国語Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 国語Ⅰ
科目番号 0001 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 物質化学工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 『新編現代の国語』(第一学習社)、『高等学校言語文化』(第一学習社)、『新国語便覧(新版六訂)』(第一学習社)、『常用漢字ダブルクリア』(尚文出版)、『新版完全マスター古典文法準拠ノート実力養成』(第一学習社)、『1日10分言語力ドリル 読む』(第一学習社)、『1日10分言語力ドリル 書く』(第一学習社)
担当教員 新井 由美,松井 真希子

到達目標

1. 高等学校1年生相当の漢字力や語彙力を身につけている。
2. 小説について、登場人物の心情の変化を読み取ることができる。また、自身の経験にひきつけて感想を述べることができる。
3. 評論文について、筆者の意見を的確に把握し、正確に要約することができる。また、筆者の意見に対して、自身の意見を、根拠をもって表現することができる。
4. 日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。
5. 文語のきまり、漢文訓読のきまりを身につけている。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
コミュニケーション力話し手の指示や意見を的確に聞き取り、正確にまとめることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、適切な声の大きさ、明瞭な発音で、述べたり読んだりすることができる。話し手の指示や意見を的確に聞き取ることができる。 聞き手を意識しながら、自身の意見や与えられた文章を、述べたり音読したりすることができる。話し手の指示や意見を聞くことができない。 聞き手を意識せずに、自身の意見や与えられた文章を、声の大きさや発音に気を留めずに述べたり音読したりする。もしくは活動時に発言しない。
読解力・思考力書物や文献に対して、批判的に読解し、自身の意見を抱き、正確に表現することができる。書物や文献に対して、自身の意見を抱き、表現しようと工夫することができる。書物や文献に対して、自身の意見を表現することができない、もしくは文章表現として著しい誤りがある。
判断力・表現力初見の文章について、内容を理解しながらスムーズに音読することができる。初見の文章について、句としてのまとまりを意識しながら音読することができる。初見の文章について、単語ごとに細切れに音読する。
言語運用能力言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を即座に調べ、習得することができる。 高校卒業程度の語彙力(漢検準2級~2級程度)を有しており、適切に運用することができる。言葉に関心を持ち、疑問に感じた言葉を自主的に調べることができる。 高校在学程度の語彙力(漢検準2級程度)を有しており、適切に運用することができる。言葉に関心がなく、初見の語であっても自主的に調べることがない。 中学校卒業程度の語彙力(漢検3級程度)を有しており、高校在学程度の語彙を誤って運用することがある。
伝統的な言語文化に対する能力(古文)日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ち、その価値に気づくことができる。日本の伝統的な言語文化について、興味・関心を持つことができる。日本の伝統的な言語文化について興味・関心を持ったり、その価値に気づくことができない。
伝統的な言語文化に対する能力(漢文)文語のきまり、漢文訓読のきまりを身につけている。文語のきまり、漢文訓読のきまりについて、調べることができる。文語のきまり、漢文訓読のきまりについて、全く理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (3) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
他者との相互理解や相互伝達を円滑なものにするために、理解力や表現力とそれらを支える思考力や感性を培う。また、言語文化への理解を深め、多様な価値観を知ることを通して、豊かな人間性を育む。
授業の進め方・方法:
高等学校第1学年に相当する学力を身につけるため、高等学校用の教科書を使用し、様々な文章を読んで多角的な思考力を養っていく。また学生同士で「話し合う」、考えた内容をノートや文章に自分で「まとめる」ことを通して自分の考えを深める。
通年の2時間を「現代の国語」(評論文・小説・文章表現)、半期の2時間を「言語文化」(古文・漢文・近現代の詩歌)の時間に当てる。
注意点:
関連科目
国語の運用能力は、人文や社会科学系の科目ばかりでなく、自然科学系の科目の基礎にもなる。

学習指針
授業中は発問を多くするので、積極的な発言や質問ができるよう準備しておくこと。
また、作文や創作の時間を有効に使えるように、日頃から問題意識を持って自分や自分の身の回りの世界に目を向けておくこと。定期的に漢字小テストをする。

自己学習
事前学習:授業前に教科書の下読み、知らない言葉の下調べは必ず行うこと。予習プリントを済ませておくこと。
古典については、事前に教科書の本文を写し、重要単語の意味を調べ、必要に応じて大事な注なども写しておく。予習として自分で本文を現代語訳しておくのもよい。
事後展開学習:ノートやプリントを見直しながら授業内容を確認する。得た知識に基づいて新聞や雑誌記事などを読む。
古典では授業では扱わなかった教材を読み、古典に親しむ。

