概要:
マテリアルサイエンスやバイオサイエンス分野の進展は著しく、両分野に関わる多くの元素を取り扱う無機化学の重要性が高まっている。無機化学は炭素を含めたすべての元素が関与する物質の構造や性質、反応を取り扱う学問で、それらの系統的な理解のためには、物質を構成する原子・分子の構造や結合に関する知識が不可欠となる。本科目では、これらの事項の理解を深め、無機化学に必要な各項目について会念的に理解することを目標とする。
到達目標
1. 原子の構造と電子配置が理解できること。
2. 化学結合と物質の構造・性質との関係を理解できること。
3. 各種の無機化合物がどのような材料として利用されているか理解できること。
4. 無機各論を通じて工業無機化学反応の知識を身につけること。
授業の進め方・方法:
他の専門科目の理解に欠かせない重要な科目なので、基礎固めの学習を徹底的に行って欲しい。課題は必ず提出することが必須である。これらの課題は進路を決定する段階の復習に役に立つので、活用してほしい。
注意点:
[関連科目]
3年次、4年次の物理化学I・II、構造解析学、物質構造化学、5年次の基礎電子化学などの科目との関連が深い。無機化学は他の専門教科の基礎となるので、その都度関連付けて進めていきたい。教科書については無機化学IIでも引き続き用いる。
[学習指針]
無機化学は広範にわたる各元素の各論や量子論など化学全般にわたる通則を論ずる学問なので、あやふやな知識の理解にとどまらないよう基礎は徹底的に理解できるようにする。この学年では、無機化学の基礎について網羅的に修め、3年次以降の各専門教科の理解へとつなげたい。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
原子構造(物質と原子、原子核の構造) |
原子構造について
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2週 |
周期表の外観(1)(元素の分類・同位体・元素の分類・原子半径) |
元素の分類・同位体・元素の分類・原子半径の概念について理解する。
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3週 |
周期表の外観(2) (イオン化エネルギー・電親和力・元素の生化学) |
イオン化エネルギー・電親和力・元素の生化学について理解する。
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4週 |
共有結合(1)(ルイス構造・オクテット則・分子軌道法基礎) |
基礎的な分子軌道法の概念について理解する。
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5週 |
共有結合(2) |
ルイス構造とオクテット則について理解する。また、形式電荷VSEPR則の基礎的な概念について理解する。
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6週 |
イオン結合 |
イオンのモデルを用いて共有結合との違いを理解する。
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7週 |
金属結合 |
剛体球の充填をモデルとして素の充填配列に関する知識を身につける。
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8週 |
中間試験 |
1−7週目までの学習内容に関する理解を確認
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2ndQ |
9週 |
単純な固体の構造 |
固体構造の基礎知識を身につける。
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10週 |
酸と塩基(1) |
Arrhenius・Bronsted・Lewisの酸・塩基について理解する
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11週 |
酸と塩基(2) |
HSAB則について理解する
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12週 |
酸化と還元(1) |
酸化数に考え方を身につける
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13週 |
酸化と還元(2) |
pHと酸化還元電位、標準酸化還元電位と自由エネルギー変化、ラティマーの電位図と不均化反応について理解する
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14週 |
配位化合物(1) |
錯体の基礎知識を身につける
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15週 |
配位化合物(2) |
キレート効果、錯体の名称の書き方、錯体の化学式の書き方、異性体などの知識を身につける
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16週 |
期末試験 |
9−15週目までの学習内容に関する理解を確認
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後期 |
3rdQ |
1週 |
元素の周期律 元素の分類とそれらの性質 鉱物資源 |
元素の周期律表の見方を理解 周期律表を用いて元素を分類し性質の概要を理解 天然の無機資源の概要を知る。
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2週 |
非金属元素とその化合物の種類と性質(1) 気体(水素、空気に含まれる気体、18族元素(希ガス) |
気体の物理的性質や化学的性質を理解する。 身の回りにおける当該元素の役割、産出、化学的性質を学び、空気の組成や気体の単離法を知る。
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3週 |
非金属元素とその化合物の種類と性質(2) 16族元素(カルコゲン) 17族元素(ハロゲン) |
当該族元素の物理的・化学的性質を学び、身の回りにおける当該族中の代表元素の役割、産出、単離法、化学的性質を知る。
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4週 |
非金属元素とその化合物の種類と性質(3) (炭素族元素(炭素、ケイ素、ゲルマニウム)) |
当該族元素の物理的・化学的性質を学び、身の回りにおける当該族中の代表元素の役割、産出、単離法、化学的性質を知る。
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5週 |
非金属元素とその化合物の種類と性質(4) (窒素族元素) |
当該族元素の物理的・化学的性質を学び、身の回りにおける当該族中の代表元素の役割、産出、単離法、化学的性質を知る。
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6週 |
非金属元素を中心とした無機材料と化学工業 |
非金属元素を中心とした代表的な身の回りの無機材料を例示し、その性質やその工業的製法を学ぶ。
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7週 |
中間試験 |
1−6週目までの学習内容に関する理解を確認
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8週 |
天然に存在する無機物質(鉱物資源・海底資源) |
鉱物資源を中心として、天然界に存在する代表的な無機資源の産出やその現状を知るとともに,、これらの情報を調査する力を身につける
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4thQ |
9週 |
金属元素とその化合物の種類と性質(1) 典型元素(アルカリ金属とアルカリ土類金属) |
当該族元素の物理的・化学的性質を学び、身の回りや工業的な当該族中の代表元素の役割、産出、単離、性質、代表的化合物の合成と性質を知る。
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10週 |
金属元素とその化合物の種類と性質(2) 13族と貴金属および白金族 |
当該族元素の物理的・化学的性質を学び、身の回りや工業的な当該族中の代表元素の役割、産出、単離、性質、代表的化合物の合成と性質を知る。
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11週 |
金属元素とその化合物の種類と性質(3) 第4周期dブロック元素 |
当該族元素の物理的・化学的性質を学び、身の回りや工業的な当該族中の代表元素の役割、産出、単離、性質、代表的化合物の合成と性質を知る。
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12週 |
金属元素とその化合物の種類と性質(4) dブロック元素 |
当該族元素の物理的・化学的性質を学び、身の回りや工業的な当該族中の代表元素の役割、産出、単離、性質、代表的化合物の合成と性質を知る。
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13週 |
金属元素とその化合物の種類と性質(5) 亜鉛族金属 |
当該族元素の物理的・化学的性質を学び、身の回りや工業的な当該族中の代表元素の役割、産出、単離、性質、代表的化合物の合成と性質を知る。
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14週 |
金属元素を中心とした無機材料の実用例と無機化学工業 |
金属元素の単体、合金、化合物を中心とした代表的な身の回りの無機材料を例示し、その性質やその工業的製法を学ぶ。
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15週 |
元素の化学的性質と分析法 |
元素の化学的性質と分析法について学ぶ
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16週 |
期末試験 |
8−15週目までの学習内容に関する理解を確認
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 無機化学 | 主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。 | 1 | |
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 1 | |
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 1 | |
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。 | 4 | 前1 |
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。 | 4 | |
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。 | 4 | |
イオン結合と共有結合について説明できる。 | 4 | |
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。 | 4 | |
金属結合の形成について理解できる。 | 4 | |
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。 | 1 | |
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。 | 1 | |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。 | 4 | |
配位結合の形成について説明できる。 | 4 | |
水素結合について説明できる。 | 4 | |
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。 | 4 | |
錯体の命名法の基本を説明できる。 | 4 | |
配位数と構造について説明できる。 | 4 | |
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。 | 4 | |
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。 | 4 | |