到達目標
前期:基礎無機化学として下記項目についての概念を理解する。
後期:無機各論を通じて工業的に一般的に用いられているそれぞれの反応を通じて様々な元素の反応に慣れ親しみ、幅広い分野の化学反応についての知識を身につける。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
【論理的思考能力】 | 論理構成が明確であり、かつ自分なりに考えた独創性ある表現で、説明に工夫が見られる | 論理的に筋の通った説明ができており、説明の表現も適切である | 説明が不足、あるいは教科書等の文章を誤って引用した説明が多い |
【知識の修得】 | 課題解決に必要な、基本的な公式や定理を理
解し、自在に使いこなすことができる | 課題解決に必要な、基本的な公式や定理をある程度理解している | 課題解決に必要な、基本的な公式や定理の理
解が不足している |
【課題】 | 与えられた課題に自ら取り組み、解答を用いならがら知識の修得に努めている | 課題に取り組み、解答を行い足りない知識を把握できる | 課題への取り組みが不十分である |
学科の到達目標項目との関係
準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2)
説明
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教育方法等
概要:
マテリアルサイエンスやバイオサイエンス分野の進展は著しく、両分野に関わる多くの元素を取り扱う無機化学の重要性が高まっている。無機化学は炭素を含めたすべての元素が関与する物質の構造や性質、反応を取り扱う学問で、それらの系統的な理解のためには、物質を構成する原子・分子の構造や結合に関する知識が不可欠となる。本科目では、これらの事項の理解を深め、無機化学に必要な各項目について会念的に理解することを目標とする。
到達目標
1. 原子の構造と電子配置が理解できること。
2. 化学結合と物質の構造・性質との関係を理解できること。
3. 各種の無機化合物がどのような材料として利用されているか理解できること。
4. 無機各論を通じて工業無機化学反応の知識を身につけること。
授業の進め方・方法:
他の専門科目の理解に欠かせない重要な科目なので、基礎固めの学習を徹底的に行って欲しい。
注意点:
[関連科目]
3年次、4年次の物理化学I・II、構造解析学、物質構造化学、5年次の基礎電子化学などの科目との関連が深い。無機化学は他の専門教科の基礎となるので、その都度関連付けて進めていきたい。教科書については無機化学IIでも引き続き用いる。
[学習指針]
無機化学は広範にわたる各元素の各論や量子論など化学全般にわたる通則を論ずる学問なので、あやふやな知識の理解にとどまらないよう基礎は徹底的に理解できるようにする。この学年では、無機化学の基礎について網羅的に修め、3年次以降の各専門教科の理解へとつなげたい。
【事前学習】1年生で学んできた一般化学の内容についてしっかりと復習し、習熟しておくこと。シラバスに記載の各範囲についてテキストを予習しておくこと。
【事後展開学習】講義資料をまとめるノートを一冊用意し、各週4ページ程度にまとめ課題として提出すること。(講義資料の丸写しは認めない。)
TEAMSに課題を提出する際は、Office Lenz等のアプリを用いてPDF化したものを提出してください。
学修単位の履修上の注意
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
原子の周期性と電子構造 |
電磁波・物質の波動性
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2週 |
原子の周期性と電子構造 |
量子力学とハイゼンベルクの不確定性原理・波動関数と量子数
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3週 |
原子の周期性と電子構造 |
軌道の形状・原子の線スペクトル
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4週 |
原子の周期性と電子構造 |
電子スピンとパウリの排他原理
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5週 |
原子の周期性と電子構造 |
多電子原子における軌道とエネルギー準位
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6週 |
原子の周期性と電子構造 |
多電子原子の電子配置
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7週 |
原子の周期性と電子構造 |
電子配置と周期表・周期的性質
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8週 |
中間試験 |
これまでの学習内容に関する理解を確認
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2ndQ |
9週 |
イオン結合と主要族元素の化学 |
分子・イオンの化学結合
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10週 |
イオン結合と主要族元素の化学 |
イオンの電子配置・イオン半径・イオン化エネルギー・電子親和力
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11週 |
イオン結合と主要族元素の化学 |
オクテット則
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12週 |
イオン結合と主要族元素の化学 |
イオン結合とイオン結晶
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13週 |
イオン結合と主要族元素の化学 |
イオン結晶の格子エネルギー
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14週 |
イオン結合と主要族元素の化学 |
1族元素の化学・2族元素の化学
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15週 |
イオン結合と主要族元素の化学 |
17族元素の化学・18族元素の化学
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16週 |
期末試験 |
これまでの学習内容に関する理解を確認
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後期 |
3rdQ |
1週 |
共有結合と分子構造 |
共有結合・電気陰性度
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2週 |
共有結合と分子構造 |
点電子構造
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3週 |
共有結合と分子構造 |
共鳴・形式電荷
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4週 |
共有結合と分子構造
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VSEPRモデル
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5週 |
共有結合と分子構造 |
原子価結合理論・混成軌道
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6週 |
共有結合と分子構造 |
分子軌道理論
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7週 |
共有結合と分子構造 |
1−6週目までの学習内容に関する理解を確認
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8週 |
中間試験 |
これまでの学習内容に関する理解を確認
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4thQ |
9週 |
水溶液内の反応 |
水溶液中の様式・電解質
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10週 |
水溶液内の反応 |
イオン反応・沈殿反応・溶解度
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11週 |
水溶液内の反応 |
酸・塩基および中和反応
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12週 |
水溶液内の反応 |
酸化還元反応
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13週 |
水溶液内の反応 |
酸化還元反応の特定
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14週 |
水溶液内の反応 |
酸化還元反応式・半反応式
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15週 |
期末試験 |
酸化還元反応の化学量論
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16週 |
試験返却 |
これまでの学習内容に関する理解を確認
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 無機化学 | 主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。 | 3 | |
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 3 | |
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 3 | |
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。 | 4 | 前1 |
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。 | 4 | |
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。 | 4 | |
イオン結合と共有結合について説明できる。 | 4 | |
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。 | 4 | |
金属結合の形成について理解できる。 | 4 | |
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。 | 1 | |
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。 | 1 | |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。 | 4 | |
配位結合の形成について説明できる。 | 4 | |
水素結合について説明できる。 | 4 | |
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。 | 4 | |
錯体の命名法の基本を説明できる。 | 4 | |
配位数と構造について説明できる。 | 4 | |
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。 | 4 | |
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 授業中の取り組み | 合計 |
総合評価割合 | 150 | 50 | 200 |
基礎的能力 | 75 | 25 | 100 |
専門的能力 | 70 | 20 | 90 |
分野横断的能力 | 5 | 5 | 10 |