国語Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 国語Ⅱ
科目番号 0015 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 情報工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 「現代文B改訂版」(第一学習社)「標準古典B 改訂版」(第一学習社)/「新国語便覧(新版三訂)」(第一学習社)、「常用漢字ダブルクリア」(尚文出版)、『古典にいざなう新古典文法』(本編・準拠問題集 ともに大修館書店)、その他プリント(教員作成)※ 国語辞典を一冊準備しておくこと(電子辞書でもよい)。
担当教員 武田 充啓

到達目標

1. 高等学校2年生相当の漢字力や語彙力を身につけている。
2. 小説について、登場人物の心情の変化を読み取ることができる。また、自身の経験にひきつけて感想を述べることができる。
3. 評論文について、筆者の意見を的確に把握し、正確に要約することができる。また、筆者の意見に対して、自身の意見を、根拠をもって表現することができる。
4. 日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。
5. 文語のきまり、漢文訓読のきまりを身につけている。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1話し手の指示や意見を的確に聞き取り、正確にまとめることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、適切な声の大きさ、明瞭な発音で、述べたり読んだりすることができる。 話し手の指示や意見を的確に聞き取ることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、述べたり音読したりすることができる。 話し手の指示や意見を聞くことができない。 聞き手を意識せずに、自身の意見や与えられた文章を、声の大きさや発音に気を留めずに述べたり音読したりする。もしくは活動時に発言しない。
評価項目2書物や文献に対して、批判的に読解し、自身の意見を抱き、正確に表現することができる。書物や文献に対して、自身の意見を抱き、表現しようと工夫することができる。書物や文献に対して、自身の意見を表現することができない、もしくは文章表現として著しい誤りがある。
評価項目3初見の文章について、内容を理解しながらスムーズに音読することができる。初見の文章について、句としてのまとまりを意識しながら音読することができる。初見の文章について、単語ごとに細切れに音読する。
評価項目4言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を即座に調べ、習得することができる。 高校卒業程度の語彙力(漢検準2級~2級程度)を有しており、適切に運用することができる。 言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を自主的に調べることができる。 高校在学程度の語彙力(漢検準2級程度)を有しており、適切に運用することができる。 言葉に関心がなく、初見の語であっても自主的に調べることがない。 中学校卒業程度の語彙力(漢検3級程度)を有しており、高校在学程度の語彙を誤って運用することがある。
評価項目5日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。日本の伝統的な言語文化について、興味・関心を持つことができる。日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ったり、その価値に気づくことができない。
評価項目6文語のきまり、漢文訓読のきまりを身につけている。文語のきまり、漢文訓読のきまりについて、調べることができる。文語のきまり、漢文訓読のきまりについて、全く理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
他者との相互理解や相互伝達を円滑なものにするために、理解力や表現力とそれらを支える思考力や感性を培う。また、言語文化への理解を深め、多様な価値観を知ることを通して、豊かな人間性を育む。
授業の進め方・方法:
高等学校第2学年に相当する国語の力を身につけるため、高等学校用の教科書を使用し、様々な
文章を読み、多様な考えに触れる。自分が感じたり、考えたりしたことを口頭や文章によって表現
する機会、クラスメイトの意見や考えに触れ、検討や議論を通して自分の考えを深める機会をもつ。
週3時間のうち、2時間を現代文、1時間を古典(古文・漢文)の時間に当てる。
注意点:
関連科目
国語の運用能力は、人文や社会科学系の科目ばかりでなく、自然科学系の科目の基礎にもなる。
学習指針
授業中は発問を多くするので、積極的な発言や質問ができるよう準備しておくこと。
また、作文や創作の時間を有効に使えるように、日頃から問題意識を持って自分や自分の身の回りの世界に目を向けておくこと。2週間に1回、漢字テストをする。
自己学習
