物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 物理Ⅱ
科目番号 0019 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 情報工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 高専の物理(第5版, 森北出版)、高専の物理問題集(第3版, 森北出版)、フォトサイエンス物理図録(改訂版, 数研出版)、配布プリント
担当教員 新野 康彦

到達目標

1. 熱現象に関する基本公式を理解するとともに、熱の移動を伴う各種計算ができること。
2. 熱力学過程、熱力学第一、第二法則、剛体の釣り合いの問題、圧力の問題の基本公式の証明が理解でき、各種計算問題が解けること。
3. 波動の基本公式を用いた計算、グラフの読み取り、作図ができること。ホイヘンスの原理から反射、屈折、干渉の法則の証明やそれを用いた計算ができること。重ね合わせの原理から定常波が理解できること。
4. ドップラー効果の公式の証明ができ、問題が解けること。光波の分光、偏光が説明でき、干渉の計算ができること。電磁気の基礎(静電場)において、クーロン力、電場に関する証明ができ、ガウスの法則を用いた計算ができること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1理想気体の法則、熱力学の第一法則、比熱と熱量の関係、内部エネルギーの公式をその導出および関連まで理解し、さらに数値的な計算や数式的な計算を用いて応用する問題が解答できる。理想気体の法則、熱力学の第一法則、比熱と熱量の関係、内部エネルギーの公式の導出が理解できる。もしくは、公式を記憶し、数値的な計算に応用できる。理想気体の法則、熱力学第一法則、比熱と熱量の関係、内部エネルギーの公式の導出を理解できない。さらに公式を記憶し、数値的な計算もできない。
評価項目2熱力学の基本式から導出して熱力学過程の物理量の変化が計算できる。また熱力学の第二法則の複数の表現の等価性を証明できる。 力のモーメントの釣り合いを用いて、重心や剛体の釣り合いの問題を解くことができる。 圧力の式、浮力の式の導出を理解し応用できる。熱力学過程の物理量の変化が計算できる。また熱力学の第二法則について理解できる。 力のモーメントの公式を理解し、計算できる。 圧力の式、浮力の式の導出を理解できる。もしくは公式を記憶し、数値的な計算に応用できる。熱力学過程の物理量の変化が計算できない。また熱力学の第二法則について理解できない。 力のモーメントの公式を理解し、計算できない。 圧力の式、浮力の式の導出を理解できない。さらに公式を記憶し、数値的な計算に応用できない。
評価項目3波の基本式、正弦波の公式、干渉・反射・屈折の公式の導出を理解し、数値的な計算に応用できる。 縦波および横波のグラフの書き方または読み方が理解でき、波の状態を求めることができる。波の境界条件を理解して、反射波や定常波の作図ができる。ホイヘンスの原理から波の基本的な性質が導出でき、それを数値的な計算に応用できる。 音の基本を理解し、うなりの公式を導出できる。またはそれらを記憶し、数値的な計算に応用できる。波の基本式、正弦波の公式、干渉・反射・屈折の公式の導出が理解できる。もしくは、その公式を記憶し、数値的な計算に応用できる。 縦波および横波のグラフの書き方または読み方が理解でき、波の状態を求めることができる。波の境界条件を理解して、反射波や定常波の作図ができる。ホイヘンスの原理から波の基本的な性質が導出できる。または波の基本法則を記憶し、数値的な計算に応用できる。 音の基本を理解し、うなりの公式を導出できる。またはそれらを記憶し、数値的な計算に応用できる。波の基本式、正弦波の公式、干渉・反射・屈折の公式の導出が理解できない。さらにその公式を記憶し、数値的な計算に応用できない。 縦波および横波のグラフの書き方または読み方が理解できず、波の状態を求めることができない。波の境界条件を理解できず、反射波や定常波の作図ができない。ホイヘンスの原理から波の基本的な性質が導出できることが理解できない。さらに波の基本法則を記憶し、数値的な計算に応用できない。 音の基本を理解できず、うなりの公式を導出できない。またはそれらを記憶し、数値的な計算に応用できない。
評価項目4ドップラー効果の公式を導出し、応用できる。 スペクトルおよび偏光現象の利用法が説明できる。光の干渉について各種公式の導出ができ、さらに応用できる。 クーロン力、電場の公式を理解し、応用できる。ガウスの法則を積分形で理解し、応用することで、多様な帯電体の作る電場を求めることができる。ドップラー効果の公式を導出し、計算できる。 光波の基本的性質を理解し、スペクトルおよび偏光現象の説明ができる。光の干渉について各種公式の導出ができる。または公式を記憶し、数値的な計算に応用できる。 クーロン力、電場の公式を理解し、数値的な計算に応用できる。ガウスの法則を理解し、応用することで、電荷の作る電場を求めることができる。ドップラー効果の公式を導出できず、計算もできない。 光波の基本的性質を理解できず、スペクトルおよび偏光現象の説明ができない。光の干渉について各種公式の導出ができず、数値的な計算に応用もできない。 クーロン力、電場の公式を理解できず、数値的な計算に応用できない。 クーロン力、電場の公式を理解できず、数値的な計算に応用できない。ガウスの法則を理解できず、電荷の作る電場を求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
近現代において急激に進歩した技術は、我々の生活の隅々に入り込み個人の能力を飛躍的に増大してくれました。しかしその一方、それらの技術は「ブラックボックス化」し、その真の姿(原理)が見えにくくなっています。そのため、このような時代・世界において、特に技術者が責任ある行動や決断を行うためには、背景にある科学的原理を理解することによって、自分自身の理解力、洞察力を高めることが必要になっています。2年次の物理はあらゆる専門科目の基礎であると同時に、科学の基本的方法を学ぶことを目的としています。具体的には、
(1)自然の性質(実験事実)を数式によって理解すること:数理的理解
(2)物理学を理解することで自然界のいろいろな現象を統一的に理解できること:普遍性の理解
です。そのためには、科学の理解とは、単なる問題の解答を見つける能力と異なることを認識し、創発的思考や、自ら間違いを訂正する能力を訓練してもらいたいと思います。
授業の進め方・方法:
物理学では、「理解する」ということがどういうことが理解できないと困ります。適宜皆さんに発問しながら授業を進めますので、それらに答えられるように授業の内容を「理解」していくことが重要です。そのため、授業中のノートは短時間で取り、「よく聞いてよく考える」ことを要求します。また、授業があった日は必ず復習を欠かさないようにしてください。数式をより深く理解するために実験が設定されていますので、しっかりと準備をして集中して取り組んでください。
注意点:
関連科目
物理I、数学は必修です。物理で学ぶ原理・法則はほとんどの工学系の専門科目で応用されていきます。
学習指針
進度に合わせ、教科書の問題や問題集を、参考書も参考にして自学・自習で解いておくこと。講義内容は予定であり、学生の理解度を考慮して多少の変更をする可能性があります。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導入 授業方法、成績評価などの説明を理解できる。
2週 力学の復習 力の種類など力学の考え方を理解できる。
