによる測定結果の有効な整理を行うことができ、最小二乗法による回帰分析を行うことができる有効数字の限定、グラフによる測定結果の有効な整理、最小二乗法による回帰分析を理解することができる測定値の処理方法について理解することができない
計測システムの特性計測システムの静特性および動特性の意味を理解し、説明できる計測システムの静特性および動特性の意味を理解している計測システムの静特性および動特性の意味を理解していない
フーリエ変換計測システム解析に不可欠なフーリエ変換についてその意味を理解し、説明できる計測システム解析に不可欠なフーリエ変換についてその意味を理解できる計測システム解析に不可欠なフーリエ変換についてその意味を理解していない
標本化と量子化AD変換に必要な標本化と量子化について意味と手法を理解し、説明することができるAD変換に必要な標本化と量子化について意味と手法を理解できるAD変換に必要な標本化と量子化について意味と手法を理解していない

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
計測を情報の検出と処理を行うシステムとの観点からとらえ、情報をどのように検出、認識し、解析処理し、さらに、これを有効に利用するかということを中心にして、計測工学、計測システムの知識を習得する。
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である。講義項目ごとに理解を深めるための課題を課すとともに演習問題に取り組み,各自の理解度を確認する。また、定期試験返却時に解説を行い、理解が不十分な点を解消する。
注意点:
関連科目
  確率、確率密度関数、分布関数等の概念と平均、分散等の統計的な処理、および微積分を利用する。また、各種物理現象、定理との関連により計測、測定を学習する。
学習指針
  計測・制御システムの例は身近なところにも多く存在しているので、それらがどのようなシステムで構成されており、また、どのような考え方を基にして処理を行っているのか、計測工学の観点から見る
  ことにより、学習内容を理解すること。
事前学習:受講前に教科書の授業範囲を事前に読んでおくこと.また前回までの内容を復習しておくこと.
事後展開学習:その回の授業内容を復習し,ノート整理を行うこと.また,テキストの章末問題などで演習しておくこと.

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 計測の定義、意義 計測、測定に関する定義と基本となる考え方を理解し,計測工学の工学各分野における必要性と意義を認識することができる.また,計測を行うにあたってのシステムとしての計画とその実施方法を理解し,説明することができる.
2週 国際単位系(SI)の基本単位とその標準
組立単位,接頭語
単位と標準の基本的な考え方およびSIを理解し,適切な単位構築を行うことができる.
3週 次元解析
演習
次元の考え方を理解し,次元記号を用いた次元式を立てることができる.物理現象の次元解析を行うことができる.
4週 直接測定と間接測定、絶対測定と比較測定
偏位法と零位法、補償法と置換法
測定の一般的な手続き,手法である直接測定と間接測定,絶対測定と比較測定を理解し,実際のシステムについて述べることができる.また,測定の基本的手法である偏位法と零位法および補償法と置換法のそれぞれの特徴を理解し,実際のシステムについて述べることができる.
5週 誤差とその原因  測定誤差の定義と,測定量,測定方法に起因する誤差について理解し,実際のシステムについて述べることができる.
6週 系統的誤差および人為誤差と偶然誤差
測定器および測定技術に起因する系統誤差と,測定者が原因となる誤差および偶発的に生じる誤差について理解し,実際のシステムについて述べることができる.
7週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
8週 試験返却・解答
測定値の統計的意味
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
偶然誤差による測定値のばらつきの統計的な意味を理解し,その取り扱いができる.
2ndQ
9週 正規分布 偶然誤差が正規分布を示すことを理解し,正規分布を用いてさまざまな統計量を理解することができる.
10週 測定精度の意味とその表示 測定精度の定義とその意味,および表示方法を理解し,適切に精度を表示できる.
11週 間接測定の誤差と誤差の伝播法則
演習
間接測定における誤差の考え方と伝播法則を理解し,間接測定の誤差を求めることができる.
12週 間接測定における誤差の最大限度
演習
間接測定システム誤差の最大限度の推定と誤差等分の原理を理解し,誤差の限度を求めることができる.
13週 有効数字
演習
有効数字の基本的な考え方と意味を理解し,間接測定における加減乗除演算結果の有効数字の限定を行うことができる.
14週 グラフによる測定結果の整理
演習
測定結果のグラフによる整理の方法と表示結果の意味を理解し,測定結果を適切にグラフ化できる.
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
16週 試験返却・解答
最小二乗法
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
最小二乗法の考え方を理解する.
後期
3rdQ
1週 最小二乗法による回帰分析① 回帰直線・回帰曲線
演習
最小二乗法を用いた回帰直線と回帰曲線の求め方を理解し,それらを求めることができる.
2週 コンボリューション
スペクトラム
フーリエ変換で必要となるエッセンスをスライドによる講義で理解する.
3週 直交関数系と級数展開 直交関数系の種々の性質を理解して,それを使った級数展開のひとつがフーリエ級数であることを理解する.
4週 フーリエ級数とその諸性質 周期関数をフーリエ級数で表すことの意義を理解し,説明することができる.
5週 複素フーリエ級数からフーリエ変換へ 非周期関数の周波数スペクトラムを求めるためのツールとしてのフーリエ変換を理解し,それを説明することができる.
6週 演習 様々な周期関数のフーリエ級数を求めることができる.
7週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
8週 試験返却・解答
フーリエ変換とその諸性質
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
非周期関数の周波数スペクトラムを求めるためのツールとしてのフーリエ変換を理解し,それを説明することができる.
4thQ
9週 特殊関数のフーリエ変換 δ関数を用いて,定数や三角関数のフーリエ変換を求めることができる.
10週 計測システムの特性① 静特性 計測システムの静特性の表し方とその意味を理解し,適切な測定機器を選定することができる.
11週 計測システムの特性② 動特性
過渡応答と周波数応答
計測システムの動特性の表し方として,過渡応答のインパルス応答とステップ応答,定常応答の周波数応答の意味を理解する.
12週 アナログ信号とディジタル信号
計測システムの基本構成
信号の基本であるアナログ信号とディジタル信号の特徴と取り扱いを理解し,それを説明することができる.
計測システムの基本的な構成と信号の流れとしてのとらえ方を理解し,計測システムを信号の流れの観点から説明することができる.
13週 標本化 標本化を理解し,標本化定理とアンダーサンプリングにおけるエイリアシングを理解する.
14週 量子化 量子化を理解し,量子化手法とそれに起因する量子化誤差を導くことができる.また,量子化手法によりSN比か異なることを理解する.
15週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御計測の定義と種類を説明できる。3前1,前2,前5,前6,前7,前15,後9
測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。3前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。3前3,前4,前7,前15
代表的な物理量の計測方法と計測機器を説明できる。3前2,前6

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他課題合計
総合評価割合700000030100
基礎的能力700000030100
専門的能力00000000
分野横断的能力00000000