材料力学演習

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 材料力学演習
科目番号 0074 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「やさしく学べる材料力学(第3版)」,伊藤勝悦著,森北出版
担当教員 太田 孝雄

到達目標

1.材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)の理解し単純な荷重(引張力,圧縮力,せん断力の他に物体力や熱応力を含む)作用形態(不静定問題も含む)において部材に生じる応力とひずみを求めることができる。
2.丸棒のねじり現象の理論的取扱いができ,はりに作用するせん断力と曲げモーメントを求めることができ,さらに,せん断力図と曲げモーメント図を描くことができる。
3.はりの危険断面と曲げ応力を求めることができ, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出ができ,さらに, 静定はりのたわみ曲線を求めることができる。
4.長柱の各種支持方法毎の座屈荷重に関する理論式を求めることができる。また,座屈に関する実験式を使って座屈加重や座屈応力を計算できる。さらに, 平面応力状態におけるモールの応力円を作図でき,2次元応力場での応力とひずみを求めることができる。なおまた, 材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギを求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)の理解し単純な荷重(引張力,圧縮力,せん断力の他に物体力や熱応力を含む)作用形態(不静定問題も含む)において部材に生じる応力とひずみを求めることができる。材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)の理解し単純な荷重(引張力,圧縮力,せん断力)作用形態(不静定問題も含む)において部材に生じる応力とひずみを求めることができる。材料力学で基礎となるフックの法則や材料の基本特性(応力-ひずみ線図)は理解できるが,部材に生じる応力とひずみは求めることができない。
評価項目2丸棒のねじり現象の理論的取扱いができ,はりに作用するせん断力と曲げモーメントを求めることができる。さらに,せん断力図と曲げモーメント図を描くこともできる。丸棒のねじり現象の理論的取扱いができるものの,はりに作用するせん断力と曲げモーメントや,せん断力図と曲げモーメント図を描くことは部分的にしかできない。丸棒のねじり現象の理論的取扱いができるものの,はりに作用するせん断力と曲げモーメントや,せん断力図と曲げモーメント図を描くことは全くできない。
評価項目3はりの危険断面と曲げ応力を求めることができ, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出ができる。さらに, 静定はりのたわみ曲線を求めることができる。また,特定の場所のたわみ角やたわみ量も求めることができる。はりの危険断面と曲げ応力を求めることができるが, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出ができない。静定はりのたわみ曲線を求めることや,特定の場所のたわみ角やたわみ量も求めることは部分的にしかできない。はりの危険断面と曲げ応力を求めることができないし, はりのたわみ曲線を求めるための基礎微分方程式の導出もできない。さらに,静定はりのたわみ曲線を求めることや,特定の場所のたわみ角やたわみ量も求めることもできない。
評価項目4長柱の各種支持方法毎の座屈荷重に関する理論式を求めることができる。また,座屈に関する実験式を使って座屈加重や座屈応力を計算できる。さらに,平面応力状態におけるモールの応力円を作図でき,2次元応力場での応力とひずみを求めることができる。なおまた,材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギを求めることができる。長柱の座屈荷重に関する理論式は特定の支持法については求めることができる。また,座屈に関する実験式を使って座屈加重や座屈応力を計算できる。さらに,平面応力状態におけるモールの応力円の作図と2次元応力場での応力とひずみを求めることは,部分的にできる。材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギも部分的には求めることができる。長柱の座屈荷重に関する理論式の導出ができない。また,座屈に関する実験式を使っての座屈加重や座屈応力の計算もできない。さらに,平面応力状態におけるモールの応力円の作図と2次元応力場での応力とひずみを求めることや,材料に蓄えられる弾性ひずみエネルギも求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-1) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-2 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
材料力学は部材に外力が作用したときの部材の変形挙動を扱い,構造物や装置製作において,力学の観点から非常に重要で有益な学問であり,重要な基礎工学の一つである。本講義では,装置・構造物等の強度設計に応用・展開できる材料力学の基礎能力を身につける。
※実務との関係
 この科目は企業でタンデム型圧延機の設計を担当していた教員が,その経験を生かして,各種機械装置の構成部材の強度設計法等について講義および演習形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
材料力学で配付する,数式展開を記述したプリントを配布するので,予習(理解不足の数学を確認しておく)・復習(解答を見ないで演習問題を解いてみる)を必ず実行することが望ましい。また,前期で学習する材料力学を復習する形で,演習問題を解く時間をつくり,確固とした知識を身に付けられるようにする。
 自己学習状況を定期的に点検するので,各自A4サイズのレポート用紙とそれを閉じ込める紙ファイルを各自用意しておくこと。
事前学習:受講前に配付プリントの授業に関連する章末問題を良く読んでおくこと。特に,数式展開が理解できるか確認しておくこと。
事後展開学習:配付プリントの授業に関連する章末問題に関連した問題を課題として設定するので,自分で解いて指定された期日までに提出する。
注意点:
関連科目
 材料力学の知識を踏まえて演習を行う。物理,数学,応用物理,応用数学,工業数学などとの関連が深い
学習指針
 数学的な取り扱いが多いが,各自のさまざまな経験や身近な体験を通して説明できるまで理解することが重要である。
自己学習
 到達目標を達成するためには,授業以外にも教科書の例題や演習問題を何度も解いて理解を深めることが重要である。良くわかっていない数学を復習すること。

