1.信号を処理する上で必要な基本的な知識である,標本化,量子化,周波数,振幅,位相が説明でき,それらを基に,様々なディジタル信号波形を図形化できる.
2.ディジタル信号を分析処理する前に入力波形に対して実施される前処理を,ディジタル信号に対して施すことができる.
3.2つのディジタル信号間の関係性を明らかにする方法の説明およびそれらを定量的に分析することができる.
4.信号の周波数特性や周波数領域での入力信号の特性,入力信号を解析する方法が説明でき,実際のディジタル信号に対して,周波数領域での処理ができる.
概要:
近年,様々な媒体による情報伝達が盛んに行われている.しかしながら,伝達する情報が増えるほど,その処理時間は増大の傾向にある.このとき,従来のアナログ信号をディジタル信号に置き換えることで,数多くの恩恵を我々にもたらしてくれる.この恩恵は,どこで得られているのだろうか,また,どのような理由から恩恵がえられているのだろうか?その謎を明らかにしながら,ディジタル信号に対する一般的な処理手法について教授するとともに,パソコンを用いて信号解析をすることができる能力を身につける.
授業の進め方・方法:
座学と演習を交えた授業形式である.また,講義項目ごとに演習問題に取り組み,各自の理解度を実習内容報告レポートおよび確認する.
注意点:
関連科目:情報理論,制御工学と深く関連する.
学習指針:行列,ベクトル,確率など数学の復習をしておくことが望ましい.わからないところはそのままにせず,その都度質問をすること.
自己学習:目標を達成するために,授業時間以外にも予習復習を怠らないようにすること.また,テストや関連課題の取組みにしっかり時間をかけること.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ディジタルとアナログ |
ディジタルとアナログの利点と欠点について理解できる.
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2週 |
信号処理とは |
信号処理の必要性について理解できる.
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3週 |
アナログ信号とディジタル信号 |
アナログ,ディジタル信号の種類や,不規則,あるいは,規則的な信号の特性について理解できる.
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4週 |
サンプリング問題 |
サンプリング点が波形に及ぼす影響について理解できる.
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5週 |
サンプリング問題 |
サンプリング点の変化により得られる波形の変化を確認できる.
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6週 |
エイリアシング |
サンプリング点の変化により得られる波形の変化を確認できる.
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7週 |
第1週から6週までの復習 |
アナログ信号をディジタル信号に変換する処理について復習する.
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8週 |
波形の平滑化(移動平均) |
移動平均の原理とその効果を理解できる.
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2ndQ |
9週 |
波形の平滑化(移動平均) |
移動平均の原理とその効果を確認できる.
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10週 |
移動平均の周波数特性 |
移動平均の処理が波形に与える影響を周波数領域で確認できる.
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11週 |
雑音の圧縮(同期加算) |
同期加算法の原理とその効果を理解できる.
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12週 |
雑音の圧縮(同期加算) |
同期加算法の原理とその効果を確認できる.
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13週 |
信号処理に必要な数学 |
数学の復習の過程を通じて信号の類似性を手計算で調べることができる
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14週 |
信号処理に必要な数学 |
数学の復習の過程を通じて信号の類似性を計算機で調べることができる
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15週 |
信号処理に必要な数学 |
数学の復習の過程を通じて信号の類似性を信号波形から調べることができる
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16週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
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後期 |
3rdQ |
1週 |
正規直交基 |
ベクトル間の内積により,直交性を調べ,波形の基本的な成分を調べられる.
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2週 |
正規直交関数系 |
ベクトル間の直交性を関数間まで拡張し,関数間での類似性を調べられる
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3週 |
相互相関関数 |
相互相関関数の原理とその効果を確認できる.
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4週 |
相互相関関数 |
相互相関関数の原理とその効果を確認できる.
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5週 |
自己相関関数 |
自己相関関数の原理とその効果を確認できる.
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6週 |
自己相関関数 |
自己相関関数の原理とその効果を確認できる.
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7週 |
フーリエ級数展開 |
フーリエ級数展開について理解できる.
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8週 |
フーリエ級数展開 |
フーリエ級数展開をパソコンによって自力で行える.
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4thQ |
9週 |
複素フーリエ級数展開 |
複素フーリエ級数展開について理解できる.
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10週 |
複素フーリエ級数展開 |
複素フーリエ級数展開をパソコンによって自力で行える.
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11週 |
複素フーリエ級数展開 |
振幅,位相,パワースペクトルが理解でき,実際にスペクトルの分析ができる.
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12週 |
離散フーリエ変換 |
離散フーリエ変換について理解でき,離散フーリエ変換できるプログラムを自力で作成できる.
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13週 |
離散フーリエ逆変換 |
離散フーリエ逆変換について理解でき,離散フーリエ変換できるプログラムを自力で作成できる.
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14週 |
高速離散フーリエ逆変換 |
高速離散フーリエ変換について理解でき,離散フーリエ変換できるプログラムを自力で作成できる.
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15週 |
高速離散フーリエ逆変換 |
高速離散フーリエ逆変換について理解でき,離散フーリエ変換できるプログラムを自力で作成できる.
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16週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | 情報数学・情報理論 | 集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。 | 4 | |
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。 | 4 | |
離散数学に関する知識をアルゴリズムの設計、解析に利用することができる。 | 4 | |
コンピュータ上での数値の表現方法が誤差に関係することを説明できる。 | 4 | |
コンピュータ上で数値計算を行う際に発生する誤差の影響を説明できる。 | 4 | |
その他の学習内容 | メディア情報の主要な表現形式や処理技法について説明できる。 | 4 | |
ディジタル信号とアナログ信号の特性について説明できる。 | 4 | |
情報を離散化する際に必要な技術ならびに生じる現象について説明できる。 | 4 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 情報系分野【実験・実習能力】 | 情報系【実験・実習】 | 与えられた問題に対してそれを解決するためのソースプログラムを、標準的な開発ツールや開発環境を利用して記述できる。 | 3 | |
フローチャートなどを用いて、作成するプログラムの設計図を作成することができる。 | 3 | |
問題を解決するために、与えられたアルゴリズムを用いてソースプログラムを記述し、得られた実行結果を確認できる。 | 3 | |
要求仕様にあったソフトウェア(アプリケーション)を構築するために必要なツールや開発環境を構築することができる。 | 3 | |
要求仕様に従って標準的な手法によりプログラムを設計し、適切な実行結果を得ることができる。 | 3 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 3 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて計画ができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 3 | |
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。 | 3 | |
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。 | 3 | |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。 | 3 | |
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。 | 2 | |
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。 | 2 | |