物質化学工学実験Ⅳ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物質化学工学実験Ⅳ
科目番号 0076 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質化学工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 教科書:「実験指針書」奈良高専物質化学工学科 編 /補助教材・参考書:「化学工学実験」産業図書 東畑平一郎・城塚 正・小島和夫 著
担当教員 直江 一光,伊月 亜有子,石丸 裕士,林 啓太,米田 京平

到達目標

1.実験準備や片付けを含む実験のルールや提出のルールが遵守されているなど、全般に関する事項が達成できる。
2.中心となる反応、何を測定して何を観測するのか、測定精度や重要な測定結果などの項目が概論に記述できる。
3.実験が再現できるよう細大漏らさず、かつ、的確な分量で方法に記述できる。
4.計算結果の導出過程が単位と共に明確に示され、考察すべき実験結果などについて、図表以外に言葉でも結果に記述できる。
5.図表タイトル、表の項目・単位、図の軸タイトル・単位・マークなどについて、漏らすことなくエクセル等で図表が作成できる。
6.定量的に結果を比較・検討・特徴付け、科学的知識に基づいて、独自の視点から考察に記述できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標項目(全般)1目標事項が完全達成されている。目標事項が概ね達成されている。目標事項が殆ど未達である。
到達目標項目(概論)2目標事項が完全達成されている。目標事項が概ね達成されている。目標事項が殆ど未達である。
到達目標項目(方法)3目標事項が完全達成されている。目標事項が概ね達成されている。目標事項が殆ど未達である。
到達目標項目(結果:説明)4目標事項が完全達成されている。目標事項が概ね達成されている。目標事項が殆ど未達である。
到達目標項目(結果:図表)5目標事項が完全達成されている。目標事項が概ね達成されている。目標事項が殆ど未達である。
到達目標項目(考察)6目標事項が完全達成されている。目標事項が概ね達成されている。目標事項が殆ど未達である。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (4) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生物化学及び化学工学に関連した講義で得た知識を確実なものにするために、少人数(3人または4人)の班に分かれて実験を行う。実験レポートの作成や担当教員とのディスカッションを通じて,生物化学及び化学工学への理解を深める。また,データの整理法と報告書の作成法についても修得する。この科目は、分析化学、生物化学I~III・応用微生物学・化学工学I~II・微粒子工学と関連深い。
授業の進め方・方法:
講義で得た知識を実際に応用するには,確実な知識と深い理解が必要である。生物化学及び化学工学に関連した基礎的な実験を行い,実験を通して理解を深める。前期前半の実験は実験ビデオを見て、各班別に与えられた実験データに基づいて一斉にレポート作成を行う遠隔授業として実施する。前期後半は班別に6つのテーマを対面授業として並行実施する。(分散登校中,自宅待機組はペアの班のデータに基づいてレポート作成を行う)、後期は班別に12のテーマを対面授業として並行実施する。なお、以下の授業計画には1班の授業計画を例示して掲載する。
注意点:
事前学習・・・事故を未然に防ぐためにも、理解を深めるためにも、実験書をよく読んで、実験器具・薬品・方法について予習する。(予習忘れがあれば、準備・取組点を減点する)
実験中・・・白衣・ゴーグル・上履きを着用し、注意事項を必ず守って積極的に取り組み、注意深い観察・実験データの収集に心がける。(忘れ物や実験態度の不良があれば、準備・取組点を減点する)
事後展開学習・・・実験レポートは、教科書や図書館の資料なども活用して、レポート用紙に要領よくまとめる。提出期限を守り、必ず提出する。(提出期限遅れがあれば、準備・取組点を減点する)

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 実験テーマの概観・履修上の留意点について理解できる。
2週 ポアズイユ流れ 粘性流れの理論を用いて水の粘度を求め,文献値と比較検討することができる。
3週 熱伝導実験 金属中の温度分布について測定し、熱伝導法則について理解することができる
4週 熱交換器実験 熱交換器の原理と強制対流伝熱について理解できる。
5週 管路の圧力損失 拡大,収縮,エルボにおける圧力損失から抵抗係数が求められる。
6週 充填塔の流動測定 充填塔を用いてローディング点、フラディング点などについて求められる。
7週 臨界レイノルズ数 流速を変えたときの着色液の挙動から層流から乱流への臨界レイノルズ数が求められる。
8週 レポート指導1 これまでのレポートにおける不備に気づき、訂正できる。
2ndQ
9週 DNAの精製と変性 DNAを精製後、熱変性実験を行い、DNAの構造安定性について理解することができる。
10週 タンパク質の定量 Lowry法によるタンパク質定量を行い、分光光度計の使用方法を習得することができる。
11週 反応速度の酵素濃度依存性
酵素濃度を変化させたとき、基質分解反応の反応速度を吸光度によって決定できる。
12週 反応速度の基質濃度依存性
基質濃度を変化させたとき、基質分解反応の反応速度を吸光度によって決定できる。
13週 微生物の顕微鏡観察 微生物の形態を観察し、顕微鏡操作、微生物取扱法を習得することができる。
14週 食品中の生菌数測定 希釈平板法を用いて生菌数を算出するなど、微生物実験法を習得することができる。
15週 前期最終実験テーマ試問・レポート指導2 前期最終実験テーマ試問の試問などを通じてレポートにおける不備に気づき、訂正できる。
16週 後期実験ガイダンス 対面授業時のテーマの概観・履修上の留意点について理解できる。
後期
3rdQ
1週 回分式単蒸留 単蒸留実験を行い、数値積分を利用してRayleigh式による理論値との比較ができる。
2週 精留塔特性
2成分系溶液の精留実験を行い,塔の総合効率を求めることができる。
3週 熱伝導シミュレーション 非定常熱伝導式を数値シミュレーションによって解き、その結果を前期実験で得られた金属中の温度分布データと比較できる。
4週 粉体の粒度測定
粉体を取り扱う操作の基礎として粒子径の測定法を理解することができる。
5週 流動層の流動特性
流動化装置の各流量に対する粒子層高と圧力損失から最小流動化速度と空間率を決めるできる。
6週 オリフィス流量計
オリフィス流出係数を測定し,検量線を作成してその原理を理解することができる。
7週 レポート指導3 レポートにおける不備に気づき、訂正できる。
8週 SDS-PAGE電気泳動法
タンパク質を電気泳動により分離精製し、その原理を理解することができる。
4thQ
9週 塩析によるタンパク質の分離
塩析による分別沈殿によって、タンパク質を分離することができる。
10週 ろ過実験 小スケールの回分ろ過実験を行い、ケーキろ過についての理解を深める。
11週 高速液体クロマトグラフィー 高速液体クロマトグラフィーを用いて、試料中の濃度を求めることができる。
12週 酵母によるアルコール発酵1
パン酵母を用い、グルコースからのエタノール発酵を行うことができる。
13週 酵母によるアルコール発酵2 パン酵母を用い、グルコースからのエタノール発酵を行うことができる。
14週 後期最終実験テーマ試問 後期最終実験テーマ試問を通じてレポートにおける不備に気づく。
15週 レポート指導4 前回気づいた不備を訂正できる。
16週 実験振り返り (授業アンケート・未提出者レポート指導) 実験の意義が再認識できる。未提出者はレポートにおける不備に気づき、訂正できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】化学工学実験流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。4前3,前6,前7,前8,後7,後8
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4後3,後5
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。4前5
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4前11
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4前11,前12,後13,後14
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4前9,後10,後11
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4前9,前10
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4後9,後12
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4前13,前14

評価割合

レポート・試問実験準備・取り組み合計
総合評価割合7030100
専門的能力7030100