学修単位の履修上の注意

教科書の演習問題や学力補充課題を自分で解いたかをレポートで確認し,自学自習の取り組みを成績評価に反映させる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 材自重の影響や物体力による部材の変形の解説と演習 自重や遠心力等の物体力が作用する場合に部材に生じる応力と変形量を求めることができる。
2週 材自重の影響や物体力によ単純引張・圧縮に関する不静定問題の解説と演習 また,部材に生じる応力を力のつりあい式とモーメントのつりあい式だけからは解くことができない不静定問題での応力とひずみを求めることができる。
3週 熱応力による部材の変形の解説と演習 温度変化によって体積変化を生じ,変形が拘束されると熱応力を生じる。熱応力による部材の変形問題を解くことができる。
4週 丸棒のねじりとねじりの不静定問題の解説と演習 丸棒のねじり現象とその理論を理解し,断面二次極モーメントを計算でき,不静定問題の考え方を説明できる。また,丸棒に生じるせん断応力,丸棒のねじれ角などを求めることができる。
5週 動力伝動軸のねじりの解説と演習 動力伝動軸はねじり応力(せん断応力)を受けている。伝達動力とねじり応力の関係を説明でき,生じるせん断応力,ねじれ角を求めることができる。
6週 はり作用するせん断力図(SFD)と曲げモーメント図(BMD)の解説と演習 はりに作用するせん断力と曲げモーメントのそれぞれの大きさの分布図である「せん断力図 : SFD」と「曲げモーメント図 : BMD」の描くことができる。
7週 曲げ応力と平等強さのはり いろいろな断面形状の断面二次モーメントと断面係数,はりの曲げ応力が場所によって変化しない平等強さのはりの断面形状・寸法などを求めることができる。
8週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
4thQ
9週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する
10週 はりのたわみ曲線に関する解説と演習 静定はりのたわみ曲線を求めることができる。
11週 平面応力状態のモールの応力円の解説と演習 平面応力状態におけるモールの応力円を描くことができ,主応力や主方向を求めることができる。
12週 薄肉円筒,薄肉球に関する解説と演習 内外圧を受ける薄肉円筒,薄肉球に生じる応力を求めることができる。
13週 弾性ひずみエネルギの解説と演習 部材に蓄えられる弾性ひずみエネルギを求めることができる。
14週 弾性ひずみエネルギが関係する問題の解説と演習 弾性ひずみエネルギが関係するバネのバネ定数,衝撃力による変形量を求めることができる。
15週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。4
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。4
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。4
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。4
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。4
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。4
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。4
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。4
仕事の意味を理解し、計算できる。4
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。4
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4
動力の意味を理解し、計算できる。4
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。4
運動量および運動量保存の法則を説明できる。4
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。4
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。3
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4
応力とひずみを説明できる。4
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4
許容応力と安全率を説明できる。4
両端固定棒や組合せ棒などの不静定問題について、応力を計算できる。4
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。4
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。4
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。4
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。4
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。4
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。4
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。4
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。4
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。4
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。4
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。4
多軸応力の意味を説明できる。4
二軸応力について、任意の斜面上に作用する応力、主応力と主せん断応力をモールの応力円を用いて計算できる。4
部材が引張や圧縮を受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。4
部材が曲げやねじりを受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。4
カスティリアノの定理を理解し、不静定はりの問題などに適用できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合40000600100
基礎的能力1000010020
専門的能力2000030050
分野横断的能力1000020030