物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 物理Ⅱ
科目番号 0024 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 物質化学工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 高専の物理(第5版、森北出版)、高専の物理問題集(第3版、森北出版)
担当教員 稲田 直久

到達目標

1. 仕事とエネルギーの関係が理解できる。平面や空間の運動が記述できる。剛体の釣り合い条件を求めることができる。
2. 圧力,浮力の公式を導出できる。熱現象に関する基本公式を理解するとともに、熱の移動を伴う各種計算ができる。
3. 熱力学過程、熱力学第二法則、剛体の釣り合いの問題、圧力の問題の基本公式の証明が理解でき、各種計算問題ができる。1次元上の波動の基本公式を用いた計算、グラフの読み取り、作図ができること。ホイヘンスの原理から反射、屈折、干渉の法則の証明やそれを用いた計算ができること。重ね合わせの原理から定常波が理解できる。
4. 音波の基本的な性質を理解できる。うなり、固有振動、共振・共鳴現象の成立条件を理解し、問題が解ける。ドップラー効果の公式の証明ができ、問題が解ける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1仕事,運動エネルギー,運動エネルギーの計算ができ,さらにその相互関係が説明できる。 平面の運動を座標軸で分解して問題を解ける。円運動の位置,速度,加速度の公式の間の関係を理解する。仕事,運動エネルギー,運動エネルギーの計算ができる。 ベクトルの和,差,分解の基本的問題を解ける。円運動の位置,速度,加速度の公式を覚え,計算ができる。仕事,運動エネルギー,運動エネルギーの計算ができない。 ベクトルの和,差,分解の基本的問題を解けない。円運動の位置,速度,加速度の公式を使った計算ができない。
評価項目2剛体の釣り合いを力のモーメントの関係から理解できる。 圧力の式,浮力の式の導出を理解し応用できる。力のモーメントの計算ができる。 圧力の公式を記憶し,数値的な計算に応用できる。力のモーメントの計算ができない。 圧力の公式の計算ができない。
評価項目3理想気体の法則,熱力学の第一法則,比熱と熱量の関係,内部エネルギーの公式をその導出および関連まで理解し,さらに数値的な計算や数式的な計算を用いて応用する問題を解答できる。 熱力学の基本式から導出して熱力学過程の物理量の変化が計算できる。また熱力学の第二法則の複数の表現の等価性を証明できる。 波の基本式,正弦波の公式,干渉・反射・屈折の公式の導出が理解し,数値的な計算に応用できる。 縦波および横波のグラフの書き方または読み方が理解でき波の状態を求めることができる。波の境界条件を理解して,反射波や定常波の作図ができる。理想気体の法則,熱力学の第一法則,比熱と熱量の関係,内部エネルギーの公式の導出が理解できる。もしくは,公式を記憶し,数値的な計算に応用できる。 熱力学過程の物理量の変化が計算できる。また熱力学の第二法則について理解できる。 波の基本式,正弦波の公式,干渉・反射・屈折の公式の導出が理解できる。もしくは,その公式を記憶し,数値的な計算に応用できる。 縦波および横波のグラフの書き方または読み方が理解でき波の状態を求めることができる。波の境界条件を理解して,反射波や定常波の作図ができる。理想気体の法則,熱力学の第一法則,比熱と熱量の関係,内部エネルギーの公式の導出を理解できない。さらに公式を記憶し,数値的な計算もできない。 熱力学過程の物理量の変化が計算できない。また熱力学の第二法則について理解できない。 波の基本式,正弦波の公式,干渉・反射・屈折の公式の導出が理解できない。さらに,その公式を記憶し,数値的な計算に応用できない。 縦波および横波のグラフの書き方または読み方が理解できず,波の状態を求めることができない。波の境界条件を理解できず,反射波や定常波の作図ができない。
評価項目4ホイヘンスの原理から波の基本的な性質が導出でき,それを数値的な計算に応用できる。音の基本を理解し,うなりの公式を導出できる。またはそれらの数値的な計算に応用できる。 固有振動や共振・共鳴現象の成立条件を理解し,それらの公式を導出し,それらを数値的な計算に応用できる。 ドップラー効果の公式を導出し,応用できる。ホイヘンスの原理から波の基本的な性質が導出できることが理解できる。または波の基本法則を記憶し数値的な計算に応用できる。音の基本を理解し,うなりの公式を導出できる。またはそれらを記憶し数値的な計算に応用できる。 音の基本を理解し,うなりの公式を記憶し,数値的な計算に応用できる。固有振動や共振・共鳴現象の成立条件を理解し,それらの公式を記憶し数値的な計算に応用できる。 ドップラー効果の公式を記憶し,計算できる。ホイヘンスの原理から波の基本的な性質が導出できることが理解できない。さらに波の基本法則を記憶し数値的な計算に応用できない。 音の基本を理解できず,うなりの公式を導出できない。またはそれらを記憶し数値的な計算に応用できない。 固有振動や共振・共鳴現象の成立条件を理解できない。また,それらの公式を用いた計算ができない。 ドップラー効果の公式を導出できず,計算もできない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
近年の急激に進歩した技術は、我々の生活の隅々に入り込み個人の能力を飛躍的に増大してくれました。しかしその一方、それらの技術は「ブラックボックス化」し、その真の姿(原理)が見えにくくなっています。そのため、このような時代・世界において、技術者が責任ある行動や決断を行うためには、背景にある科学的原理を理解する事によって自分自身の理解力・洞察力を高めることが必要になっています。2年次の物理はあらゆる専門科目の基礎であると同時に、科学の基本的方法を学ぶことを目的としています。具体的には
(1)自然の性質(実験事実)を数式によって理解すること:数理的理解
(2)物理学を理解することで自然界のいろいろな現象を統一的に説明できること:普遍性の理解
です。そのためには、科学の理解とは、単なる問題の解答を見つける能力と異なる事を認識し、疑問を持ち、自ら間違いを訂正する能力を訓練してもらいたいと思います。
授業の進め方・方法:
物理学では、「理解する」ということがどういうことかを理解できないと困ります。したがって授業中にこちらから質問を投げかけますので、それに答えられるように授業の内容を「理解」していくことが重要です。各授業の基本的な資料はプリントとして準備しておきますので、授業中のノートはなるべく短時間で取るようにし、「聞くこと」に重点を置くことを要求します。また、数式をより深く理解するために実験が設定されていますので、しっかりと準備をして集中して取り組んでください。
注意点:
関連科目
・物理Ⅰ
・数学
学習指針
・事前学習:あらかじめ講義内容に該当する部分の教科書を読み、理解できるところ、理解できないところを明らかにしておく。
・事後発展学習:単元ごとに宿題を課すので、問題集や教科書の指定された問題を解き、次の授業時に提出すること。また、実験を行った際にはその内容をレポートにまとめ、次の授業時に提出すること。