3週 温度と熱 絶対温度の定義と熱の正体が説明できる。
4週 気体法則と状態方程式 気体法則の公式の説明とそれを使った計算ができる。
5週 熱と仕事 熱と仕事の関係の公式の説明とそれを使った計算ができる。
6週 熱容量と比熱 熱容量と比熱の定義の説明とそれらを使った計算ができる。
7週 気体分子運動論 気体分子運動論の原理を理解し、それを使った計算ができる。
8週 前期中間試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消できる。
2ndQ
9週 実験 比熱の実験を行い、実験結果をレポートにまとめ提出できる。
10週 熱力学過程① 断熱、定積、定圧、等温の各過程の物理量を計算できる。
11週 熱力学過程② 熱力学第一、第二法則を理解し、それを使った計算ができる。
12週 剛体の力学① 力のモーメントの公式の説明とそれを使った計算ができる。
13週 剛体の力学② 剛体の釣り合いの原理を理解し、それを使った計算ができる。
14週 流体の力学① 圧力に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
15週 流体の力学② 浮力に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる、
16週 前期末試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消できる。
後期
3rdQ
1週 波動現象の基礎① 直線上の波の考え方を理解し、波の基本公式を使った計算ができる。
2週 波動現象の基礎② 縦波と横波について理解でき、グラフの読み取りができる。
3週 波動と数式 正弦波の公式の原理が理解でき、グラフの読み取りや計算ができる。
4週 定常波 定常波の原理が理解でき、作図および関連する計算ができる。
5週 空間に広がる波① 回折、干渉、反射の原理と証明を理解し、公式を用いた計算ができる。
6週 空間に広がる波② 屈折の原理と証明を理解し、公式を用いた計算ができる。
7週 音波 音波の基本とうなりについて理解し、その計算ができる。
8週 後期中間試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消できる。
4thQ
9週 実験 気柱共鳴の実験を行い、その実験結果をレポートにまとめ、提出できる。
10週 ドップラー効果 ドップラー効果について理解し、それを使った計算ができる。
11週 光波① 光波の基本と回折・反射や偏光・分散(分光)について理解できる。
12週 実験 ガラスの屈折の実験を行い、その実験結果をレポートにまとめ、提出できる。
13週 光波② 光の干渉について理解し、それを使った計算ができる。
14週 電磁気学の基礎 クーロンの法則や静電場の原理について理解し、それらを使った計算ができる。
15週 ガウスの法則 ガウスの法則の原理を理解し、応用した計算ができる。
16週 学年末試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前2,前14,前15
力のモーメントを求めることができる。3前12
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前13
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前6
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前6
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前5
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前4
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前11
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前10,前11
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前11
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前11
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前11
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3後1
横波と縦波の違いについて説明できる。3後2
波の重ね合わせの原理について説明できる。3後3
波の独立性について説明できる。3後3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3後3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3後4
ホイヘンスの原理について説明できる。3後5,後6
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3後5,後6
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3後7
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3後7
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3後7
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3後10
自然光と偏光の違いについて説明できる。3後11
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3後11
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3後11
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3後14
電場・電位について説明できる。3後14,後15
クーロンの法則が説明できる。3後14,後15
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3後14
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前9,後9,後12
安全を確保して、実験を行うことができる。3前9,後9,後12
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前9,後9,後12
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前9,後9,後12
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前9
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後9
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後12

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他課題レポートや実験レポート、プリント提出合計
総合評価割合1400000060200
基礎的能力700000030100
専門的能力42000001860
分野横断的能力28000001240