微生物工学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 微生物工学
科目番号 0045 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 微生物学、坂本順司著、裳華房
担当教員 伊月 亜有子

到達目標

前期中間試験:1)微生物学および微生物利用学の発達の歴史、2)細菌と真菌学の違い、3)分類の約束事について理解できる
前期末試験:1)基本的な微生物(カビ類、酵母類、きのこ類、細菌類、放線菌類)の分類、2)微生物の生理と生態、3)微生物の代謝について理解できる
後期中間試験:1)微生物の分類と保存、2)発酵および醸造食品、微生物応用工業(酵素と生理活性物質生産、バイオマスの利用)、微生物と病気等について理解できる
後期末試験:1)食品の腐敗と貯蔵、2)食用および薬用きのことその利用、3)汚染物質の微生物分解と資源の再生、4)微生物工学と遺伝子工学について理解できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1
評価項目2
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
微生物の分類と生態に始まり、微生物の構造や生理、分離技術、有用微生物のスクリーニング技術、微生物の代謝、保存技術までを講義する。さらに、発酵醸造食品、微生物応用工業の概略、微生物と病気との関連、食品の腐敗と貯蔵、微生物災害とその防除、環境浄化と微生物、微生物工学と遺伝子工学などについて講義する。
授業の進め方・方法:
今日の遺伝子工学の進歩にはめざましいものがある。この基礎の一つは微生物学である。我々の腸内には膨大な数の微生物が生息し、食生活と密接に関連し健康状態を支配している。また、自然界のおびただしい種類の微生物は地球上の物質循環に大切な役割を果たしている。日常摂取する発酵食品や病気の治療薬としての抗生物質もまた微生物が生産している。本講義では、微生物の基礎を学ぶとともに、食品、医薬、資源再生、有用生物生産などの微生物産業を最近のバイオテクノロジーと関連づけて講義し、微生物の神秘性と偉大さなどを知ってもらう。
注意点:
関連科目
生物化学、生物機能化学、分子生物学、遺伝子工学についての理解を必要とする。
  学習指針
本講義の内容には覚えなければならない項目も多く、他の講義とは多少異なるところもあるが、
できる限り系統だって講義し、重要な部分は重複してでもやる予定である。
  自己学習
生物化学、生物機能化学、分子生物学の知識を必要とするので、復習しておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 微生物の歴史と発展 微生物の発見からその多様性について理解できる。
2週 微生物利用学の歴史 微生物を利用した医薬、発酵食品生産、抗生物質生産の歴史について理解できる。
3週 微生物の構造 カビ、酵母、細菌、きのこ細胞の構造を理解できる。
4週 微生物の種類 細菌、酵母、カビなどの特徴について理解できる。
5週 微生物の分類学I 代表的な細菌について理解できる。
6週 微生物の分類学II 代表的な放線菌について理解できる。
7週 微生物の分類学III 代表的な酵母、カビについて理解できる。
8週 前期中間試験 授業内容の理解確認。
2ndQ
9週 微生物の生態と環境 自然界における役割の可能性と生態について理解できる。
10週 微生物の生理I 生育の物理的および生物学的環境について理解できる。
11週 微生物の生理II 生育のための化学的環境要因について理解できる。
12週 微生物の分離技術 有用微生物の自然界からの分離技術について理解できる。
13週 微生物の保存技術 微生物の保存技術と分譲機関について理解できる。
14週 微生物と病気 微生物に起因する病気について理解できる。
15週 食中毒菌 細菌性食中毒の種類とその原因菌について理解できる。
16週 前期末試験 授業内容の理解確認。
後期
3rdQ
1週 発酵醸造食品I アルコール飲料のうち清酒と焼酎について理解できる。
2週 発酵醸造食品II ビール、ウイスキー、ブランデーについて理解できる。
3週 調味発酵食品I 醤油、味噌醸造について理解できる。
4週 調味発酵食品II 核酸工業、乳酸菌工業について理解できる。
5週 微生物応用工業 抗生物質生産、有用酵素生産について現状を理解できる。
6週 バイオマス変換工業 バイオマスの微生物変換について理解できる。
7週 後期中間試験 授業内容の理解確認
8週 食品の腐敗と貯蔵 腐敗微生物、食品保蔵、食品の衛生について理解できる。
4thQ
9週 微生物災害とその防除 害とその防止について理解できる。
10週 環境浄化と微生物I 家庭環境微生物、産汚染物質の微生物分解について理解できる。
11週 環境浄化と微生物II 活性汚泥法について理解できる。
12週 微生物工学の歴史 科学的な微生物の利用について理解できる。
13週 微生物工学の今後 微生物の遺伝子操作について理解できる。
14週 遺伝子工学の歴史 微生物の遺伝子操作について理解できる。
15週 遺伝子工学の将来 微生物の遺伝子操作のこれからについて理解できる。
16週 学年末試験 授業内容の理解確認。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。3
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。3
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。3
微生物の育種方法について説明できる。3
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。3
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。3
食品加工と微生物の関係について説明できる。3
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。3
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。3
遺伝子組換え技術の原理について理解している。3
バイオテクノロジーの応用例(遺伝子組換え作物、医薬品、遺伝子治療など)について説明できる。3
バイオテクノロジーが従来の技術に対して優れている点について説明できる。3
遺伝子組み換え技術のリスクと安全策について説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000010100
基礎的能力90000010100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000
0000000