国語Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 国語Ⅱ
科目番号 0019 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 情報工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 「ちくま文学講読 上級編」(筑摩書房)、「高等学校 標準古典探究」(第一学習社)/「新国語便覧(新版六訂)」(第一学習社)、「常用漢字ダブルクリア」(尚文出版)、「論理力ワークノート」(第一学習社)、「完全マスター古典文法 準拠ノート(新版)」(第一学習社)
担当教員 藤井 隆輔,松井 真希子

到達目標

1. 高等学校2年生相当の漢字力や語彙力を身につけている。
2. 小説について、登場人物の心情の変化を読み取ることができる。また、自身の経験にひきつけて感想を述べることができる。
3. 評論文について、全体の構造を把握し、筆者の意見を的確に読み取ることができる。また、筆者の意見に対して、自身の意見を根拠をもって表現することができる。
4. 日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。
5. 文語のきまり、漢文訓読のきまりを身につけている。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1話し手の指示や意見を的確に聞き取り、正確にまとめることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、適切な声の大きさ、明瞭な発音で、述べたり読んだりすることができる。 話し手の指示や意見を的確に聞き取ることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、述べたり音読したりすることができる。 話し手の指示や意見を聞くことができない。 聞き手を意識せずに、自身の意見や与えられた文章を、声の大きさや発音に気を留めずに述べたり音読したりする。もしくは活動時に発言しない。
評価項目2書物や文献に対して、批判的に読解し、自身の意見を抱き、正確に表現することができる。書物や文献に対して、自身の意見を抱き、表現しようと工夫することができる。書物や文献に対して、自身の意見を表現することができない、もしくは文章表現として著しい誤りがある。
評価項目3初見の文章について、内容を理解しながらスムーズに音読することができる。初見の文章について、句としてのまとまりを意識しながら音読することができる。初見の文章について、単語ごとに細切れに音読する。
評価項目4言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を即座に調べ、習得することができる。 高校卒業程度の語彙力(漢検準2級~2級程度)を有しており、適切に運用することができる。 言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を自主的に調べることができる。 高校在学程度の語彙力(漢検準2級程度)を有しており、適切に運用することができる。 言葉に関心がなく、初見の語であっても自主的に調べることがない。 中学校卒業程度の語彙力(漢検3級程度)を有しており、高校在学程度の語彙を誤って運用することがある。
評価項目5日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。日本の伝統的な言語文化について、興味・関心を持つことができる。日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ったり、その価値に気づくことができない。
評価項目6文語のきまり、漢文訓読のきまりを身につけている。文語のきまり、漢文訓読のきまりについて、調べることができる。文語のきまり、漢文訓読のきまりについて、全く理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
他者との相互理解や相互伝達を円滑なものにするために、理解力や表現力とそれらを支える思考力や感性を培う。また、言語文化への理解を深め、多様な価値観を知ることを通して、豊かな人間性を育む。
授業の進め方・方法:
高等学校第2学年に相当する国語の力を身につけるため、高等学校用の教科書・準教科書を使用し、様々な文章を読み、多様な考えに触れる。自分が感じたり、考えたりしたことを口頭や文章によって表現する機会、クラスメイトの意見や考えに触れ、検討や議論を通して自分の考えを深める機会をもつ。通年の2時間を評論文・随想文・小説、半期の2時間を古典(古文・漢文)の時間に当てる。
注意点:
関連科目
国語の運用能力は、人文や社会科学系の科目ばかりでなく、自然科学系の科目の基礎にもなる。

学習指針
授業中は発問を多くするので、積極的な発言や質問ができるよう準備しておくこと。
また、作文や創作の時間を有効に使えるように、日頃から問題意識を持って自分や自分の身の回りの世界に目を向けておくこと。毎週現代文の時間の冒頭で小テストをする。

自己学習
授業前に教科書の下読み、新出漢字の練習、語句の下調べを、プリント課題を通して必ず取り組んでおくこと。予習・復習をして理解を深める工夫をすること。
古典については、適宜配付されるプリントを通じて、重要単語の意味を調べる等の予習をすること。意味や訳のわからなかったところを授業で補い、ノートに記入するようにするとよい。