授業前に教科書の下読み、知らない言葉の下調べは必ず行うこと。プリント課題にも必ず取り組んでおくこと。
古典については毎時間、予習をすること。教科書の本文を写し、大事な注なども写しておく。そして、意味や訳のわからなかったところを授業で補い、ノートに記入するようにするとよい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 現代文 ガイダンス 小説(1) 中島敦「山月記」①
古典 ガイダンス 物語(1)  『竹取物語』「火鼠の皮衣」①
現代文 すぐれた短編小説の持つ緻密な構成や文体を読み味わう。
古典 昔話としてなじみのある作品を読み、古文に親しむ。
2週 現代文 小説(1) 同上②
古典 物語(1) 同上②
現代文 小説を自己の問題に引きつけながら読む姿勢を養う。
古典 話の構成や展開を把握し、登場人物の行動や心情を読み味わう。
3週 現代文 小説(1) 同上③
古典 物語(1) 同上③
現代文 主人公の性格や生き方を鏡として、自分の中にいるかもしれない「虎」について振り返り、思索を深める。
古典 助動詞について1年次の学習内容を復習する。
4週 現代文 評論(1) 森田良行「『私』中心の日本語」①
古典 物語(1) 『竹取物語』「かぐや姫の昇天」①
現代文 評論の基本的な読み方を習得する。
古典 文章の内容を構成や展開に即して的確に捉える。
5週 現代文 評論(1) 同上②
古典 物語(1) 同上②
現代文 筆者が指摘する日本語表現の特性を正しく読み取る。
古典 同上。話の構成や展開を把握し、登場人物の行動や心情を読み味わう。
6週 現代文 評論(1) 同上③
古典 物語(1) 同上③
現代文 日本人は自己を取り巻く周囲の人々をどのように捉えているのか、自分に引きつけて理解する。
古典 同上。調べたことを適切に文章にまとめたり発表したりする。
7週 前期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 前期中間試験返却・解説
現代文 小説(2) 米原万里「バグダッドの靴磨き」①
古典 漢文の基礎
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
現代文 まとまった分量のある小説を読解する。
古典 漢文に関する1年次の学習内容を復習する。
2ndQ
9週 現代文 小説(2) 同上②
古典 史伝(1) 『史記』「鴻門之会」①
現代文 作品の背景と登場人物の心理を理解する。
古典 漢楚の興亡についての概要を知る。
10週 現代文 小説(2) 同上③
古典 史伝(1) 同上②
現代文 場面の展開と、登場人物の心情について、正しく読み取る。
古典 話の展開を把握し、登場人物の行動や心情を読み取る。
11週 現代文 小説(2) 同上④
古典 史伝(1) 同上③
現代文 戦争に巻き込まれた子供の心情に迫り、自己の問題として考える。
古典 本文を訓点に従って正しく読み、書き下し文に改める。
12週 現代文 評論(2) 福岡伸一「動的平衡」①
古典 史伝(1) 『史記』「四面楚歌」①
現代文 評論の読み方に習熟する。
古典 『史記』の文学性と作者司馬遷についての概要を知る。
13週 現代文 評論(2) 同上②
古典 史伝(1)  同上②
現代文 「動的平衡」という概念を理解する。
古典 禁止・反語・仮定・疑問・抑揚・否定・感嘆などの句形の読みと意味とについて理解し、それに即して口語訳をする。
14週 現代文 評論(2) 同上③
古典 史伝(1) 同上③ 
現代文 バイオテクノロジーの利用とその問題について考えを深める。
古典 歴史の中の人間について考える。
15週 前期末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 前期末試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 現代文 小説(3) 太宰治「葉桜と魔笛」①
古典 物語(2) 『平家物語』「能登殿の最期」①
現代文 すぐれた短編小説の持つ緻密な構成や文体を読み味わう。
古典 軍記物語の構成や展開を把握し、登場人物の行動や心情を読み味わう。
2週 現代文 小説 (3) 同上②
古典 物語(2) 同上②
現代文 主人公の心理の変化を正確に読み取る。
古典 表現上の特色を理解し、優れた表現に親しむ。
3週 現代文 小説 (3) 同上③
古典 物語(2) 同上③
現代文 太宰治について、知識や関心を持つ。
古典 音便や挿入句といった、語り物の特色について理解する。
4週 現代文 評論(3) 木村敏「日本人の『自然』」①
古典 物語(3) 『義経記』「如意の渡りにて義経を弁慶打ち奉る事」①
現代文 評論の基本的な読み方を習得する。
古典 軍記物語の構成や展開を把握し、登場人物の行動や心情を読み味わう。
5週 現代文 評論(3) 同上②
古典 物語(3) 同上②
現代文 日本語の「自然」という言葉が示す心のあり方を正しく読み取る。
古典 中世の敬語や語彙に慣れ親しむ。
6週 現代文 評論(3) 同上③
古典 物語(3) 同上③
現代文 「西洋の自然」との比較を通じて、「日本の自然」に対する思索を深める。
