物理Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 物理Ⅰ
科目番号 0005 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 高専の物理(第5版)(森北出版)、 高専の物理問題集(第3版)(森北出版)、フォトサイエンス物理図録(数研出版)、プリント
担当教員 新野 康彦

到達目標

1. 速度や加速度の概念を理解し、等加速度運動に関する問題を計算・解析できる。
2. 力と運動に関する基本法則を理解し、運動方程式を用いて物体の運動を計算によって解析できる。
3. 運動量や力学的エネルギーに関する基本法則を理解し、その基本法則を用いて各種問題を計算によって解析できる。ベクトルや三角比に関する定義を理解し、これらの知識を用いて計算できる。
4. 平面運動における速度や加速度、重力中の放物線運動に関する問題を計算・解析できる。等速円運動に関する物理量の概念を理解し、公式が導出できる。等速円運動に関する物理現象を計算によって解析できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1何度も加速・減速する等加速度運動において,x-tグラフやv-tグラフからその運動を解析することができ,あるいはその運動をグラフに描くことができる。 等加速度運動における3公式を用いて,複数の物体の自由落下や鉛直投射運動などを解析できる。 簡単な等加速度運動において,x-tグラフやv-tグラフからその運動を解析することができる。 等加速度運動における3公式を用いて,物体の自由落下や鉛直投射運動などを解析できる。 等加速度運動において,x-tグラフやv-tグラフから物体の運動を読み取ることができない。 等加速度運動における3公式を使って簡単な等加速度運動を解析することができない。
評価項目2ニュートンの運動の3法則を理解している。 重力やばねの弾性力,摩擦力などが働いている複数の物体の運動方程式を立て,連立して解くことができる。 ニュートンの運動の3法則を記憶している。 重力やばねの弾性力,摩擦力などが働いている物体の運動方程式を立て,解くことができる。 ニュートンの運動の3法則を知らない。 重力やばねの弾性力,摩擦力などが働いている物体の運動方程式を立てることができない。
評価項目3運動量と力積の関係を理解し,それらに成り立つ基本法則を導出することができる。さらにそれらの基本法則を用いて物理現象を計算・解析できる。 力学的エネルギー保存の法則を理解し,その法則を用いて重力やばねの弾性力などが働いている物体の運動を計算・解析できる。さらに摩擦力が働く場合の運動についてもエネルギーの観点から計算・解析できる。 運動量と力積の関係を記憶し,それらに成り立つ基本法則を知っている。あるいは基本法則を用いて単純な物理現象を計算・解析できる。 力学的エネルギー保存の法則を記憶し,その法則を用いて重力やばねの弾性力などが働いている物体の運動を計算・解析できる。 運動量と力積の関係を知らない。あるいはそれらに成り立つ基本法則を用いて単純な物理現象を計算・解析できない。 力学的エネルギー保存の法則を知らない。あるいはその法則を用いて重力やばねの弾性力などが働いている物体の運動を解析できない。
評価項目4ベクトルや三角比の定義を理解し,それらを物理現象に適応して計算・解析できる。 放物運動や斜面上を運動する複数の物体の運動を計算・解析できる。 弧度法を理解している。 等速円運動する物体の運動を計算・解析できる。 惑星の運動に関するケプラーの法則を理解し,等速円運動の観点から惑星の運動を計算・解析できる。 ベクトルや三角比の定義を知っており,それらを用いた簡単な計算ができる。 放物運動や斜面上の物体の運動を計算・解析できる。 度数法から弧度法に,あるいはその逆の変換ができる。 等速円運動する物体の角速度・周期・振動数の計算ができる。さらに等速円運動する物体の運動方程式を立てることができる。 惑星の運動に関するケプラーの法則を知っている。 ベクトルや三角比の定義を知らない。 度数法から弧度法に,あるいはその逆の変換ができない。等速円運動する物体に関する物理量を計算できない。 惑星の運動を知らない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 自然が示す種々な現象には一定の規則性があります。多彩な現象の背後にある法則を探求するのが自然科学で、その基礎となっているのが物理学です。物理を学習する目的は、種々な現象を貫く基本法則や物理概念を記述する数理公式を見いだし、自然の仕組みを系統的に理解することといえます。また科学技術の進展は私たちに多くの恩恵をもたらしている反面、人類の生存に関わる負の遺産も作り出していることにも着目します。即ち、科学的なものの見方考え方の上に、自然との共生という視点も重視して講義します。
授業の進め方・方法:
 中学理科と違い、物理は暗記科目ではなく、自然現象を論理的に考察して基本法則を見出し、その法則を数理的手法で表現する学問です。さらに、物理現象を記述する概念や公式は多くの工学専門分野で使われる「共通語」になります。適宜皆さんに発問しながら授業を進めますので、「よく聞いてよく考え」ながら授業に臨んでください。また、少しでよいですから、授業のあった日は必ず復習を欠かさないようにしてください。疑問点は早めに解決してください。実験室は常に皆さんに開放して可能な限り質問に応えるようにしています。物理は自然の背後に隠された謎を解き明かしていくロマンに溢れた学問です。常に「なぜ」と問う気持ちを大切にして謎解きの楽しさを味わってください。
注意点:
 関連科目
数学は必修です。物理で学ぶ原理・法則は殆どの工学系の専門科目で応用されていきます。
  学習指針
授業進度に合わせて教科書の問題や問題集を利用して自学・自習すること。
講義内容は予定であり、学生の理解度を考慮して多少の変更をする可能性があります。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導入 物理とは。授業方法,成績評価などの説明を理解する。
2週 変位と速度 (1頁)変位,速度を理解する。x-tグラフを理解する。
3週 加速度 (5頁)加速度を理解する。v-tグラフを理解する。
4週 学生実験 計測を通して誤差と有効数字を理解する。
5週 等加速度運動 (6頁)等加速度運動における3公式を理解する。
