国語Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 国語Ⅰ
科目番号 0001 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 情報工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 『精選 国語総合』(現代文編・古典編)(明治書院)
担当教員 松井 真希子

到達目標

1. 高等学校1年生相当の漢字力や語彙力を身につけている。
2. 評論文について、筆者の意見を的確に把握し、正確に要約することができる。また、筆者の意見に対して、自身の意見を、根拠をもって表現することができる。
3. 小説について、登場人物の心情の変化を読み取ることができる。また、自身の経験にひきつけて感想を述べることができる。
4. 日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。
5. 文語の基本的なきまり、漢文訓読の基本的なきまりを身につけている。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1話し手の指示や意見を的確に聞き取り、正確にまとめることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、適切な声の大きさ、明瞭な発音で、述べたり読んだりすることができる。話し手の指示や意見を的確に聞き取ることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、述べたり音読したりすることができる。話し手の指示や意見を聞くことができない。 聞き手を意識せずに、自身の意見や与えられた文章を、声の大きさや発音に気を留めずに述べたり音読したりする。もしくは活動時に発言しない。
評価項目2書物や文献に対して、批判的に読解し、自身の意見を抱き、正確に表現することができる。書物や文献に対して、自身の意見を抱き、表現しようと工夫することができる。書物や文献に対して、自身の意見を表現することができない、もしくは文章表現として著しい誤りがある。
評価項目3初見の文章について、内容を理解しながらスムーズに音読することができる。初見の文章について、句としてのまとまりを意識しながら音読することができる。初見の文章について、単語ごとに細切れに音読する。
評価項目4言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を即座に調べ、習得することができる。 高校在学程度の語彙力(漢検3級~準2級程度)を有しており、適切に運用することができる。言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を自主的に調べることができる。 中学卒業程度の語彙力(漢検3級程度)を有しており、適切に運用することができる。言葉に関心がなく、初見の語であっても自主的に調べることがない。 小学卒業程度の語彙力(漢検5~4級程度)を有しており、高校在学程度の語彙を誤って運用することがある。
評価項目5日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。日本の伝統的な言語文化について、興味・関心を持つことができる。日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができない。
評価項目6文語の基本的なきまり、漢文訓読の基本的なきまりを身につけている。文語の基本的なきまり、漢文訓読の基本的なきまりについて、調べることができる。文語の基本的なきまり、漢文訓読の基本的なきまりについて、全く理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義では総合的な日本語運用能力の向上を目指す。日本語を「運用」するためには、まず良質な文章に触れて言葉を「知る」必要がある。その中で、相手からの情報を受け取る(読み取る・聞き取る)ために、理解力や共感力などを養っていく。そうして知った言葉を「使う」ために、作文や発表を通して自分の意見を発信する機会を設ける。このとき、自身の核となる意見が必要となる。本講義では様々な文章を通して言語能力を高めるとともに自分なりの意見や視点を身に付けることを目指す。
授業の進め方・方法:
高等学校第1学年に相当する学力を身につけるため、高等学校用の教科書を使用し、様々な意見に触れ、多角的な思考力を養っていく。また、自分の意見を口頭や文章によって表現する機会、クラスメイトとの検討や議論を通して自分の考えを深める機会をもつ。
週3時間のうち、2時間を現代文、1時間を古典(古文・漢文)の時間に当てる。
注意点:
関連科目
国語は、人文科学や社会科学系だけでなく、自然科学系科目を含む全ての科目の基礎でもある。
学習指針
講義中の解説を聞き、板書内容を写すだけではなく、自身の経験にひきつけながら主体的に文章を読み解いていくことが重要である。
自己学習
授業で指示された課題は確実にこなす必要があるが、それに加えて、新聞や書籍を積極的に読み、問題意識を持って物事を考えるよう習慣づける。
古典については毎時間、予習をすること。教科書の本文を写し、大事な注なども写しておく。そして、意味や訳のわからなかったところを授業で補い、ノートに記入するようにするとよい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 授業の目的や進め方を理解する。
図書館ガイダンス。
ノートの取り方を確認する。古典の表記について理解する。
2週 評論1-①
古文入門
山崎正和「水の東西」の全体を捉える。
「児のそら寝」を読み、古典の文体に親しむ。
3週 評論1-②
説話①
山崎正和「水の東西」を読み、文化の「東西」について考える。
「正直の徳」を読み、おもしろさを味わう。文学史の知識を身につける。
4週 小説1-①
説話②
芥川龍之介「羅生門」の構造を理解する。作者について知る。
「尼、地蔵を見奉ること」について、内容を読みとり、状況を理解する。
5週 小説1-②
随筆①
芥川龍之介「羅生門」を読み、主人公の状況、表現から読み取れる心情を考える。
「徒然草」の序段を読み、作者について理解する。八十九段を読む。
6週 小説1-③
随筆②
芥川龍之介「羅生門」を読み、登場人物の「論理」を考える。