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 現代文 ガイダンス・加藤幸子「ニワシドリの庭」①
現代文 具体例から筆者が考えたことをまとめることができる
2週 現代文 加藤幸子「ニワシドリの庭」②
現代文 筆者のいう「自然文化論」を踏まえて、自身の考えをまとめることができる。
3週 現代文 中島敦「山月記」①
現代文 李徴と袁傪の人柄について説明することができる。
4週 現代文 中島敦「山月記」②
現代文 李徴の心情の変化と自己分析について理解することができる。
5週 現代文 中島敦「山月記」③
現代文 李徴が虎になった背景について自分の意見を述べることができる。
6週 現代文 港千尋「知識の扉」①
現代文 読書における文字と身体の関係について、筆者の主張を読み取ることができる。
7週 現代文 港千尋「知識の扉」②
現代文 現代における情報と人間の関係について、自身の考えを述べることができる。
8週 前期中間試験
授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
2ndQ
9週 現代文 試験返却・宮澤賢治「永訣の朝」①
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
現代文 詩を通読し、自分なりの印象をまとめることができる。
10週 現代文 宮澤賢治「永訣の朝」②
現代文 詩の情景を読み解き、表現上の特徴について把握することができる。
11週 現代文 夏目漱石「こころ」①
現代文 「K」の告白を聞いたときの「私」の心情の推移を正確にたどることができる。
12週 現代文 夏目漱石「こころ」②
現代文 「K」の告白を聞いた後の「私」の態度と意図とを読み取ることができる。
13週 現代文 夏目漱石「こころ」③
現代文 「K」の「覚悟」という言葉に対して、「私」がどのように解釈・行動したかを読み取ることができる。
14週 現代文 夏目漱石「こころ」④
現代文 「K」の自殺に直面した「私」の動揺を、場面を整理しながら読み取ることができる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 現代文 ガイダンス・谷崎潤一郎「陰翳礼賛」①
古典 ガイダンス・漢文「助長」「推敲」①
現代文 本文における「漆器」と「陶器」の違いについて、対比させながら説明することができる。
古 典 否定の句法の働きを理解し、また寓話の教訓を理解することができる。
2週 現代文 谷崎潤一郎「陰翳礼賛」②
古典 漢文「助長」「推敲」②
現代文 「漆器」の「陰翳」を通して筆者が見出した文化についての主張をまとめることができる。
古 典 訓読の決まりや故事成語の由来について理解することができる。
3週 現代文 俳句①
古典 古文「文字の一つ返し」
現代文 俳句の決まりについて理解し、各句の表現の特徴や内容を鑑賞して、自身の考えを表現することができる。
古 典 係助詞の働きを理解し、成範が利かせた機転について説明することができる。
4週 現代文 俳句②
古典 古文「小式部内侍が大江山の事」
現代文 俳句について学習したことを踏まえて、自身で句を作り、発表することができる。
古 典 和歌の修辞を理解することができる。登場人物の心情を読み取ることができる。
5週 現代文 永井龍男「胡桃割り」①
古典 古文「安元の大火」①
現代文 「胡桃割り」と「僕」との関係について整理し、「僕」の成長について説明することができる。
古 典 地図や歴史史料を活用しながら、大火のおおよその範囲を読み取ることができる。
6週 現代文 永井龍男「胡桃割り」②
古典 古文「安元の大火」②
現代文 胡桃を割る音に託されているものについて、自身の考えを説明することができる。
古 典 表現の内容と特色を通じて、作者の持つ無常観について説明することができる。
7週 現代文 永井龍男「胡桃割り」③
古典 学力判定試験
現代文 作中の家族のあり方と現代のそれとを比較し、相違点や共通点についてまとめることができる。
古 典 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 後期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
4thQ
9週 現代文 試験返却・多和田葉子「エクソフォニー」①
古典 試験返却・古文「雪のいと高う降りたるを」
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
現代文 「母語」と「多言語社会」についての理解をもとに、本文の内容を読み深めることができる。
古 典 作者の機転について理解することができる。本文における日本文化と外国文化の関係について理解を深めることができる。
10週 現代文 多和田葉子「エクソフォニー」②
古典 漢文「売鬼」①
現代文 「多言語社会」において「多言語」に希望を持つ筆者の主張を読み取ることができる。
古 典 話の展開と構成について把握することができる。
11週 現代文 魯迅「藤野先生」①
古典 漢文「売鬼」②
現代文 作者や、作品の時代・社会状況を踏まえて作品を読み、自身の感想を持つことができる。
古 典 古代中国の幽霊観について、日本文化と比較しながら自分の意見を持つことができる。
12週 現代文 魯迅「藤野先生」②
古典 古文「通ひ路の関守」①
現代文 藤野先生の人物像について、作中の表現を手がかりにして、整理することができる。
古 典 古文単語の意味を調べつつ、本文の内容を正確に捉えることができる。
13週 現代文 魯迅「藤野先生」③
古典 古文「通ひ路の関守」②
現代文 作者にとって藤野先生がどのような存在だったかを、作品に基づいて説明することができる。
古 典 本文の内容を手がかりに、平安時代の人々の恋愛生活について理解を深めることができる
14週 現代文 魯迅「藤野先生」④
古典 学力判定試験
現代文 作中における「学ぶこと」「書くこと」の意義について、自分なりの意見を持つことができる。
古 典 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
15週 学年末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 学年末試験返却・解説 試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要約できる。2前1,前2,前6,前7,後1,後2,後9,後10
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。3前1,前2,前6,前7,後1,後2,後9,後10
文学的な文章(小説や随筆)に描かれた人物やものの見方を表現に即して読み取り、自分の意見を述べることができる。3前3,前4,前5,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後11,後12,後13,後14
常用漢字の音訓を正しく使える。主な常用漢字が書ける。1前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。3前2,前7,後3,後4,後10
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。3前2,前7,後2,後3,後11,後14
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。3前2,前7,後2,後11
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。3前1,前3,前4,前5,前11,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。3前2,前7,後1,後2,後3,後5,後6,後7,後14
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。3前3,前5,前9,前13,前14,後1,後5,後6,後7,後9,後11,後12,後13
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。3前1,前2,前3,前5,前6,前7,前10,前11,前13,前14,後1,後2,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後14
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。3後7
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。3前2,前9,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後4,後5,後6,後7,後10,後11,後12

評価割合

試験課題・提出物小テスト合計
総合評価割合702010100
現代文能力50101070
古典能力2010030