材料力学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 材料力学
科目番号 0067 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「やさしく学べる材料力学(第3版)」,伊藤勝悦著,森北出版
担当教員 太田 孝雄

到達目標

1.材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)の理解し単純な荷重(引張力,圧縮力,せん断力の他に物体力や熱応力を含む)作用形態(不静定問題も含む)において部材に生じる応力とひずみを求めることができる。
2.丸棒のねじり現象の理論的取扱いができ,はりに作用するせん断力と曲げモーメントを求めることができ,さらに,せん断力図と曲げモーメント図を描くことができる。
3.はりの危険断面と曲げ応力を求めることができ, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出ができ,さらに, 静定はりのたわみ曲線を求めることができる。
4.長柱の各種支持方法毎の座屈荷重に関する理論式を求めることができる。また,座屈に関する実験式を使って座屈加重や座屈応力を計算できる。さらに, 平面応力状態におけるモールの応力円を作図でき,2次元応力場での応力とひずみを求めることができる。なおまた, 材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギを求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)の理解し単純な荷重(引張力,圧縮力,せん断力の他に物体力や熱応力を含む)作用形態(不静定問題も含む)において部材に生じる応力とひずみを求めることができる。材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)の理解し単純な荷重(引張力,圧縮力,せん断力)作用形態(不静定問題も含む)において部材に生じる応力とひずみを求めることができる。材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)は理解できるが,部材に生じる応力とひずみは求めることができない。
評価項目2丸棒のねじり現象の理論的取扱いができ,はりに作用するせん断力と曲げモーメントを求めることができる。さらに,せん断力図と曲げモーメント図を描くこともできる。丸棒のねじり現象の理論的取扱いができるものの,はりに作用するせん断力と曲げモーメントや,せん断力図と曲げモーメント図を描くことは部分的にしかできない。丸棒のねじり現象の理論的取扱いができるものの,はりに作用するせん断力と曲げモーメントや,せん断力図と曲げモーメント図を描くことは全くできない。
評価項目3はりの危険断面と曲げ応力を求めることができ, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出ができる。さらに, 静定はりのたわみ曲線を求めることができる。また,特定の場所のたわみ角やたわみ量も求めることができる。はりの危険断面と曲げ応力を求めることができるが, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出ができない。静定はりのたわみ曲線を求めることや,特定の場所のたわみ角やたわみ量も求めることは部分的にしかできない。はりの危険断面と曲げ応力を求めることができないし, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出もできない。さらに,静定はりのたわみ曲線を求めることや,特定の場所のたわみ角やたわみ量も求めることもできない。
評価項目4長柱の各種支持方法毎の座屈荷重に関する理論式を求めることができる。また,座屈に関する実験式を使って座屈加重や座屈応力を計算できる。さらに,平面応力状態におけるモールの応力円を作図でき,2次元応力場での応力とひずみを求めることができる。なおまた,材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギを求めることができる。長柱の座屈荷重に関する理論式は特定の支持法については求めることができる。また,座屈に関する実験式を使って座屈加重や座屈応力を計算できる。さらに,平面応力状態におけるモールの応力円の作図と2次元応力場での応力とひずみを求めることは,部分的にできる。材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギも部分的には求めることができる。長柱の座屈荷重に関する理論式の導出ができない。また,座屈に関する実験式を使っての座屈加重や座屈応力の計算もできない。さらに,平面応力状態におけるモールの応力円の作図と2次元応力場での応力とひずみを求めることや,材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギも求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-1) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-2 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
材料力学は部材に外力が作用したときの部材の変形挙動を扱い,構造物や装置製作において,力学の観点から非常に重要で有益な学問であり,重要な基礎工学の一つである。本講義では,装置・構造物等の強度設計に応用・展開できる材料力学の基礎能力を身につける。
授業の進め方・方法:
金属材料を主とする部材(丸棒や角材などの極単純な形状)に外力(引張・圧縮力,せん断力,ねじりモーメント,曲げモーメント等)が作用したときの部材の変形挙動を,実際の事象と関連づけて解説し,理解できているかを確認する。予習(理解不足の数学を確認しておく)・復習(解答を見ないで演習問題を解いてみる)を必ず実行することが望ましい。
事前学習:あらかじめ授業計画に記載されている事項について教科書の該当する部分を読み、理解できるところと理解できないところを明らかにしておくこと。
事後展開学習:授業中に解説された演習問題や,適宜配布される演習問題を自分で解いて指定された期日までに提出する。
注意点:
関連科目
物理,数学,応用物理,応用数学,工業数学などとの関連が深い
学習指針
数学的な取り扱いが多いが,各自のさまざまな経験や身近な体験を通して説明できるまで理解することが重要である。
自己学習
到達目標を達成するためには,授業以外にも教科書の例題や演習問題を何度も解いて理解を深めることが重要である。良くわかっていない数学を復習すること。