八十九段について、内容を理解し、この話のおもしろさを味わう。
7週 前期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・評論2-①
試験返却・古典文法①
中間試験返却。西垣通「ネットとリアルのあいだ」の全体を捉える。
中間試験返却。古典文法の知識を身につける(品詞など)。
2ndQ
9週 評論2-②
古典文法②
西垣通「ネットとリアルのあいだ」を読み、「情報」について考える。
古典文法の知識を身につける(動詞の活用など)。
10週 評論2-③
古典文法③
西垣通「ネットとリアルのあいだ」を読み、意見を交換する。
古典文法の知識を身につける(形容詞・形容動詞の活用など)。
11週 詩-①
古典文法④
三好達治「甃のうへ」を読み、意見を交換する。
古典文法の知識を身につける(助動詞の活用など)。
12週 詩-②
漢文入門①
中原中也「サーカス」を読み、意見を交換する。
漢文訓読の基本的な知識を確認する。
13週 詩-③
漢文入門②
吉野弘「I was born」を読み、意見を交換する。
漢文の格言を読み、漢文の訓読に慣れる。
14週 詩-④
漢文入門③
授業で扱った詩のいずれかについて、鑑賞文を書く。
故事成語の由来を読み、おもしろさを理解する。
15週 前期末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 評論3-①
物語①
大澤真幸「自由の優越=困難」の表現上の特徴を理解する。
「竹取物語」の「かぐや姫の生ひ立ち」を読む.古典常識を身につける。
2週 評論3-②
物語③
大澤真幸「自由の優越=困難」を読んで、「自由」について考える。
「竹取物語」の「かぐや姫の生ひ立ち」について、内容を読み取る。
3週 小説3-③
漢詩①
筆者の主張を踏まえた上で、自身の意見を、表現に注意しながらまとめる。
「江南春」「春暁」を読み、漢詩の知識を身につける。
4週 小説3-①
漢詩①
太宰治「富岳百景」の構造を理解する。作者について知る。
「江南春」「春暁」を読み、漢詩の知識を身につける。
5週 小説3-②
漢詩②
太宰治「富岳百景」を読んで、主人公と周囲の人との関係を整理する。
「静夜思」「江雪」を読み、それぞれの詩に込められた思いを読みとる。
6週 小説3-③
漢詩③
太宰治「富岳百景」を読んで、主人公の富士に対する印象や批評を整理する。
「春望」を読み、時代背景から詩に込められた思いを読みとる。
7週 後期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・評論4-①
試験返却・歌物語①
中間試験返却。齋藤希史「漢文脈と近代日本」の筆者の主張を読み取る。
中間試験返却。「伊勢物語」の文学史的な知識を身につける。
4thQ
9週 評論4-②
歌物語②
齋藤希史「漢文脈と近代日本」を読んで、「漢文」の役割を考える。
「芥川」の章段を読み、内容を理解する。
10週 評論4-③
歌物語③
齋藤希史「漢文脈と近代日本」の要約と自身の意見をまとめる。
「芥川」の章段を読み、登場人物の心情を読みとる。
11週 小説4-①
歌物語④
志賀直哉「城の崎にて」の構造を理解する。作者について知る。
「東下り」の章段を読み、当時の旅や習慣について学ぶ。
12週 小説4-②
歌物語⑤
志賀直哉「城の崎にて」を読み、語り手の状況・心情を表現から読み取る。
「東下り」の章段を読み、和歌の技巧について学ぶ。
13週 小説4-③
歌物語⑥
志賀直哉「城の崎にて」を読み、語り手の「死」のとらえ方をまとめる。
「東下り」の章段を読み、当時の人々の生活を理解し、心情を読みとる。
14週 小説4-④
中国の思想
志賀直哉「城の崎にて」について意見交換し、感想文を書く。
『論語』を読み、孔子の思想について理解する。
15週 学年末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要約できる。3前10,後2,後3,後10,後13
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。3前3,前9,前10,後2,後3,後9,後10
文学的な文章(小説や随筆)に描かれた人物やものの見方を表現に即して読み取り、自分の意見を述べることができる。3前4,前5,前6,前11,前12,前13,前14,後5,後6,後11,後12,後13,後14
常用漢字の音訓を正しく使える。主な常用漢字が書ける。3前2,前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。3前3,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。3前14,後14
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。3前3,前9,後2,後3,後8,後9,後10,後11,後13
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。3前3,前9,後2,後3,後6,後8,後9,後10,後11,後13
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。3前10,前14,後2,後3,後10,後13
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。3前6,前10,後14
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。3前3,前6,前9,前10,前11,前12,前13,後1,後9,後14
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。3前2,前3,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,後1,後2,後3,後6,後8,後9,後12,後14
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12,前13,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合707001310100
基礎的能力77007728
専門的能力210006330
分野横断的能力420000042