概要:
急激に進歩している近年の科学技術は、我々の生活の隅々に入り込む一方であらゆる装置の「ブラックボックス化」を招き、個人の無知やミス、悪意といったものによって社会に対して重大な悪影響を与える事が可能となっている。このような時代・世界において、特に技術者が責任ある行動や決断を行うためには、背景にある科学的原理を理解する事により、自分自身の理解力、洞察力を高める他に方法はない。
このような状況を受け、3年次の物理では、あらゆる専門科目の基礎となる事項を学ぶと同時に、科学の基本的方法(原理)を学ぶことを目的とする。具体的には、いわゆる「高校の物理」の内容を完結して「大学の物理」への入口を開き、また、科学の理解とは単なる問題の解答を見つける能力とは異なる事を認識し、創発的思考や論理的考察、自ら間違いを訂正する能力を訓練していきたい。
授業の進め方・方法:
応用物理Iは専門科目の基礎に当たるので、「理解する」ということがどういうことかを理解していくことが重要となる。授業中にこちらから質問を投げかけるので、それらに答えられるように授業の内容を「理解」していくこと。また、講義時間は限られたものであるので、各自演習問題を解くなどの復習を必ず行い、各週の講義の「理解」を確認すること。
注意点:
関連科目
物理Ⅰ、Ⅱ、数学は必修です。
学習指針
1、2年次の物理分野と数学分野の知識が必要となる。進度に合わせ、教科書の問題や問題集を参考書も参考にして自学・自習で解いておくこと。
講義内容は予定であり、学生の理解度を考慮して多少の変更をする可能性があります。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
導入 |
講義方法,成績評価などについて説明を理解する。
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2週 |
静電場と電位 |
電場,ガウスの法則,電位に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
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3週 |
電流と電圧 |
電流,電圧,抵抗,オームの法則に関わる公式の説明とそれらを使った計算ができる。
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4週 |
コンデンサー |
コンデンサーの公式の説明とそれを使った計算ができる。
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5週 |
同上 |
コンデンサーのエネルギーに関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
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6週 |
エネルギーと電力 |
ジュール熱と電力の公式の説明とそれを使った計算ができる。
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7週 |
磁場 |
磁石による磁場,電流の作る磁場に関わる公式の説明とそれらを使った計算ができる。
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8週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直して理解度を把握し改善できる。
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2ndQ |
9週 |
磁場 |
電流が磁場から受ける力,ローレンツ力に関わる公式の説明とそれらを使った計算ができる。
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10週 |
電磁誘導 |
電磁誘導に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
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11週 |
同上 |
電磁誘導の法則の応用に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
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12週 |
現代物理 |
光の粒子性,物質の波動性に関わる公式の説明とそれらを使った計算ができる。
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13週 |
同上 |
コンプトン散乱の公式の説明とそれを使った計算ができる。
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14週 |
同上 |
ボーアの原子模型の公式を理解し,その導出ができる。
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15週 |
同上 |
同上
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16週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直して理解度を把握し改善できる。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
現代物理 |
放射線と質量エネルギーに関わる公式の説明とそれらを使った計算ができる。
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2週 |
学生実験 |
放射線の実験を行い,レポートを提出する。
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3週 |
運動の法則 |
ニュートンの三法則の意味を理解できる。
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4週 |
重心 |
重心の定義を理解し,その導出ができる。
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5週 |
位置,速度,加速度 |
位置,速度,加速度に関わる公式の導出ができる。
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6週 |
落下運動 |
落体の運動,水平投射,斜方投射に関わる公式の導出ができる。
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7週 |
抵抗力を受ける運動 |
抵抗のある運動について解析できる。
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8週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直して理解度を把握し改善できる。
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4thQ |
9週 |
導体中の電子の運動 |
導体中の電子の運動からオームの法則を導出できる。
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10週 |
単振動 |
単振動の方程式と解析のための数学的な準備を行う。
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11週 |
同上 |
単振動の運動方程式を解くことができる。
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12週 |
減衰振動 |
減衰振動の運動方程式を立てることができる。
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13週 |
同上 |
運動方程式の解と運動の解析を行うことができる。
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14週 |
強制振動 |
強制振動の運動方程式を立て,解を求めることができる。
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15週 |
LCR回路 |
LCR回路を振動の運動方程式との対応から理解できる。
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16週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直して理解度を把握し改善できる。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 速度と加速度の概念を説明できる。 | 3 | 後5 |
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。 | 3 | 後5 |
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。 | 3 | 後5 |
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。 | 3 | 後5 |
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。 | 3 | 後5 |
鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | 後6 |
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | 後6 |
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | 後6 |
物体に作用する力を図示することができる。 | 3 | 後3 |
力の合成と分解をすることができる。 | 3 | 後3 |
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。 | 3 | 後6,後7 |
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。 | 3 | 後10 |
慣性の法則について説明できる。 | 3 | 後3 |
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。 | 3 | 後3 |
運動方程式を用いた計算ができる。 | 3 | 後3 |
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。 | 3 | 後6,後7,後11 |
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。 | 3 | 後10 |
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。 | 3 | 後11 |
重心に関する計算ができる。 | 3 | 後4 |
電気 | クーロンの法則を説明し、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。 | 3 | 前2 |
導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。 | 3 | 前2 |
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | 前3 |
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。 | 3 | 前3 |
ジュール熱や電力を求めることができる。 | 3 | 前6 |
物理実験 | 物理実験 | 測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。 | 3 | 後2 |
安全を確保して、実験を行うことができる。 | 3 | 後2 |
実験報告書を決められた形式で作成できる。 | 3 | 後2 |
有効数字を考慮して、データを集計することができる。 | 3 | 後2 |
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | 後2 |