学修単位の履修上の注意

上記の事前学習や事後展開学習を自学自習として取り組むこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 材料力学の目的および基礎
応力・ひずみの定義,フックの法則
材料力学の学問分野としての位置付けと適用限界を説明できる。また,材料力学で扱う物理量でもっとも重要な応力・ひずみの定義と,材料力学の理論体系における基本法則であるフックの法則を説明できる。
2週 応力・ひずみ線図,許容応力と安全率
棒の単純引張・圧縮による応力,ひずみと変形
部材に加える力と変形量の関係を応力とひずみに置き換え,材料による特性を理解し,実際の部材の設計と関係が深い許容応力と安全率について説明できる。また,もっとも単純な外力の作用形態である単純引張力・圧縮力によって生じる応力とひずみ量並びに変形量を求めることができる。
3週 自重の影響や物体力による部材の変形と単純引張・圧縮に関する不静定問題 大型部材は部材自体の自重を無視できず,高速回転体には遠心力が働く。自重や遠心力等の物体力が作用する場合に部材に生じる応力と変形量を求めることができる。また,部材に生じる応力を力のつりあい式とモーメントのつりあい式だけからは解くことができない不静定問題での応力とひずみを求めることができる。
4週 熱応力による部材の変形 金属材料は温度変化によって体積変化を生じ,変形が拘束されると熱応力を生じる。熱応力による部材の変形問題を解くことができる。
5週 丸棒のねじり,不静定問題,円形断面以外の棒のねじりと動力伝動軸 丸棒のねじり現象とその理論を理解し,断面二次極モーメントを計算でき,不静定問題と円形以外の複雑断面形状棒のねじりの考え方を説明できる。また,動力伝動軸はねじり応力(せん断応力)を受けている。伝達動力とねじり応力の関係を説明でき,生じるせん断応力,ねじれ角を求めることができる。
6週 はり作用するせん断力と曲げモーメントとSFD・BMD 「はり」の定義とはりに作用するせん断力と曲げモーメントの考え方を説明できる。また,はりに作用するせん断力と曲げモーメントのそれぞれの大きさの分布図である「せん断力図 : SFD」と「曲げモーメント図 : BMD」の描くことができる。
7週 断面二次モーメントと断面係数 はりの曲げ問題で重要な断面二次モーメントと断面係数について,数学的な意味と物理的な意味を理解し,いろいろな断面形状について求めることができる。
8週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
2ndQ
9週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する
10週 曲げ応力と平等強さのはり 曲げ応力の求め方が説明できる。また,はりの曲げ応力が場所によって変化しない平等強さのはりの断面形状・寸法を求めることができる。
11週 はりのたわみ曲線の求め方 たわみ曲線を求める基礎式が導出でき,静定はりのたわみ曲線を求めることができる。
12週 長柱のオイラーの座屈荷重,座屈応力を求めることができる。 長柱の支え方とオイラーの座屈荷重と座屈応力を導出できる。
13週 平面応力状態のモールの応力円 平面応力状態におけるモールの応力円を描くことができ,主応力や主方向を求めることができる。
14週 弾性ひずみエネルギ 部材に蓄えられる弾性ひずみエネルギや衝撃荷重を求めることができる。
15週 既知の並意味末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4前1
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4前1
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4前1
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。4前1
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。4前1
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。4前1
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。4
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。4
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。4
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。4
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。4
仕事の意味を理解し、計算できる。4
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。4
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4前14
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4前1,前14
動力の意味を理解し、計算できる。4前5
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。4
運動量および運動量保存の法則を説明できる。4
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。4
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。4
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4前1
応力とひずみを説明できる。4前1
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4前2
許容応力と安全率を説明できる。4前2,前3
両端固定棒や組合せ棒などの不静定問題について、応力を計算できる。4前3
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。4前4
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。4前3
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。4前5
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。4前5
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。4前5
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。4前6
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。4前6
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。4前3,前6
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。4前7,前10
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。4前7,前10
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。4前7,前10,前11
多軸応力の意味を説明できる。4前13
二軸応力について、任意の斜面上に作用する応力、主応力と主せん断応力をモールの応力円を用いて計算できる。4前13
部材が引張や圧縮を受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。4前14
部材が曲げやねじりを受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。4前14
カスティリアノの定理を理解し、不静定はりの問題などに適用できる。4
材料機械材料に求められる性質を説明できる。4
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。4
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。4前2
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。4
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。4前2
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。4前2
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。4前2
塑性変形の起り方を説明できる。4
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。4

評価割合

試験課題その他合計
総合評価割合70300100
基礎的能力3015045
専門的能力3015045
分野横断的能力100010