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
現国 評論「本当の自分」幻想①
言文 『論語』「学び」
現国 内容や構成、論理の展開を適確に捉え、要旨を把握することができる。
言文 漢文のリズムに慣れる。高専での学習について考えを深めることができる。
2週 現国 評論「本当の自分」幻想②
言文 『徒然草』「ある人、弓射ることを習ふに」
現国 主張と根拠、推論など、情報と情報との関係を理解することができる。
言文 古典のリズムに慣れる。用言について基本的な知識を身につける。
3週 現国 評論「本当の自分」幻想③
言文 『竹取物語』「なよ竹のかぐや姫」①
現国 自分の主張の正しさを補強する推論の仕方を理解する。筆者の主張に対する自分の考えを文章化することができる。 
言文 助動詞について基本的な知識を身につける。
4週 現国 文章表現「書き方の基礎レッスン」
言文 『竹取物語』「なよ竹のかぐや姫」②
現国 表記・表現の基本ルールを理解し、正確で分かりやすい文章を書くことができる。
言文 伝奇的作り物語という文章の種類を踏まえて、内容や展開を的確に捉えることができる。
5週 現国 小説「羅生門」①
言文 『戦国策』「漁夫之利」
現国 下人の行動や心理をもとに場面の展開を捉え、老婆の論理の性質を読み取ることができる。
言文 故事成語の由来となった話を読み、古典の言葉と現代の言葉とのつながりについて理解することができる。
6週 現国 小説「羅生門」②
言文 『戦国策』「狐借虎威」
現国 主張と論拠など、情報と情報との関係を理解することができる。
言文 文章の種類を踏まえて、たとえ話を読み解き、内容や展開を的確に捉えることができる。
7週 現国 小説「羅生門」③
言文 学力判定試験
現国 文章の内容や構成、論理の展開を捉え、自分の意見や考えを論述することができる。
言文 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく回答することができる。
8週 前期中間試験
授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
2ndQ
9週 前期中間試験返却・解説
現国 表現「情報源の明示」
言文 唐詩の世界こ「江南春」「静夜思」「黄鶴楼送孟浩然之広陵」
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
現国 引用の目的と方法を理解し、引用を適切に活用することができる。
言文 表現や技法(押韻や対句)に留意して漢詩を鑑賞し、古代中国の人々が自然や人事に向けた思いを読み取ることができる。
10週 現国 評論「水の東西」①
言文 『伊勢物語』「東下り」①
現国 東西の対比関係を用いた論述方法を理解し、内容や構成を的確に捉えることができる。
言文 話の中で和歌が果たしている役割を押さえ、歌物語の特徴と読み解き方を理解することができる。
11週 現国 評論「水の東西」②
言文 『伊勢物語』「東下り」②
現国 文章中の情報を相互に関連づけながら内容を解釈することができる。
言文 歌物語に積極的に親しみ、学習課題に沿って和歌の果たす意味を捉えることができる。
12週 現国 小説「砂に埋もれたル・コルビュジエ」①
言文 近現代の詩歌「甃のうへ」「一つのメルヘン」
現国 文章の構成を把握し、効果的な接続の仕方を理解することができる。
言文 詩独特の表現方法や構成などを理解し、作品に託されたメッセージを読み取ることができる。
13週 現国 小説「砂に埋もれたル・コルビュジエ」②
言文 近現代の詩歌「自分の感受性くらい」「I was born」
現国 登場人物の考えを読み取ることができる。
言文 作品にこめられた作者の批判精神を読み取ることができる。散文詩に親しみ、「I was born」という言葉がどのようなイメージで捉えられているかを読み取ることができる。
14週 現国 小説「砂に埋もれたル・コルビュジエ」③
言文 学力判定試験
現国 文章の内容や構成、論理の展開を捉え、自分の意見や考えを論述することができる。
言文 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく回答することができる。
15週 前期末試験
授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 現国 評論「文化」としての科学① 現国 科学と技術の違いを対比的に整理することができる。 
2週 現国 評論「文化」としての科学② 現国 内容や構成、論理の展開を的確に捉え、要旨を把握することができる。
3週 現国 評論「文化」としての科学② 現国 文章に含まれている情報を相互に関連づけながら、内容を解釈することができる。 
4週 現国 表現「待遇表現」 現国 敬語表現を意識した言葉遣いを理解し、相手や場に応じた表現ができる。
5週 現国 小説「夢十夜」① 現国 「夢」という非日常性の世界における「自分」の判断について、自分の意見を持つことができる。
6週 現国 小説「夢十夜」②
現国 語彙を豊かにし、比喩や言い換えなどの修辞を理解することができる。  
7週 現国 小説「夢十夜」③
現国 文章の構成や表現の工夫を理解しながら内容を解釈することができる。 
8週 後期中間試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
4thQ
9週 後期中間試験返却・解説
現国 評論「不均等な時間」①
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。
現国 具体的事例から一般論への展開と、対比の構造を理解することができる。 
10週 現国 評論「不均等な時間」② 現国 文章に含まれている情報を相互に関連づけながら、内容を解釈することができる。
11週 現国 評論「不均等な時間」③ 現国 近代化と時間の合理性との関係を理解することができる。
12週 現国 小説「鏡」① 現国 文章の中で語られる「恐怖」とは何かについて理解することができる。
13週 現国 小説「鏡」② 現国 比喩や言い換えなどの修辞を理解することができる。  
14週 現国 小説「鏡」③ 現国 文章の構成や表現の工夫を理解しながら内容を解釈することができる。 
15週 学年末試験 授業内容を理解し、試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解説
試験問題を見直し、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要約できる。2前1,前2,前3,前8,前9,前10,前11,前15,前16,後1,後2,後3,後8,後9,後10,後11,後15
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。2前1,前2,前8,前9,前10,前11,前15,前16,後1,後2,後3,後8,後9,後10,後11,後15
文学的な文章(小説や随筆)に描かれた人物やものの見方を表現に即して読み取り、自分の意見を述べることができる。2前1,前5,前6,前7,前8,前12,前13,前14,前15,前16,後5,後6,後7,後8,後12,後13,後14,後15,後16
常用漢字の音訓を正しく使える。主な常用漢字が書ける。1前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。2前1,前2,前3,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。2前1,前4,前9,後4
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。3前1,前4,前6,前7,前9,後4
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。3前1,前4,前6,前7,前8,前9,前13,前14,後4
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。3前1,前4,前7,前8,前9,後4
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。3前1,前4,前7,前9,後4
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。3前1,前2,前3,前4,前6,前7,前9,前13,前14,後7,後14
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。3前1,前2,前3,前6,前7,前9,前13,前14,後7,後14
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。3前1,前2,前3,前6,前7,前8,前13,前14,前16,後4,後7,後14,後16

評価割合

試験提出物態度・小テスト合計
総合評価割合702010100
現代文能力50101070
古典能力2010030