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 仕事,運動エネルギー 力と仕事,運動エネルギーが理解できる。
2週 位置エネルギー
万有引力,重力,ばねの弾性力等の位置エネルギーが理解できる。
3週 力学的エネルギー保存則
力学的エネルギー保存の法則が理解できる。
4週 ベクトルとスカラー
ベクトルの演算法則が理解できる。成分表示のため三角比の基本演算が理解できる。
5週 物体の運動(2次元) 平面内の2物体の相対速度,合成速度が理解できる。
6週 運動方程式(2次元)1 平面の運動方程式,放物運動が理解できる。
7週 運動方程式(2次元)2 平面の運動方程式,斜面上の物体の運動が理解できる。
8週 前期中間試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消する。
2ndQ
9週 等速円運動1 弧度法を理解し,角速度,周期,振動数が理解できる。
10週 等速円運動2 ケプラーの法則と運動方程式の関係が理解できる。
11週 剛体の力学1 力のモーメントの公式の説明とそれを使った計算ができる。
12週 剛体の力学2 剛体の釣り合いの原理を理解し、その計算ができる。
13週 流体の力学1 圧力に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
14週 流体の力学2 浮力に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
15週 前期末試験
問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消できる。
16週 熱力学の基礎1 絶対温度の定義と熱の正体が説明できる。
後期
3rdQ
1週 熱力学の基礎2 熱と仕事の関係の公式が説明でき、それを使った計算ができる。
熱容量と比熱の定義の説明と計算ができる。
2週 熱力学の基礎3 固定の比熱の測定実験を行う。
3週 熱力学の原理1 理想気体の状態方程式などの気体法則の公式が説明でき,それらを使った計算ができる。気体分子運動論の原理と計算について理解できる。
4週 熱力学の原理2 熱力学第一法則を理解し,断熱,定積,定圧,等温の各過程の物理量を計算できる。
5週 熱力学の原理3 サイクルを理解し、その計算ができる。
熱力学第二法則の原理を理解し、それに関連する説明や計算ができる。
6週 波動現象の基礎 直線上の波の考え方を理解し、波の基本公式を使った計算ができる。縦波と横波について理解でき、グラフの読み取りができる。
7週 波動と数式 正弦波の公式の原理が理解でき、グラフの読み取りや計算ができる。定常波の原理が理解でき、作図及びそれに関連する計算ができる。
8週 後期中間試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消する。
4thQ
9週 空間に広がる波1 回折、干渉、反射の原理と証明を理解し、公式を用いた計算ができる。
10週 空間に広がる波2 屈折の原理と証明を理解し、公式を用いた計算ができる。
11週 音波1 音波の基本とうなりについて理解し、その計算ができる。
12週 音波2 音の固有振動が成立する条件を理解し、その計算ができる。
13週 音波3 音叉の振動数の測定実験を行う。
14週 音波4 ドップラー効果について理解し、その計算ができる。
15週 学年末試験 問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消できる。
16週 物理Ⅱのまとめ 物理IIの学習内容を振り返ることができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前5
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前4,前5
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前6
物体に作用する力を図示することができる。3前4,前6,前7
力の合成と分解をすることができる。3前4,前6,前7
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前6,前7,前13,前14
運動方程式を用いた計算ができる。3前6,前7
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前1
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前1
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3前9
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前2
力のモーメントを求めることができる。3前11,前12
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前12
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前16
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前16
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3後1,後2
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3後1,後2
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前16
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3後3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3後3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3後4
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3後5
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3後5
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3後5
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3後6
横波と縦波の違いについて説明できる。3後6
波の重ね合わせの原理について説明できる。3後6,後7
波の独立性について説明できる。3後6,後7
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3後7,後9
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3後7,後12,後13
ホイヘンスの原理について説明できる。3後9,後10
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3後9,後10
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3後12
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3後12,後13
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3後12,後13
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3後14
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3後2,後6,後13
安全を確保して、実験を行うことができる。3後2,後6,後13
実験報告書を決められた形式で作成できる。3後2,後6,後13
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3後2,後6,後13
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後2
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後6,後13

評価割合

定期試験宿題・課題・レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100