情報数学Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 情報数学Ⅰ
科目番号 0030 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 石村 園子,やさしく学べる離散数学(共立出版),2007,2,100円
担当教員 内田 眞司,岡村 真吾

到達目標

前期中間試験:集合(基本性質,演算),命題論理(命題,演算,推論,証明)について理解する.
前期末試験:述語論理(命題関数,限量子),関係(2項関係,諸性質),写像について理解する.
後期中間試験:群、環、体、順序関係、束、ブール代数について理解する.
学年末試験:グラフの基礎,経路,いろいろなグラフ,平面的グラフ,オイラーグラフとハミルトングラフ,グラフの彩色,ネットワーク・フローについて理解する.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
集合,命題論理集合や命題論理について理解し,その具体例を説明できる.集合や命題論理について理解している.集合や命題論理について理解していない.
述語論理述語論理や関係について理解し,その具体例を説明できる.述語論理や関係について理解している.述語論理や関係について理解していない.
群、環、体群、環、体に関する定義や定理を理解し、実際に演算をすることができる。群、環、体に関する定義や定理を理解している。群、環、体に関する授業への取り組みができていない。
順序関係、束、ブール代数順序関係、束、ブール代数に関する定義や定理を理解し、実際に元の比較や演算をすることができる。順序関係、束、ブール代数に関する定義や定理を理解している。順序関係、束、ブール代数に関する授業への取り組みができていない。
グラフの基礎グラフに関する基本的な定義や定理を理解し,グラフと隣接行列や接続行列との相互変換ができる.グラフに関する基本的な定義や定理を理解している.グラフの基礎に関するに関する授業への取り組みができていない.
経路経路に関する定義や定理を理解し,与えられたグラフに対して,指定された長さの経路の本数の算出や非連結になる条件を求めることができる.経路に関する定義や定理を理解している.経路に関する授業への取り組みができていない.
いろいろなグラフ完全グラフ,正則グラフ,2部グラフ,木グラフに関する定義や定理を理解し,指定された条件を満たすグラフを描くことができる.完全グラフ,正則グラフ,2部グラフ,木グラフに関する定義や定理を理解している.完全グラフ,正則グラフ,2部グラフ,木グラフに関する授業への取り組みができていない.
平面的グラフ平面的グラフに関する定義や定理を理解し,指定された条件を満たす平面グラフを描くことができる.平面的グラフに関する定義や定理を理解している.平面的グラフに関する授業への取り組みができていない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
情報専門学科カリキュラム標準J07のコアカリキュラム:離散構造のDS1からDS4について,IT技術に必要な離散数学の
基礎知識の修得を目的とする.離散数学の中で,集合論,命題論理,証明,述語論理,関係と写像,代数系,順序関係,グラフ理論の各テーマについて講義する.
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である.講義項目ごとに演習問題に取り組み,各自の理解度を確認する.また,定期試験返却時
に解説を行い,理解が不十分な点を解消する.
注意点:
【参考書】
 「数学ガール フェルマーの最終定理」、結城浩 著、ソフトバンククリエイティブ
 「数学ガール ガロア理論」、結城浩 著、ソフトバンククリエイティブ
 「グラフ理論入門」、 R. J. Wilson 著、 西関隆夫、西関裕子 訳、近代科学社
【関連科目】
 情報工学概論,ディジタル回路,論理回路,情報数学II,計算理論
【学習指針】
 講義ノートを毎回きちんととるのは,以下の点で勉学の基本である.
 1)教えられたことを整理する,2)頭で記憶しきれないことをノートに記憶させる.
 講義中に随時,以前の講義内容を参照するので,ノートは毎回持参すること.
【自己学習】
 到達目標を達成するためには,授業以外にも教科書の例題や演習問題を解き理解を深める必要がある.関連する図書
 も参考にして自学・自習をすること.
【評価割合】
 下記に示す,前期成績と後期成績の単純平均とする.
 前期成績:定期試験成績(2回の単純平均80%),課題(ノート提出を含む20%)で評価する.
 後期成績:試験の成績(100%)で評価する.ただし,本科目への取り組み姿勢に問題がある場合(講義時間中に取り
      組むべき演習問題に取り組んでいない,課題が未提出,提出物の内容が不十分,など)は最大61%減点す
      ることがある.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・集合 ガイダンス,集合とは,集合の表記を理解する.
2週 集合 部分集合,真部分集合,べき集合,和集合,差集合,補集合を理解する.
3週 命題論理 命題,真理値,真理値表を理解する.
4週 命題論理 連言命題,選言命題,否定命題,排他的選言命題を理解する.
5週 命題論理 条件命題,複合命題を理解する.
6週 命題論理 逆,裏,対偶,対偶法を理解する.
7週 前期中間試験 授業内容を理解し試験問題に対して正しく解答することができる.
8週 前期中間試験解説 授業内容を理解し,理解が不十分な点を解消する.
2ndQ
9週 述語論理 述語論理を理解する.
10週 述語論理 全称記号,存在記号を理解する.
11週 関係 直積集合,順序対,関係を理解する.
12週 関係 合成,逆関係,関係行列,同値関係を理解する.
13週 写像 写像,定義域,値域を理解する.
14週 写像 単射,全射,全単射を理解する.
15週 前期期末試験 授業内容を理解し試験問題に対して正しく解答することができる.
16週 前期期末試験解説 授業内容を理解し,理解が不十分な点を解消する.
後期
3rdQ
1週 代数系 二項演算,単位元,逆元を理解する.
2週 半群,群,巡回群を理解する.
3週 環と体 環と体を理解する.
4週 順序関係 半順序,全順序,最大元,最小元,極大元,極小元,上界,下界,上限,下限を理解する.
5週 束を理解する.
6週 ブール代数 ブール代数を理解する.
7週 後期中間試験 授業内容を理解し試験問題に対して正しく解答することができる.
8週 後期中間試験解説 授業内容を理解し,理解が不十分な点を解消する.
4thQ
9週 グラフの基礎 グラフ,隣接行列,接続行列の定義を理解する.
10週 経路 経路と連結グラフの定義を理解する.
11週 いろいろなグラフ 完全グラフ,正則グラフ,2部グラフ,木グラフの定義と性質を理解する.
12週 平面的グラフ 平面的グラフ,オイラーグラフ,ハミルトングラフの定義と性質を理解する.
13週 グラフの彩色 頂点彩色と領域彩色の定義と性質を理解する.
14週 ネットワーク・フロー ネットワークとフローの定義と性質を理解する.
15週 学年末試験 授業内容を理解し試験問題に対して正しく解答することができる.
16週 学年末試験解説 授業内容を理解し,理解が不十分な点を解消する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学基本的な論理演算を行うことができる。4前3,前4,前5,前6
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。4前3,前4,前5,前6
情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。4前2
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。4前11,前12
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。4後6
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。4前9,前10
離散数学に関する知識をアルゴリズムの設計、解析に利用することができる。4後12,後13,後14

評価割合

試験課題合計
総合評価割合9010100
専門的能力9010100