古典 義経や忠信が他の文学作品や伝説にも登場することに興味を持つ。
7週 後期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 後期中間試験返却・解説
現代文 小説 (4) 夏目漱石「こころ」①
古典 漢詩 (1)  王維「鹿柴」
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
現代文 小説の読み方に習熟する。
古典 漢詩の描写に接し、うたわれているものを的確に捉える。
4thQ
9週 現代文 小説(4) 同上②
古典 漢詩(1)  蘇軾「春夜」
現代文 近代の代表的な小説を読むことによって、近代という時代や、時代と人間との関係について理解を深める。
古典 漢詩のきまり、特に近体詩の詩形・押韻・構成・対句について理解する。
10週 現代文 小説(4) 同上③
古典 漢詩 (1)  正岡子規「送夏目漱石之伊予」
現代文 小説に描かれた人間の心理をじっくり読み込む。
古典 本文を訓点に従って正しく読み、書き下し文に改める。
11週 現代文 小説(4) 同上④
古典 漢詩(1)  菅原道真「不出門」
現代文 主人公の心情を自分に引きつけて理解する。
古典 作者の心情を、そのときの作者の境遇と合わせて理解する。
12週 現代文 評論(4) 村上陽一郎「トランスサイエンスの時代」①
古典 説話(1)  六朝志怪「新死鬼」
現代文 評論の読み方に習熟する。
古典 長めの文章を読み、話の内容を理解する。
13週 現代文 評論 (4) 同上②
古典 説話(1) 同上②
現代文 「シナリオ」という考え方が、現実の問題に取り組む際に持つ有用性について理解する。
古典 話の展開を把握し、登場人物の行動や心情を読み味わう。
14週 現代文 評論 (4) 同上③
古典 説話(1) 同上③
現代文 「環境問題」に対する自分の立場を相対的に捉える。
古典 本文を訓点に従って正しく読み、書き下し文に改める。
15週 学年末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 学年末試験返却・
解説
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要約できる。2前4,前5,前6,前12,前13,前14,後4,後5,後6,後12,後13,後14
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。2前4,前5,前6,前12,前13,前14,後4,後5,後6,後12,後13,後14
文学的な文章(小説や随筆)に描かれた人物やものの見方を表現に即して読み取り、自分の意見を述べることができる。2前1,前2,前3,前8,前9,前10,前11,後1,後2,後3,後8,後9,後10,後11,後14
常用漢字の音訓を正しく使える。主な常用漢字が書ける。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後15,後16
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。2前3,前6,前11,前14,後3,後6,後11
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。2前7,前15,後7,後14,後15
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。2前7,前15,後7,後14,後15
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。2前3,前6,前11,前14,後3,後6,後10,後14
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。2前1,前4,前8,前12,後1,後4,後8,後12,後14
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。2前2,前5,前9,前13,後2,後5,後9,後13,後14
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。2前3,前6,前11,前14,後3,後6,後11,後14
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。2後3,後6,後11,後14
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。2前2,前5,前9,前13,後2,後5,後9,後13
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。2前3,前6,前11,前14,後3,後6,後11,後14
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。2前2,前5,前9,前13,後2,後5,後9,後13

評価割合

試験課題小テスト発表合計
総合評価割合65151010100
現代文能力46107770
古典能力1953330