6週 自由落下,鉛直投射運動 (18頁)重力中の一次元の運動を理解する。
7週 同上 同上
8週 試験返却・解答 試験問題を見直して理解度を把握し改善でする。
2ndQ
9週 ニュートンの運動法則 (8頁)ニュートンの運動の3法則を理解する。
10週 学生実験 台車の実験を通して運動法則を理解する。
11週 重力,万有引力,弾性力 (14頁)重力,万有引力,ばねの弾性力を理解する。
12週 同上 同上
13週 運動方程式の作り方 (17頁)具体的な問題を通して運動の取り扱いを理解する。
14週 同上 (17頁)2物体以上が連結する運動の取り扱いを理解する。
15週 摩擦と運動 (20頁)水平面上で摩擦が働くときの運動を理解する。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直して理解度を把握し改善する。
後期
3rdQ
1週 運動量と力積 (23頁)運動量の変化と力積の関係を理解する。
2週 運動量保存の法則,反発係数
(24頁)運動量保存の法則を理解する。
3週 仕事,運動エネルギー (26頁)力と仕事,運動エネルギーを理解する。
4週 位置エネルギー (29頁)重力,ばねの弾性力等の位置エネルギーを理解する。
5週 力学的エネルギー保存則 (31頁)力学的エネルギー保存の法則を理解する。
6週 ベクトルとスカラー (33,243頁)ベクトルの演算法則を理解する。
7週 三角比 (244頁)三角比の基本演算を理解する。
8週 試験返却・解答 試験問題を見直して理解度を把握し改善する。
4thQ
9週 運動方程式(2次元) (39,41頁)平面の運動方程式,放物運動を理解する。
10週 仕事の原理,斜面上の運動 (41,頁)斜面を利用した物体の運動を理解する。
11週 等速円運動 (44頁)弧度法を理解し,角速度,周期,振動数を理解する。
12週 同上 (45頁)等速円運動における速度,加速度,向心力を理解する。
13週 学生実験 円運動の関する実験を通して等速円運動を理解する。
14週 惑星の運動 (46頁)惑星の運動に関するケプラーの法則を理解する。
15週 人工衛星の運動 (47頁)万有引力に由来する人工衛星の運動を理解する。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直して理解度を把握し改善する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前2,前3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3後6
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前3,前5
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3後7
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前6,前7
鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前6,前7
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3後9
物体に作用する力を図示することができる。3前9
力の合成と分解をすることができる。3後6
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前12,前13
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前11,前12
慣性の法則について説明できる。3前9
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前9
運動方程式を用いた計算ができる。3前14
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前15
最大摩擦力に関する計算ができる。3前15
動摩擦力に関する計算ができる。3前15
仕事と仕事率に関する計算ができる。3後3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3後3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後4
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後4
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3後5
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3後1
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3後1
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3後2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3後11,後12,後13
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3後14
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後15
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前4,前10,後13
安全を確保して、実験を行うことができる。3前4,前10,後13
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前4,前10,後13
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前4,前10,後13
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前10,後13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他小テスト、課題レポートや実験レポート、プリント提出合計
総合評価割合700000030100
基礎的能力42000001860
専門的能力28000001240
分野横断的能力00000000