化学工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 化学工学Ⅰ
科目番号 0058 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 板書による講義を行う。〔教科書〕「化学工学―解説と演習―(改訂第3版)」,化学工学会監修,多田豊 編(朝倉書店) 〔補助教材・参考書〕「化学工学通論Ⅰ(改訂新版)」疋田晴夫 著(朝倉書店)/ Transport phenomena (2nd ed.), R.B. Bird et al.・John Wiley & Sons
担当教員 中村 秀美

到達目標

1. 化学工学の学問体系を理解するとともに,化学工学の基礎として,諸量の単位換算,物質収支・エネルギー収支の考え方を復習し,理解を深める。
2. 円管を流れる流体の流れについて学ぶとともに摩擦などによるエネルギー損失・圧力損失の計算を行う。
3. 熱の移動を理解し,伝熱量の計算を行うとともに,熱交換器の設計計算を行う。
4. 蒸発の原理を理解し,物質収支,熱収支より蒸発缶の設計計算を行う。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1次元解析が理解できる。 化学反応を伴う物質収支やエネルギー収支の計算ができる。 物質収支、エネルギー収支SI単位への単位換算ができる。 簡単な物質収支、エネルギー収支の計算ができる。単位換算、物質収支、エネルギー収支の考え方が理解できていない。
評価項目2様々な流れの物質収支、エネルギー収支、エネルギー・圧力損失の計算、動力の計算ができる。管径と流速・流量・レイノルズの計算ができ、層流・乱流の判断ができる。 簡単な流れの物質収支、エネルギー収支、エネルギー・圧力損失の計算、動力の計算ができる。レイノルズ数の計算ができない。 流れの物質収支、エネルギー収支の計算ができない。
評価項目3様々な熱交換器の設計計算ができる。熱伝導、対流伝熱、放射伝熱の傳熱量の計算ができる。 簡単な熱交換器の設計計算ができる。熱の移動が理解できず、伝熱量の計算ができない。
評価項目4様々な蒸発缶の設計計算ができる。蒸発の原理を理解し,物質収支,熱収支より簡単な蒸発缶の設計計算ができる。蒸発の物質収支、熱収支の設計計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学工学基礎の講義で学んだ単位,次元,物質収支,エネルギー収支の考え方を演習を含め十分理解できるようにする。さらに,化学工学の輸送現象論の核となる流動,伝熱および蒸発の基礎を習得し,装置の設計法について習得する。
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である。講義で基礎事項を学んだあと多くの例題を解くことで理解を深める。試験前に各自の理解度を確認するために試験対策用の演習問題を課す。
注意点:
〔関連科目〕
化学工学基礎で物質収支・エネルギー収支の考え方をしっかり身につけておくこと。
〔学習指針〕
数学的な取り扱いが多いので,演習を繰り返し解くことで,十分理解できるようにする。
〔自己学習〕
到達目標を達成するためには,授業以外にも教科書の例題や演習問題を解き理解を深める必要がある。関連する図書も参考にして自学・自習をすること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 化学工学について この教科で学ぶ事項の説明及び実際の利用法を説明する。
2週 単位と次元 SI 単位系,諸量の単位換算について復習を行う。
3週 物質収支 物質収支の考え方,収支計算の復習を行う。
4週 エネルギー収支 エネルギー収支の考えを理解し,収支計算を行う。
5週 流体の流れ Newton の粘性法則について理解させる。
6週 層流と乱流 Reynolds の無次元項について解説し,計算方法を理解させる。
7週 前期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
2ndQ
9週 運動量収支 定常状態でのシェルバランスによる運動量収支を理解させる。
10週 円管内の流れ 連続の式を理解させる。
11週 円管内の層流速度分布・
円管内の乱流速度分布
Hagen-Poiseulli の法則について理解させる。
対数法則,指数法則について解説する。
12週 Fanning の摩擦係数・
Moody チャート
Fanning の式を理解させ,円管内層流の圧力損失について解説する。円管内乱流の摩擦係数について解説し,Moody チャートを用いた圧力損失の計算を理解させる。
13週 ベルヌーイの式 Bernoulli の式を解説し,輸送管の機械的エネルギー収支について理解させる。
14週 流体の輸送 種々の流路に対するエネルギー損失について解説し,流体輸送に必要なポンプの所要動力の計算法を修得させる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 伝熱の基本・伝導伝熱 伝熱の基本機構について解説する。伝導伝熱とFourier の法則について理解させる。
2週 平板の定常伝導伝熱 各種平板の伝導伝熱量の計算方法について理解させる。
3週 円筒,球殻の定常伝導伝熱 形状の違いによる伝導伝熱量の計算方法を解説する。
4週 多層壁の定常伝導伝熱 多層壁の定常伝導伝熱の計算法を解説し,保温効果を理解させる。
5週 対流伝熱 境界層の概念を説明し,境膜伝熱係数について理解させる。
6週 境膜伝熱係数・総括伝熱係数 代表的な相関式について説明し,用いられる無次元項の解説を行う。固体壁の境膜伝熱係数を含む,総括伝熱係数について理解させる。
7週 後期中間試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
8週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。
4thQ
9週 放射伝熱 固体表面からの放射伝熱について理解させる。
10週 熱交換器 熱交換器の熱収支及び伝熱速度式について解説する。
11週 熱交換器の設計法 実際に用いられている熱交換器の設計法を理解させる。
12週 沸点上昇 沸点上昇の計算法及びデューリング線図の読み方を修得させる。
13週 蒸発装置 蒸発装置の概要について解説する。
14週 蒸発缶の収支 単一及び多重効用蒸発缶の物質収支及び熱収支のとり方を理解させる。
15週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる。
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。4
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。4
流れの物質収支の計算ができる。4
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。4
流体輸送の動力の計算ができる。4

評価割合

試験演習レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000