化学工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 化学工学Ⅰ
科目番号 0056 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 〔教科書〕「化学系学生のための化学工学」,森秀樹・加藤格 共編著(培風館),〔補助教材・参考書〕「化学工学(改訂第3版)」ー解説と演習ー,多田 豊編(朝倉書店)/ Transport phenomena (2nd ed.), R.B. Bird et al., John Wiley & Sons
担当教員 中村 秀美,林 啓太

到達目標

1. 化学工学の学問体系を理解するとともに,化学工学の基礎として,諸量の単位換算,物質収支・エネルギー収支の考え方を復習し,理解を深める。
2. 円管を流れる流体の流れについて学ぶとともに摩擦などによるエネルギー損失・圧力損失の計算を行う。
3. 熱の移動を理解し,伝導伝熱,対流伝熱,放射伝熱における伝熱速度の計算を行うとともに,熱交換器の設計計算を行う。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1次元解析が理解できる。 化学反応を伴う物質収支やエネルギー収支の計算ができる。 物質収支、エネルギー収支SI単位への単位換算ができる。 簡単な物質収支、エネルギー収支の計算ができる。単位換算,物質収支,エネルギー収支の考え方が理解できない。
評価項目2様々な流れの物質収支,エネルギー収支エネルギー・圧力損失の計算,動力の計算ができる。管径と流速・流量・レイノルズの計算ができ,層流・乱流の判断ができる。簡単な物質収支,エネルギー収支エネルギー・圧力損失の計算,動力の計算ができる。 簡単な流れの物質収支、エネルギー収支、エネルギー・圧力損失の計算、動力の計算ができる。レイノルズ数の計算ができない。 簡単な流れの物質収支、エネルギー収支の計算ができない。
評価項目3伝導伝熱,対流伝熱,放射伝熱における伝熱速度の計算,様々な熱交換器の設計計算ができる。熱伝導、対流伝熱、放射伝熱の伝熱速度の計算ができる。 簡単な熱交換器の設計計算ができる。熱の移動が理解できず,伝熱速度の計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
次元と単位について理解し,単位換算ができる。化学量論の原理を理解する。物質収支やエネルギー収支の考え方と式の組み立て方を説明する。さらに,化学工学の輸送現象論の核となる流動,伝熱の基礎を習得し,装置の設計法について習得する。
授業の進め方・方法:
化学工学の基礎である物質収支とエネルギー収支式を組み立てるために必要な諸原理,化学工学の輸送現象論の核となる流動,伝熱の基礎,装置の設計法について解説し,それらを応用して化学プロセスを定量的に理解するための基礎能力をつけることを目的とする。講義で基礎事項を学んだあと多くの例題を解くことで理解を深める。
注意点:
〔関連科目〕
 化学、物理、物理化学Ⅰ,物理化学Ⅱ
〔学習指針〕
 物理や化学において単位や物理量がどのように定義されてきたかを理解すること。
 数学的な取り扱いが多いので,演習を繰り返し解くことで,十分理解できるようにする。
〔自己学習〕
 到達目標達成するためには,授業以外にも教科書の例題や演習問題を解き理解を深める必要がある。関連する図書も参考にして自学・自習をすること。
〔事前学習〕
 あらかじめ講義内容に該当する部分の教科書を読み,理解できるところ,理解できないところを明らかにしておくこと。
〔事後展開学習〕
 講義ノートを見直し,追記,まとめをやっておくこと。

学修単位の履修上の注意

配布された課題プリント,教科書の章末問題等を用いて自学自習に努めること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 単位と次元1 単位の歴史,SI基本単位の定義,次元,無次元数が理解できる。
2週 単位と次元2 組成,濃度,圧力,温度の取り扱いについて理解できる。
3週 化学反応式と化学量論1 化学反応式における量論関係について理解できる。
4週 化学反応式と化学量論2 化学量論式に基づいた物質量の計算法を理解できる。
5週 物質収支計算1 物質収支計算の基本について理解できる。
6週 物質収支計算2 単位操作における物質収支の計算について理解できる。
7週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
2ndQ
9週 物質収支計算3 リサイクルを含むプロセスの物質収支について理解できる。
10週 エネルギー収支計算1 エネルギー収支で扱うパラメータについて理解できる。
11週 エネルギー収支計算2 エネルギー収支の概念について理解できる。
12週 エネルギー収支計算3 物質・エネルギー収支に関する演習問題を解くことができる。
13週 物質・エネルギー収支の組み合わせ1 物質,エネルギー,ともに変化する系について理解できる。
14週 物質・エネルギー収支の組み合わせ2 物質・エネルギー収支に関する演習問題を解くことができる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 流体の流れ Newton の粘性法則が説明できる。
2週 層流と乱流 Reynolds の無次元項について説明し,Reynolds数の計算及び層流・乱流の判断ができる。
3週 円管内の流れ 連続の式,Hagen-Poiseulli の法則,対数法則,指数法則について説明でき,円管内の層流・乱流速度分布が理解できる。
4週 Fanning の摩擦係数 Fanning の式の導出,円管内層流の圧力損失について理解できる。円管内乱流の摩擦係数について理解し,圧力損失の計算ができる。
5週 ベルヌーイの式 各種エネルギーとBernoulli の式が理解でき,輸送管の機械的エネルギー収支について説明できる。
6週 流体の輸送 種々の流路に対するエネルギー損失について理解し,流体輸送に必要なポンプの所要動力の計算ができる。
7週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
4thQ
9週 熱の移動と伝導伝熱 熱の移動の種類について説明でき,伝導伝熱とFourier の法則について理解できる。
10週 定常伝導伝熱 平板,多層平板,円筒の伝導伝熱における伝熱速度の計算ができる。
11週 対流伝熱 対流伝熱における境膜の概念が説明でき,境膜伝熱係数について理解できる。
12週 境膜伝熱係数と総括伝熱係数 境膜伝熱係数の代表的な相関式について理解でき,用いられる無次元項について説明できる。固体壁や境膜の境膜伝熱係数を含む,総括伝熱係数の理論式について理解でき,総括伝熱係数の計算ができる。
13週 放射伝熱 固体表面からの放射伝熱について理解できる。
14週 熱交換器 熱交換器の熱収支,伝熱速度式および設計法について理解でき,熱交換器の伝熱面積や管長の計算ができる。
15週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後14,後15
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7
流れの物質収支の計算ができる。4後2,後3,後4,後5,後6,後7
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。4後3,後4,後5,後6,後7
流体輸送の動力の計算ができる。4後6,後7

評価割合

試験演習レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000