流体力学演習

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 流体力学演習
科目番号 0075 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 流体力学で使用するのと同じ教科書を使用する
担当教員 中山 敏男

到達目標

1. 流体の構造と特徴を理解し,流体力学で用いる各種物理量を正しく使用することが出来る.静止流体中の圧力,壁面の及ぼす力,浮力などについて各種値を求めることが出来る.
2. 流線や流管など,流れの様子の表し方を理解し,正しく使用することができる.連続の式,Eulerの運動方程式を理解し,ベルヌーイの定理を用いて各種現象,問題を解くことが出来る.
3. 運動量の法則を理解し,噴流,ジェット推進,二次元流れなどに対して,同法則を適用し,物体に及ぼされる力を求めることができる.粘性流れを理解し,直円管内の流れ,圧力損失を求めることができる.
4. 拡大管,縮小管など管路網における代表的な損失を求めることができる.物体に作用する流体力を理解し,求めることが出来る.境界層流れを理解し,各種値を求めることができる.物体周りの流れを正しくイメージし,問題を解くことが出来る.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1流体の構造,特徴を理解し,流体力学で用いる各種物理量を正しく使用し,静止流体中の圧力,壁面に及ぼす力,浮力などについて,十分計算することができる.流体の構造,特徴を理解し,流体力学で用いる各種物理量を使用して,静止流体中の圧力,壁面に及ぼす力,浮力などについて,基本的な計算をすることができる.流体の構造,特徴を理解しておらず,流体力学で用いる各種物理量を使用した,静止流体中の圧力,壁面に及ぼす力,浮力などについて,求めることが出来ない.
評価項目2流線や流管など,流れの様子の表し方を理解し,連続の式,ベルヌーイの定理を用いて,様々な現象に関する問題を解くことができる.流線や流管など,流れの様子の表し方を理解し,連続の式,ベルヌーイの定理を用いて,基本的な現象に関する問題を解くことができる.流線や流管など,流れの様子の表し方を十分理解しておらず,連続の式,ベルヌーイの定理を用いて,基本的な現象に関する問題を解くことが出来ない.
評価項目3運動量の法則を理解し,噴流,ジェット推進,二次元流れなどの,様々な問題に対して,物体に及ぼされる力を求めることができる.運動量の法則を理解し,噴流,ジェット推進,二次元流れなどの,基本的な問題に対して,物体に及ぼされる力を求めることができる.運動量の法則を理解しておらず,噴流,ジェット推進,二次元流れなどの,基本的な問題に対して,物体に及ぼされる力を求めることができない.
評価項目4粘性の影響を理解し,円管内流れ,拡大管,縮小管などにおける損失を求めることができる.また,様々な形状の物体に作用する流体力を求めることができる.粘性の影響を理解し,円管内流れ,拡大管,縮小管などにおける損失を求めることができる.また,基本的な形状の物体に作用する流体力を求めることができる.粘性の影響を理解しておらず,円管内流れ,拡大管,縮小管などにおける損失を求めることができない.加えて,物体に作用する流体力を求めることができない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2b) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械工学や制御工学の分野においては,流体の性質,基本的な流れ状態,流路内の流れ,物体周りの流れと物体に働く力など,流れの特性を理解して設計や制御を行うことが必要である.本授業では前期に学んだ流体力学の知識を定着させるために,演習を中心に実施する.
授業の進め方・方法:
授業中に問題に取り組む演習が授業の中心となる.
注意点:
関連科目
3年次までの数学,物理の学習が基本となる.また材料力学,熱工学などとの関連が深い.流体力学と関連する.
学習指針
数学的な取扱が多いが,現象を具体的にイメージ出来ることが重要となる.
自己学習
到達目標を達成するために,演習に集中して取り組み,時間内に理解できなかった問題については十分復習を行うこと.

事前学習:受講前に教科書の授業範囲を事前に読んでおくこと
事後展開学習:課題を配布するので,自分で解き,次の授業時に提出する

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流体の物理的性質 圧力,密度,粘性とせん断応力等,流体力学で用いる各種物理量を正しく使用することが出来る.流体の性質である圧縮性,また表面張力について説明することが出来る.
2週 静止流体の力学(1) 静止流体中の圧力,パスカルの原理,絶対圧力とゲージ圧力,マノメータ等について理解し,各種値を求めることが出来る.また壁面に及ぼす流体の力を求めることができる.
3週 静止流体の力学(2) 浮力,浮揚体の安定性,相対的静止状態の流体(慣性力)について求めることができる.運動する容器内の流体の挙動を理解し,各種値を求めることができる.
4週 流体運動の基礎 流線と流管,一次元流れの連続の式,一次元流れの運動方程式について理解し,各種値を求めることが出来る.流れの回転と渦を理解し,各種値を求めることができる.
5週 ベルヌーイの定理と応用(1) 流体の位置エネルギーと運動エネルギーを理解し,説明することが出来る.ベルヌーイの式を用いて,各種値を求めることができる.
6週 ベルヌーイの定理と応用(2) ピトー管,ベンチュリ管,オリフィスの仕組みを理解し,流速,流量を求めることが出来る.
7週 中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することが出来る.
8週 運動量の法則と応用(1) 運動量の法則を理解し,説明することができる.
2ndQ
9週 運動量の法則と応用(2) 噴流が平板に及ぼす力を理解し,各種値を求めることができる.また,二次元流れへ運動量の法則を適用することができる.
10週 粘性流れ(1) 流れの相似則について理解し,説明することができる.層流と乱流の違いを理解し,それぞれについて説明することができる.
11週 粘性流れ(2) 円管内の流れと圧力損失を理解し,各種値を求めることができる.また一様流中に置かれた物体に作用する力について説明することができる.
12週 管路内の流れ(1) 円管内の層流の速度分布を理解し,各種値を求めることができる.また,管摩擦損失について理解し,各種値を求めることができる.
13週 管路内の流れ(2) 拡大管,縮小管における圧力損失を理解し,各種値を求めることができる.
14週 物体周りの流れ 境界層について理解し,説明することができる.円柱,球周り,翼周りの流れを理解し,各種値を求めることができる.
15週 期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することが出来る.
16週 試験返却・解説 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。4前1,後1
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4前1,後1
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。4前1,後1
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。4前2,後2
パスカルの原理を説明できる。4前2,後2
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。4前2,後2
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。4前2,後2
物体に作用する浮力を計算できる。4前3,後3
定常流と非定常流の違いを説明できる。4前4,後4
流線と流管の定義を説明できる。4前4,後4
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。4前4,後4
オイラーの運動方程式を説明できる。4前4,後5
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。4前5,前6,後5,後6,後11
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。4前8,前9,後8,後9
層流と乱流の違いを説明できる。4前10,後10
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4前10,後10
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。4前11,前12,前13,後11,後12
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。4前11,前12,前13,後11,後12
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。4前14,後14
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。4前14,後14
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。4前14,後14

評価割合

課題レポート質問への回答内容態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合603010000100
基礎的能力2010000030
専門的能力40201000070
分野横断的能力0000000