基礎電気化学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 基礎電気化学
科目番号 0090 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「基礎からわかる電気化学」(泉 生一郎他共著、森北出版)/〔補助教材・参考書〕「電子移動の化学-電気化学入門」(渡辺 正、中林誠一郎 共著、朝倉書店)「ベーシック 電気化学」(大堺利行、加納健司、桑畑進 共著、化学同人)「新世代工学シリーズ 電気化学」(小久見善八編著、オーム社)「アトキンス 物理化学」(P.W.Atkins 著、千原秀昭、中村旦男 共著、東京化学同人)
担当教員 片倉 勝己

到達目標

前期中間試験: 電解質溶液の性質・Nernst 式・起電力・ファラデーの法則・電気二重層等の電極/電解質界面・電極反応速度等の電気化学の基礎式の復習・理解。
前期末試験: 半導体による光吸収と励起のメカニズム・1 次電池,二次電池,燃料電池,太陽電池といった様々な電池技術,および,腐食と防蝕(電気防蝕・犠牲陽極・表面処理)について,その原理を理解するとともに,先進技術の動向を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電解質溶液の性質について、十分理解できている。電解質溶液の性質について、ある程度理解できている。電解質溶液の性質について、ある程度理解できていない。
評価項目2電池の起電力と電極電位について、十分理解できている。電池の起電力と電極電位について、ある程度理解できている。電池の起電力と電極電位について、理解できていない
評価項目3電極反応の速度について、十分に理解できている。電極反応の速度について、ある程度理解できている。電極反応の速度について、理解できていない。
評価項目4光電気化学について、十分に理解できている。光電気化学について、ある程度できている。光電気化学について、理解できていない。
評価項目5一次電池、二次電池、燃料電池等の化学電池について、十分に理解できている。一次電池、二次電池、燃料電池等の化学電池について、ある程度理解できている。一次電池、二次電池、燃料電池等の化学電池について、理解できていない。
評価項目6腐食の電気化学的側面および防食法について、十分理解できている。腐食の電気化学的側面および防食法について、ある程度理解できている。腐食の電気化学的側面および防食法について、理解できていない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
荷電粒子が関与する化学反応、電気化学は、材料合成,めっき,エレクトロニクスなど,私たちの日常生活から先端産業まで,様々な分野において幅広く活かされている。また、生物の細胞内でも多岐に渡る酸化還元反応が常に生じている。こうした現象を理解し、制御・応用するには、電子移動に関して正しいイメージをもつことが重要である。この講義では、『荷電粒子(電子、イオン)が関与する化学現象』である電気化学の基礎と応用について講義する。
授業の進め方・方法:
教科書に沿った講義方式により授業をすすめる。本講義では、『荷電粒子(電子、イオン)が関与する化学現象』である電気化学の基礎と応用について講義する。電気分解や電池の反応はもちろん、酸化還元反応に分類される反応はすべて電子授受反応である。荷電粒子の関与する諸現象についてその基礎と応用を学ぶ。
注意点:
関連科目
この科目は、「物理」「物理化学」、「無機化学」をはじめとする化学の諸分野と密接に関連する。
学習指針
実際的な応用も視野に入れて、基礎的な知識の徹底とそれらを応用する力を身に付けるようにする。ほぼ毎回の講義ごとに課題提出があるので、積極的に取り組み理解を深める努力をしてほしい。
自己学習
理解できなかった項目は次回までに十分復習し、課題を通じて理解を深めること。また、提出すべき課題は各自の力で解くこと。

学修単位の履修上の注意

毎回、課題を課すので自己学修により理解を深めること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電気化学とは
電解質溶液の性質Ⅰ
電解質溶液、特にイオンの解離、電気伝導率、イオンのモル電気伝導率について理解させる。
2週 電解質溶液の性質Ⅱ イオンの移動度と輸率、イオンの活量とイオン強度について理解させる。
3週 電池の起電力と電極電位I 電気分解と電池、電極電位と起電力について理解をさせる。
4週 電池の起電力と電極電位II
ギブズエネルギーを始めとする熱力学量と起電力の関係について理解させる。
5週 電極と電極界面の構造 電気二重層の構造とモデル、および、界面動電現象について理解させる。
6週 電極反応の速度Ⅰ ファラデーの法則、電極反応速度についての基礎について理解させる。
7週 電極反応の速度II 電荷移動過程、および、物質移動過程における反応速度について理解させる。
8週 中間テスト 第1 週~第7 週までの事項についてテストを通じて復習する。
2ndQ
9週 光電気化学Ⅰ 半導体のバンド構造について理解させる。
10週 光電気化学Ⅱ 半導体のp-n 接合、および、半導体電極における光電気化学について理解させる。
11週 一次電池 一次電池の種類やその構造・特徴について紹介し、電位窓や電極材料といった面からも理解をさせる。
12週 二次電池 二次電池の原理と用語を理解させ、その種類・特徴・動向について紹介し、エネルギーや電極材料の観点からも理解をさせる。
13週 先進二次電池技術 先進二次電池技術の動向について紹介し、エネルギーの観点だけでなく、電位窓と電極材料といった面からも理解をする。
14週 燃料電池 燃料電池の原理を理解させ、その種類と特徴について紹介し、構造や電極・電解質の材料といった面からも理解を深める。
15週 腐食と防蝕 プールベイダイアグラムに基づいて、電気化学腐食と防食法について考察できるようにする。
16週 学年末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学エンタルピーの温度依存性を計算できる。3
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。3
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。3
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4後1,後3,後4

評価割合

試験課題レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100