有機金属化学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 有機金属化学
科目番号 0057 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 プリント/有機金属反応剤ハンドブック、玉尾皓平編著(化学同人) 有機金属化学を扱った本(辻二郎、ヘゲダス、ハートウィックらの著書など)
担当教員 亀井 稔之

到達目標

前期中間試験:1)金属錯体の基礎,2)Pd、Rh、Ru錯体の反応性
前期末試験: 1)メタセシス 2)付加環化反応 3)クプラート 4)第三周期典型金属の電子的効果に関して説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機金属化合物と錯体化学的に理解できる錯体化学の基礎が理解できている錯体化学が理解できていない
評価項目2金属触媒を利用したの反応が理解できる素反応が理解できる素反応が理解できない
評価項目3典型金属と遷移金属の共通点、相違点が理解できる遷移金属の反応性が理解できる遷移金属の反応性が理解できない

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (4) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
パラジウム、ロジウム、ルテニウムを中心に、種々の遷移金属錯体が触媒する反応について講義する。特に、パラジウム錯体の触媒する反応について、酸化的付加、トランスメタル化、還元的脱離、β―水素脱離の基本反応段階について十分理解したのち、それらの組み合わせで考えられる他の金属の反応について解説する。
授業の進め方・方法:
講義形式で反応の解説をする。
注意点:
 関連科目 
有機化学、無機化学(錯体化学)。
  学習指針
 これまでの有機化学と異なる反応機構と感じることが多くあるが、実際は有機化学と錯体化学の境界領域であり、意識して理解することが重要である。
  自己学習 
 有機金属化学を扱った本を用いて、自学自習を心がけること。最先端の内容なので適宜論文(ACS、エルゼビア)を参考にしてもよい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 金属錯体の基礎 d金属錯体の電子の数え方、18電子則
2週 有機Pd の反応 鈴木カップリングなど、有機金属試薬との反応機構
3週 有機Pd の反応 Heck 反応など、挿入反応を経る機構。
4週 有機Rh の反応 Wilkinson 錯体用いる反応を中心に理解させる。
5週 有機Rh の反応 不斉水素化について理解させる。
6週 有機Ru の反応 ルテナサイクルを経る触媒反応と水素化について理解させる。
7週 中間試験 中間試験
8週 有機Ru の反応 オレフィンメタセシスについて理解させる。
2ndQ
9週 有機Co の反応 Pauson-Khand 反応について理解させる。
10週 有機Ni の反応 クロスカップリングおよびニッケラサイクル中間体の反応について理解させる。
11週 有機Cu の反応 クプレートとはなにかを理解させ,1,4-付加反応に適用し,プロスタグランジンの合成経路について考えさせる。
12週 有機Zn の反応 Reformatsky 反応およびSimmons-Smith 反応について理解させる。
13週 有機Si の反応 ケイ素と炭素の類似点と相違点について反応例をまじえて解説する。
14週 有機Li、Mg の反応 有機合成の基本的試薬であり,使い方のコツについて解説する。
15週 学年末試験 試験
16週 試験返却 試験返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学σ結合とπ結合について説明できる。4前15
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4前15
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4前15
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4前15
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4前15
共鳴構造について説明できる。4前15
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4前15
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4前15
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4前15
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4前15
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4前15
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4前15
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。4前15
反応機構に基づき、生成物が予測できる。4前15
無機化学電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4前1
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前1
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。4前1
錯体の命名法の基本を説明できる。4前1
配位数と構造について説明できる。4前1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力1000010020
専門的能力4000010050
分野横断的能力2000010030