物質化学工学実験Ⅳ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 物質化学工学実験Ⅳ
科目番号 0072 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質化学工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 教科書:「実験指針書」奈良高専物質化学工学科 編 /補助教材・参考書:「化学工学実験」産業図書 東畑平一郎・城塚 正・小島和夫 著
担当教員 直江 一光,伊月 亜有子,石丸 裕士,林 啓太,米田 京平

到達目標

1. 生物化学及び化学工学に関する実験技術・データの解析法を体得する。
2. 実験結果に対して適切な考察を行えるようになる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
全般実験準備や片付けを含む実験のルール及びレポートの提出のルールが遵守され、かつ、試問・レポート提出が完了している。実験準備や片付けを含む実験のルール及びレポートの提出のルールが遵守できていないこともあるが、試問・レポート提出が完了している。実験準備や片付けを含む実験のルール及びレポートの提出のルールを破ることが多く、訂正するよう指摘を受けたにも関わらず訂正されていない。試問を受けていない。
概論中心となる反応、何を測定して何を観測するのか、測定精度や重要な測定結果などについて、的確に記述されている。中心となる反応、何を測定して何を観測するのか、測定精度や重要な測定結果などについて、概ね記述されている。中心となる反応、何を測定して何を観測するのか、測定精度や重要な測定結果などについて、記述されていない事項が目立つ。
方法実験が再現できるよう的確に文章で記述されている。実験が概ね再現できるよう概ね記述されている。間違いが目立ち、実験の再現困難である。
結果の説明計算結果の導出過程が単位と共に明確に示され、適切な図表を用いて漏れなく説明されている。考察すべき実験結果について、細大漏らさず的確に言葉で説明されている。計算結果の導出過程が示され、図表を用いて漏れなくまとめられている。考察すべき実験結果について、概ね説明されている。実験結果を表示するのに必要な図表が不足している。
図表図表タイトル、表の項目・単位、図の軸タイトル・単位・マークなどについて、エクセルなどのソフトを用いて的確に示されている。図表タイトル、表の項目・単位、図の軸タイトル・単位・マークなどについて、エクセルなどのソフトを用いて概ね示されており、指摘を受けてすべて訂正されている。図表のルールが数多く破られている。
考察実験結果について、定量的に比較・検討されて特徴付けられており、それに基づいた考察が科学的知識に基づいて、独自の視点から的確な文字数でなされている。実験結果について、比較・検討され、それに基づいた考察が科学的知識と共になされている。考察という項目を作成していても、実験結果について、比較・検討がなされていない。科学的知識と結びつけた説明ができていない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (4) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生物化学及び化学工学に関連した講義で得た知識を確実なものにするために,少人数で実験を行う。実験レポートの作成や担当教員とのディスカッションを通じて,生物化学及び化学工学への理解を深める。また,データの整理法と報告書の作成法についても修得する。
授業の進め方・方法:
講義で得た知識を実際に応用するには,確実な知識と深い理解が必要である。生物化学及び化学工学に関連した基礎的な実験を行い,実験を通して理解を深める。
注意点:
関連科目
生物化学・生物機能化学・基礎生物化学工学・微生物工学・固体化学・化学工学基礎・ 化学工学I・化学工学II・微粒子工学
学習指針
実験を行う前に必ず予習し,自ら実験データを収集・整理・解析を行うこと。
自己学習
 実験の前に実験手順を予習するのはもちろん,用いる薬品・実験背景についても学習しておく こと。
未提出レポートがある場合や実験態度が著しく悪い場合などの場合,評価は 60 点未満とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 1 実験テーマの概観・履修上の留意点について理解できる。
2週 ガイダンス 2 各実験テーマの内容・予習事項などについて理解できる。
3週 熱伝導度の測定 金属棒の温度分布から熱伝導度を求め,併せて定数決定法を習得できる。
4週 管路の圧力損失 拡大,収縮,エルボにおける圧力損失を測定し,抵抗係数が求められる。
5週 ポアズイユ流れ 粘性流れの理論を用いて水の粘度を測定し,文献値と比較検討することができる。
6週 熱交換器実験 簡単な熱交換器を用いて伝導伝熱と強制対流伝熱について理解できる。
7週 充填塔の流動特性 ローディング点、フラディング点の測定できる。
8週 臨界レイノルズ数 管内の流動状態について理解できる。
2ndQ
9週 DNAの変性 DNAの熱変性実験を行い、DNAの構造安定性について理解することができる。
10週 タンパク質の定量 Lowry法によるタンパク質定量を行い、分光光度計の使用方法を習得することができる。
11週 反応速度の基質濃度依存性 酵素濃度を変化させたとき、基質分解反応の反応速度を吸光度によって決定できる。
12週 牛血清アルブミンの蛍光スペクトル測定 牛血清アルブミンの蛍光スペクトルを決定することができる。
13週 微生物の顕微鏡観察 微生物の形態を観察し、顕微鏡操作、微生物取扱法を習得することができる。
14週 高速液体クロマトグラフィー 高速液体クロマトグラフィーを用いて、試料中の濃度を求めることができる。
15週 ディスカッション 1 各実験テーマについてディスカッションを行うことができる。
16週 ディスカッション 2 各実験テーマについてディスカッションを行うことができる。
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 1 実験テーマの概観・履修上の留意点について理解できる。
2週 ガイダンス 2 各実験テーマの内容・予習事項などについて理解できる。
3週 オリフィス流出係数 オリフィス流量計の検定を行い,その流出係数を求めることができる。
4週 精留塔特性 2成分系溶液の精留実験を行い,塔の総合効率を求めることができる。
5週 濡れ壁塔における物質移動 濡れ壁塔を用いて空気の増湿実験を行い,ガス側物質移動係数を測定し,実験式を作成できる。
6週 高分子の重合度測定 ポリスチレンの粘度・平均分子量を測定できる。
7週 流動層の流動特性 最小流動化速度と空間率を測定できる。
8週 粉体の粒度測定 粉体を取り扱う操作の基礎として粒子径の測定法を理解することができる。
4thQ
9週 SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 タンパク質を電気泳動により分離精製し、その原理を理解することができる。
10週 塩析によるタンパク質の分離 塩析による分別沈殿によって、タンパク質を分離することができる。
11週 抽出実験 生体成分を抽出する方法を理解することができる。
12週 食品中の生菌数測定 希釈平板法を用いて、生菌数を算出することができる。
13週 固定化パン酵母によるアルコール発酵1 固定化したパン酵母を用い、グルコースからのエタノール発酵を行うことができる。
14週 固定化パン酵母によるアルコール発酵2 固定化したパン酵母を用い、グルコースからのエタノール発酵を行うことができる。
15週 ディスカッション 1 各実験テーマについてディスカッションを行うことができる。
16週 ディスカッション 2 各実験テーマについてディスカッションを行うことができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。4
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。4
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。4
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。4
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】化学工学実験流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。4
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。4前13,前14
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4前13
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4後12
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4前9,後10,後13,後14
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4前9,前10,前11
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4前14,後9
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4前11

評価割合

レポート・試問実験準備・取り組み合計
総合評価割合7030100
専門的能力7030100